きっかけ

  • 2026年01月05日

アメリカの宝くじで、史上2番目の高額賞金の当たりが出たという。
その金額は日本円で2830億円。
46回にわたって当たりが出ずに、繰り越された結果の額らしい。
2830億円。
金額が大き過ぎてピンときませんが、当選者の人生は変わったに違いない。

こうした大金が舞い込むような出来事以外でも、人生が変わるきっかけは時々やってきます。
私にも何度かありました。

フリーライターとして情報誌で記事を書いていた頃のこと。
楽しいけれど体力的にハードで、なかなか大変な毎日を過ごしていました。

ある日、編集者から資料が届きました。
苺のスイーツ特集をするので、同封した資料で記事を書けというメモが付いていました。
その資料というのは、販売元各社のホームページをコピーしたものや、プレスリリースなどでした。
他誌で紹介された記事のコピーも入っていました。

頭に「?」がたくさん浮かんだ私は、編集者に電話をしました。
「取材しないで書くのですか?」と確認すると、「そう」との回答。
「実物を見ないで、食べないで書くのですか?」と聞く私。
「そう」と答える編集者。
「サブタイトルが食べ比べとなっているので、ただの紹介記事ではなくて、味についても書くんですよね?」と質問する私。
「そう」と言う編集者の声には若干の苛つきが。

最終確認のつもりで私は尋ねました。「それって、フィクションになりますよね?」と。
編集者は「上から経費削減のお達しがあったから、実物を買う経費は出せない。中には現時点で未発売のものもあるから、そうしたものは想像で書くしかないでしょ。だったら全部を想像で書くことだって出来るよね」と宣う。

私はしがない下請けライター。
編集者からそれで書けと言われたら、書くしかありません。
見たことも、食べたこともない苺のスイーツ50個の味を想像し、書き分けるというミッションに臨みました。

苦労しながらもなんとか締め切りまでに記事を書いて納品。
編集者からは「お疲れ様」のたったひと言のメールを受け取りました。

その時に思ったのです。
今回フィクションが書けたのだから、もしかすると小説も書けるのではないかと。
思考ステップが単純過ぎて問題だと思いますが、とにかくその時の私はそう考えてしまいました。

これが、人生が変わるきっかけとなりました。
小説を書くという方向に、気持ちの矢印が向いたのです。
なにが人生を変えるきっかけになるか、分からないもんですよね。

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