高校生の頃、喫茶店でバイトをしていました。
1階ではパンとケーキを売っていて、2階はそのパンを使った、サンドイッチなどを出す喫茶店になっていました。
私はパン売り場を希望したのですが、人が足りていると言われてしまい喫茶部門で働くことに。
喫茶店では1階で売っているケーキを、食べることも出来ました。
ケーキのオーダーが入ると、階段を下りて1階へ。
ショーケースからケーキを1ピース取り出して皿に。
階段を上って客に出すという流れ。
まだぴっちぴちな年齢だったのに、その頃からメンドー臭がりだった私は、この階段の上り下りが嫌で、どのケーキにしようかとメニューを見て迷っている客には「注文するな光線」をあてていました。
ある日、ショーケースからケーキを1ピース出していた時、隣のケースのホールケーキに目が留まりました。
生クリームの上に載った苺が、ちょっと傾いでいました。
2日後、またショーケースからケーキを1ピース取り出そうとして、ホールケーキに目が。
苺が傾いでいる。
ん?
2日前に見たケーキっぽいような気が。
いやいや、2日前の生ケーキを売る訳がないから、苺は傾いでしまいがちなのだろうと思う。
翌日。
嫌な予感を抱えながらホールケーキをチェックすると・・・寸分違わぬ傾き加減の苺を発見。
もしかして、もしかするのだろうか。
だが「これって3日前に見たケーキですか?」と高校生の私は聞けない。
でも聞きたい。
そこで「ホールケーキってよく売れるんですか?」と先輩に遠回しな質問をしてみる。
すると「ホールケーキはあんまり売れない」との回答が。
「そうなんですか。なんか捨てちゃうの、勿体ないですね」と言ってみる。
「なるべく捨てないようにしてるけどね」と意味深な答え。
私が固まっていると、先輩は自分の口の前で人差し指を立てて「内緒だよ」と楽しそうに言いました。
衝撃の告白に口あんぐり。
そこで働いていた1年の間、先輩から「これ、食べなよ」と店の品を勧められる度に「ダイエット中なんで」と断り続けました。
安心してください。
その後その店は潰れました。
世の中にはそんなとんでもないケーキ店もありますが、新刊「この会社、後継者不在につき」に登場するケーキ店はちゃんとしています。
売れ残った生ケーキを何日も売ったりしません。
真面目に商売をして、10店舗を展開するまでになりました。
社長の目下の悩みは後継者問題。
2人の息子が父親の元で働いています。
どちらに会社を任せるべきなのか。
自分がいなくなった後、兄弟で手と手を取り合って、店を盛り立ててくれるのかを心配しています。
そこで中小企業診断士に相談。
どうやって後継者を決めることにするのか・・・それは本書でご確認ください。
ここ数年よく買っているファッションブランド。
日本の若い女性デザイナーが始めたブランドです。
通販からスタートしたようですが、今ではいくつかの店舗を構えるまでになり、どんどん成長している模様。
ただの一ファンですが、なんだか私まで嬉しくなります。
私はニットの服が好きなのですが、その素材の特性からか、カジュアルなデザインのものが多い。
でもカジュアルなものは得意ではない。
またサイズも1つしかないことも多く、なかなか「これ好きー」と言えるものに出合えないでいました。
そんな中で出合ったこのブランド。
カジュアルではないニットのワンピースなどが多く、サイズ展開も豊富な上、価格もお手頃。
毎週送られてくる新着情報のメールを、心待ちにしています。
このデザイナーが話しているのを、動画で見たことがあります。
夢にまで出てくるくらい、常に服のことを考えていると語っていたのが印象的でした。
ファッションデザイナーなんて、格好良くて憧れの職業ですが、物凄く大変な仕事でもあるでしょう。
好きな服を作っていればいいってもんじゃない。
売れる服を作らなければいけないのですから。
新刊小説「この会社、後継者不在につき」には、オリジナルバッグを販売する店を、経営する女性社長が登場します。
デザインもこの社長が行います。
応援してくれるはずの人が突然いなくなり、孤独に耐えながら、歯を食いしばって仕事をしてきました。
キツい口調で部下たちを叱るのは、不安の裏返し。
でもそんな社長の本心は理解されず、怖い人と思われている。
そして気が付けば、引退を意識しなくてはいけない年齢に。
誰に会社を任せるのかという難題に取り組みます。
会社を愛しているからこそ、後継者の人選には厳しい目であたる。
安心して任せられる人に託したいから。
でも部下たちの中に、お眼鏡に叶う人物はいない。
さて、どうする・・・・といった物語です。
未読の方はぜひ「この会社、後継者不在につき」をお買い求めください。
ある日突然、勤めている会社が、別の会社から買収されたと聞かされたら・・・どんな気持ちになるでしょう。
びっくり仰天し過ぎて、頭も心も真っ白になるのでは。
新刊「この会社、後継者不在につき」の中には、このような状況に陥る人物が登場します。
小さな会社でのんびりと会社員生活を送っていた浩紀は、今の生活に満足していました。
ところが社長が急死。
これから会社はどうなるのだろうかと、社員たちは噂をしあいます。
専務が社長に?
いやいや、奥さんじゃないのか?
などと見立てを披露し合っては、不安にかられていました。
大方の予想に反して会社はM&Aを決断。
別の会社から買収されるという。
浩紀たち社員はどうなってくのか・・・。
続きは本を入手してお楽しみください。
「この会社、後継者不在につき」は小説ですが、実際にこのような事態に、直面する会社員たちは結構います。
これまでの常識が根底から覆されて、なにをどうしたらいいのかと、途方に暮れるといった話をよく聞きます。
良くも悪くも、会社にはルールや慣習があります。
それらに馴染むように働いていたからこそ、現在のそこそこ快適な会社員生活があったのに、そうしたものをすべて見直しますからなんて言われたら、困っちゃいますよね。
友人A子はこうした経験をしました。
勤めている会社の経営が厳しいと、薄々感じていたそうですが、まさか買収されるとは予想していなかったそうです。
しかもそれまでライバルだった会社から買収されるなんて、青天の霹靂だったといいます。
新体制が発表され、配属された新設の部署の名前が、やたら長い割になにをする部門なのか想像がつかず、不安で吐きそうになったと言っていました。
上司となった部長はライバル会社の社員だった人で「これからは仲間として共に頑張っていきましょう」などと言われても、そんな言葉は心に全然入ってこなかったそうです。
会う度に愚痴を言っていたA子。
百万回ぐらい辞めようかと思ったそうですが、十年後の今もそこで働いています。
A子曰く「ある日突然、今日から異国で暮らせと言われたようなもので、毎日カルチャーショックを受けていたけれど、住めば都、郷に入れば郷に従えと考えるようして、なんとか過ごしてきた」とのこと。
働くって大変です。
でも働く中で経験したこと、学んだことが、人を成長させてくれる。
そう信じています。
あっという間に12月。
時間が経つのが早くて、びっくりしてしまいます。
このびっくり具合は年々大きくなっている気がします。
気忙しい時こそ読書を。
いい気分転換になりますよ。
本を開けば、自分の生活とは違う世界が広がっています。
その未知の世界に没入することで、心も頭もリフレッシュ出来るはず。
じゃ、やってみるかと思った方には、新刊「この会社、後継者不在につき」をお勧めさせて頂きます。
タイトル通り後継者がいなくて・・・といった、働くことがテーマの1つになっている小説ではありますが、それだけじゃない。
現役からの引退を考えるお年頃になった登場人物たちは、寂しさを覚えます。
天国に行く前日まで働いていたいとの思いはあっても、そうはいかない。
やはり自らの引き時を、きちんと決めておかなくてはと考えます。
それはやっぱり、とても哀しい。
そんな気持ちと折り合いを付けようと、模索する人たちが登場しています。
ということで、働くのを止める小説でもあります。
働くのを止める時期に悩み、その後の人生をどう過ごしていこうかと迷う彼らを、応援しながら読んで頂ければと思っています。
また後継者候補が子どもだった場合には、より複雑な心情も絡んで、却って後継者選びに苦労することもあるようです、
我が子の性格を知り過ぎているために、これからの会社が心配になってしまうのでしょう。
子どもに承継するのも簡単にはいかない。
大変です。
このように様々な味わい方のある小説が「この会社、後継者不在につき」です。
ぜひお買い求めを。