きちんと
- 2021年07月01日
友人A子はいつもきちんとしています。
そんなA子と以前話をしていた時のこと。
私はほんの冗談のつもりで言いました。
「いつも、きちんとしているよねぇ、パジャマにアイロンを掛けてそうな感じだもん」と。
すると「掛けてるよ」と答えました。
私は驚き過ぎて腰を抜かしそうになりました。
冗談で言ったのに、本当にそんなことをしている人がいたなんて。
私がアイロンを捨てたのはいつだったか・・・正確には覚えていないほど前でした。
10年ぐらいは経っています。
アイロンを捨ててから困ったことは1度もないし、後悔したこともありません。
そう私が話すと今度はA子が目を真ん丸にして、目玉を落としそうなぐらい驚いていました。
ブラウスなどはクリーニング店に出しています。
プロが私の何百倍も綺麗に、アイロンを掛けてくれますから、なんの問題もありません。
お金が掛かる点が気にはなりますが、自分でやる面倒臭さを考えれば、やって頂いた方がいいと思うので。
そうはいってもクリーニング代は馬鹿にならないので、服を買う時に自宅で洗えるか、またアイロンを掛けずに済むかという点は、必ずチェックします。
やがて気が付けば、クローゼットにはカットソーやニットなどの、自宅で洗えてアイロン掛けが不要の服ばかりになりました。
私は恐る恐るA子に尋ねました。
「もしかして枕カバーとかシーツとかにも、アイロンを掛けてるの?」と。
その時A子の目に浮かんだのは驚きではなく、怯えのような色合いでした。
未知の動物を目の前にして、恐怖心を抱いたといった風に見えました。
そしてA子は「勿論」と小声で答えました。
凄い人です、A子は。
毎日一体どれくらいの量の洗濯物に、アイロンを掛けているのでしょう。
相当な量のはず。
偉いです。
と、褒めている場合ではなく、自分のずぼらさを恥じろって意見もありますね、きっと。
A子は遠慮気味に聞いてきました。
「シワシワのままで、構わないの?」と。
シーツはタオル地のものなのでアイロン掛け不要だし、枕カバーは干す時にパンパンと叩いて、それでよしとしてると答えました。
妙な間を置いてからA子は言いました。
「それであなたがいいなら、いいと思うわ」と。
A子は自分の価値観を横に置き、私を受け入れてくれたようです。
人によってどこまでをセーフとするか、どこからをアウトとするかは色々。
私はセーフの範囲が広く、A子は狭い。
ずぼらな私を嫌わずに、これからも友達でいてねと言ったら「一緒に生活しない限り大丈夫よ」とA子。
ひとまず良かった。