嫌いな言葉があります。
その言葉を聞いた時には、舌打ちしたくなります。
その言葉が目に飛び込んでくると、「けっ」と声にならない音を吐き出したくなります。
その言葉とは・・・「ボーナス」。
フリーランスになっておよそ30年。
そんな私にとって「ボーナス」は忌む言葉なのです。
ボーナスが出る時期になると、この言葉が巷に溢れます。
この言葉に接する度に羨ましくなり、その反動でちょっとムカつきます。
自分でこの道を選んだ癖に。
勝手なもんです。

ボーナスは景気のいい企業で働く正社員が貰えるもの。
フリーランスにはそういうものは頂けません。
そして不安定。
フリーライター時代のこと。
原稿を書き上げて納品し、あとは入金を待つだけ。
そんな時に編集者から連絡が。
「本の発売が延期になったので、ギャラの振込も延期になる」と、しれっと言う。
「いつになりますか?」と聞くと、「半年後」との回答。
膝からくずおれそうになりました。
私はなにも悪くない。
決められた期日通りに原稿を渡したのだから。
それなのに、あずかり知らぬところで決まったことによって、支払いを半年も後にされてしまう。
フリーランスとは、なんて不安定な立場なのでしょう。
新刊「地獄の底で見たものは」には、フリーランスとして頑張る女性が登場します。
田尻綾子は52歳。
ラジオのパーソナリティをしています。
長年帯番組を担当していたため、フリーランスでありながらも生活は安定していました。
が、ある日突然、番組からの卒業を言い渡されてしまいます。
人生の一部となっていた番組を失い、また収入も断たれてしまいます。
フリーランス故の悲劇が綾子を襲います。

舞台の脚本を書く仕事をしている夫もフリーランスのため、収入が安定していない。
留学中の2人の子どもたちの費用を、払い続けられるのかが分からなくなります。
こんなどん底から綾子はどう這い上がっていくのか・・・。
ぜひ本書で確認してみてください。
会社員になっていろんなことを学びました。
その一つが組織の中で、生きていくことの難しさ。
全社員が同じ方向を向いている訳ではないので、なにか目立つ動きをすると邪魔されたり、陰口を叩かれたりすることもありました。
「同じ社員なのに、なんで?」と驚いたものです。
成果を出すという目的以外のことに、気を遣わなくてはいけなくて、不毛だなと思ったりもしました。
私が会社員だったのは随分昔ですが、現在も組織の中を渡っていくのが大変なのは同じ。
この難しさはずっとあり続けるんでしょうね。
会社員時代のこと。
稟議書の作成を常務から指示されました。
常務は出張前だったので、忙しかったのかもしれません。
で、作成した稟議書を上司に持っていくと・・・こんな話は聞いてないと言い出します。
内容を口頭で説明しましたが、ハンコが入っているデスクの引き出しに、手を掛けようとしてくれない。
そして再びこんな話は聞いてないと言う。
「それ、さっきも聞きました」なんて言っちゃいけないところ。

常務から直接指示されたのでと私が言うと、「いつ?」と聞いてくる。
案件がどうのこうのじゃなく、自分を差し置いて、部下に直接指示が出たという点が気になって仕方がない様子。
「常務が指示を出そうとした時に、たまたま私が通り掛かったからじゃないですかぁ」などとテキトーに流そうとするも、許して貰えない。
腕を組んじゃって、ハンコを押す気ゼロって感じに。
こんな風に内容の良しあしとは別のところで、業務が滞ってしまうことがあると知りました。
新刊「地獄の底で見たものは」の中に登場する足立英子は51歳。
真面目に仕事をしてきたけれど、世渡りは上手な方じゃない。
ある日、社長に取り入ることが上手な男が取締役に。
この新取締役が色々口出しをしてきて、英子は仕事がし辛くなっていきます。
組織の中で生きていくことの難しさに、ぶち当たる英子。
更にこの新取締役に、これまでの仕事ぶりを全否定された英子は、これからについて考え始めます。
英子がどんな選択をするのか・・・。
興味をもたれた方は本書をお買い求めください。
この小説にはオーディオブック版もありますので、普段本を読まないという方には、こちらで味わって頂く手も。
本日はスポーツの日。
なにしましょ。
私は概ねスポーツはテレビ観戦派。
自分ではなにもしていません。
おっと。
そういえば、フィットネスバイクを漕いでいました。
世間的にはこれはスポーツの括りには入れないでしょうが、私的にはスポーツです。
大体毎日40分ほど、自宅でフィットネスバイクを漕いでいます。
映画を観ながらです。
楽しい映画だと作品に夢中になってしまい、気が付くと足が止まっているなんてことが。
つまらない映画だとペダルが重く感じられて、辛さが倍増します。
40分のフィットネス漕ぎを終えると、汗びっしょり。
Tシャツなんて汗を吸って重くなるぐらい。
なのに体重が全然減らないのはどうしてなのか・・・不思議です。
新刊「地獄の底で見たものは」には、スポーツに携わる女性が登場します。
46歳の大野邦子は、スイミングスクールでコーチをしています。
オリンピックに出場し、惜しくもメダルに手が届かなかったという過去の持ち主。

才能のある教え子の少年をオリンピックに行かせようと、邦子は熱血指導をしてきました。
教え子の夢を実現させてあげるためのスパルタ指導でしたが、いつしか隙間風が。
そしてある日、教え子から連絡が。
他のコーチから指導して貰うことにしたという。
二人三脚でオリンピックを目指しているつもりだったけれど、自分の夢を押し付けていただけだったのだろうかと、愕然とする邦子。
それまで特に疑問ももたずに、たくさんの子どもたちに水泳を教えてきた邦子は、壁にぶち当たります。
どう教えたらいいのかが、分からなくなってしまったのです。
そこで邦子が取った行動は・・・?
邦子の踏ん張りに興味を覚えた方は、ぜひ本書を手にお取りください。
新刊「地獄の底で見たものは」が発売になりました。
お住まいの地域によって発売日は前後しますので、店頭などで見つけられなかった場合には、書店員さんにお問い合わせくださいね。
お蔭様でこれまで小説を発表させて頂いてきましたが、何度経験しても、新刊の発売は嬉しいものです。
ようやくここまで来たという安堵感もありますし、形になったことに興奮も覚えます。
同時に不安も湧き起こります。
つまらないと思われるのではないか、嫌いと言われるのではないか・・・といった心配が次から次へと浮かんでくるのです。
この感情は恐怖という言葉に近いのかもしれません。
この恐怖感が強くなり過ぎて、発売の前日に悪夢を見たことがあります。
私が殺し屋集団に追い駆けられる夢です。
相手は大勢。
私はとにかく逃げます。
工事現場のようなところに逃げ込んだのですが、結局捕まり、殺し屋たちに取り囲まれます。
で、顔に硫酸を掛けられます。
ギャーと悲鳴を上げました。
この自分の悲鳴で目が覚めました。
心臓がバクバクいっていた記憶が残っています。
発売日を前にして、情緒が不安定になっていたせいで見た悪夢だったのでしょうか。

今回は悪夢までは見ませんでしたが、不安の大きさはいつもと同じ。
作家であり続ける限り、この不安は付いて回るものなのでしょう。
今日はこの小説「地獄の底で見たものは」の中の登場人物の1人を少しご紹介。
伊東由美は53歳。
専業主婦として長年生活をしてきました。
食費を抑えるために庭で野菜を育て、家事を切り盛り。
不満の一つや二つはあっても、それはそれと受け入れての暮らし。
平穏な生活がずっと続くと思っていました。
ところが。
ある日突然、断崖絶壁から突き落とされるような出来事に襲われます。
由美は1人で生きていかなくてはならないはめに。
53歳で。
由美がこの地獄でなにを見るのか、そしてどうするのか・・・。
興味をもたれた方はぜひ本書をお読みください。