名前

  • 2025年03月20日

小説を書く際に悩むことはたくさんあります。
その中の一つが登場人物の名前をどうするか。

「好きな名前にすればいいんじゃね?」とのご意見もあろうかと思いますが、そう簡単にはいかない。

リアルな人間の場合、名前は自分でつけるのではなく大抵親がつける。
だから小説の登場人物の場合でも、どんな親なのかということが、窺える名前にする必要があります。

またその登場人物の年齢も加味しなくてはなりません。
例えば今、10歳の子がルビを付けなければ誰も読めないキラキラネームであっても、親がヤンキーとは限らない。
時代がキラキラネームを許しているという状況下だから。

でも30代でキラキラネームであれば、親が個性的であるといった、風味付けが必要になってくる。

では昔は大人しい名前ばかりだったのかというと、そうともいえない。
70代でファンキーな名前の人も結構いるから。

ということで、小説に登場する人物の名付けでは、いつも頭を捻って考えています。

ごくたまに、すっと名前が落ちてくることがあります。
すとんと脳内に落下してくるのです。

新刊小説「腕が鳴る」にオウムが登場します。
どういう名前にしようかと考え始めた直後に「銀次郎」という名前が落ちてきました。

前世から決められたことであったかのように、それはもう決定事項といった感じ。
これで即座に名前が決まりました。

ニックネームは「銀ちゃん」。
この銀ちゃんを突然預かることになったのは、64歳の三森泰久。
喫茶店の雇われ店長をしています。

転々と仕事を変えて生きてきた泰久。
引っ越しをしたのですが新居に荷物が収まらず、部屋には段ボール箱が山積み。
そこに押しかけるようにやってきたのが、整理収納アドバイザーの真穂。

渋々真穂からの提案を受け入れた泰久でしたが、やがて灰色だった人生に色が付いていくように。

泰久と銀次郎がどんな暮らしをするようになっていくかは、ぜひ本書をお買い求めの上、お楽しみください。


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