泣く
- 2022年06月13日
新刊「残された人が編む物語」の入手は出来ましたか?
「買ったよ」という方、有り難うございます。
ぜひゆっくりと登場人物たちの人生を味わってください。
「まだ」という方、お近くの書店にない時には、店員さんに取り寄せて貰ってくださいね。
この「残された人が編む物語」を読んだ方の感想の中では「泣いた」という単語が多いようです。
書いている方としては、泣かそうと思って書いているシーンは1つもありません。
ただ泣きながら書いていることはありました。
登場人物の気持ちに寄り添って、その心情を言葉に変換します。
その時、涙が出てきたのです。
そして泣きながらキーボードを叩き続けました。
途中洟をかんだりしながら泣き続け、書き続けました。
そんな様子を人が見たら、ちょっと怖かったかもしれません。
以前、電車の中でのこと。
平日のお昼頃で車内は空いていて、私は座っていました。
前のシートには50代ぐらいの男性が。
スーツ姿で仕事のために移動中といった感じ。
その男性は本を読んでいました。
こういう時、読んでいる本のタイトルが知りたくてしょうがなくなるのですが、その男性はブックカバーをしていたため、わかりませんでした。
私は中吊り広告を見上げたり、ドアの側でいちゃついている、高校生カップルに心の中で舌打ちをしたりしてから、ふと前の男性に目を戻したら・・・泣いていた。
おお。
本を読んで泣く男性の姿が新鮮で、ちょっと感動。
そして増々彼が読んでいる本がなんなのかを、知りたくなりました。
男性は一旦本を逆さにして鞄の上に置き、その中からハンカチを取り出しました。
そして目元を拭う。
小さく息を吐いてから、本の続きを読み始めました。
電車の中で豊かな時間を過ごしているんだなと、私は思いました。
私が先に電車を降りたので、彼がその後どんな風に本の世界から気持ちを切り替えて、仕事に戻ったのかは不明。
仕事に悪い影響が出たんじゃないかって?
まさか。
誰かに心を添わせて泣けるなら、きっと心が柔らかい人。
そういう人はきっと仕事も大丈夫。
仕事の多くは、消費者や取引先の担当者といった、人間の気持ちや考えを推測することからスタートするから。
それが出来る人だってことですからね。
違います?