嫌いな言葉

  • 2024年10月21日

嫌いな言葉があります。
その言葉を聞いた時には、舌打ちしたくなります。
その言葉が目に飛び込んでくると、「けっ」と声にならない音を吐き出したくなります。

その言葉とは・・・「ボーナス」。

フリーランスになっておよそ30年。
そんな私にとって「ボーナス」は忌む言葉なのです。

ボーナスが出る時期になると、この言葉が巷に溢れます。
この言葉に接する度に羨ましくなり、その反動でちょっとムカつきます。
自分でこの道を選んだ癖に。
勝手なもんです。

ボーナスは景気のいい企業で働く正社員が貰えるもの。
フリーランスにはそういうものは頂けません。
そして不安定。

フリーライター時代のこと。
原稿を書き上げて納品し、あとは入金を待つだけ。
そんな時に編集者から連絡が。
「本の発売が延期になったので、ギャラの振込も延期になる」と、しれっと言う。
「いつになりますか?」と聞くと、「半年後」との回答。
膝からくずおれそうになりました。

私はなにも悪くない。
決められた期日通りに原稿を渡したのだから。
それなのに、あずかり知らぬところで決まったことによって、支払いを半年も後にされてしまう。
フリーランスとは、なんて不安定な立場なのでしょう。

新刊「地獄の底で見たものは」には、フリーランスとして頑張る女性が登場します。
田尻綾子は52歳。
ラジオのパーソナリティをしています。
長年帯番組を担当していたため、フリーランスでありながらも生活は安定していました。

が、ある日突然、番組からの卒業を言い渡されてしまいます。
人生の一部となっていた番組を失い、また収入も断たれてしまいます。
フリーランス故の悲劇が綾子を襲います。

舞台の脚本を書く仕事をしている夫もフリーランスのため、収入が安定していない。
留学中の2人の子どもたちの費用を、払い続けられるのかが分からなくなります。
こんなどん底から綾子はどう這い上がっていくのか・・・。
ぜひ本書で確認してみてください。


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