占いで
- 2020年11月16日
友人A子はタロット占いが趣味でした。
いっそのこと商売にしてしまおうと、数年前から占いの専用サイトに占い師として登録。
有料でお客さんを占っていました。
新型コロナウイルスが猛威をふるい出してからは、お客さんが増加して結構忙しいんだとか。
不安を抱えている人が増えているんでしょうかね。
A子によればお客さんは99%が女性。
10代から70代までと、幅広い世代を占っているそうです。
内容は圧倒的に恋愛に関する相談が多く、友人関係、家族関係、仕事関係の相談もあるそうです。
また「それ、占ってる場合じゃない」といった相談も時折持ち込まれるそうで、そんな時には専門の相談先を紹介していると言っていました。
十年ほど前のこと。
B子が長く付き合っていた彼から、プロポーズされたといった話が伝わってきました。
めでたい、めでたい。
ということで、皆で集まっての食事会が開かれました。
この時点で全員が、B子がこのプロポーズを受けると信じて疑わなかったんです。
全員のグラスにビールが注がれて、幹事が言います。
「B子、おめでとー」と。
そして全員がグラスを掲げて「おめでとー」と声を上げました。
そこでB子が笑顔で「ありがとう」と言うもんだと思っていたら・・・困ったような顔をしている。
あれ?
レストランの個室は静まり返り、皆は互いの顔を見回すばかり。
それからB子が話し出しました。
確かにプロポーズを受けたのだけど、占って貰ったら相性が悪いので、長続きしないと言われた。
それでプロポーズは断ったの。
と、言うではありませんか。
はぁ?
出席者たちは言葉を尽くして、B子を説得しにかかりました。
「自分の人生を他人の判断に任せてしまうの?」
「相性が悪かったなら、そんなに長いこと付き合ってなかったでしょ」
「まだ間に合うから、彼に謝って遣り直そうと言うべきよ」
などと、B子の気持ちを変えさせようとしました。
B子は言いました。
「プロポーズにすぐにはいと言えない自分がいて、答えを出せなくって占って貰おうと考えた時点で、すでに私が聞きたい答えは決まっていたみたい。だから相性が悪いと言われた時はほっとしたの。断る理由を教えて貰えたように思ったから」と。
出席者全員、ため息。
その後は「B子のこれからにかんぱーい」と唱和。
夜遅くまで食事会が続きました。
占いって、そういうところがありますよね。
すでに聞きたい答えは決まっていて、それを言って欲しくて、占いというツールを使っているだけだったりする。
だから迷っている体ではあっても、占い師を知らず知らずのうちに自ら誘導していく。
それがわかった上で、占いと付き合っていくのが良さそうですね。
私は占いをまったく利用しないんですが。