世の中には、解明できずに、謎のままといったことが結構ありますね。
以前住んでいた街には、鳥の鳴き声という謎がありました。
夕方、商店街を歩いていると、鳥の鳴き声が聞こえてきます。
これ、一羽、二羽といった量ではなく、何千羽いるんだろうかといったぐらいの鳴き声。
えっ? と、空を見上げてみますが、鳥の姿はゼロ。
やがて、空から聞こえてくるといより、もっと近くから聞こえてきていると気付きます。
でも、鳥の姿はゼロ。
その商店街は、一階を店舗、二階を住居としているところが多かったのですが、そんな大量の鳥を飼っていそうな店舗も住居も見当たりません。
でも、鳥の鳴き声は確かに聞こえてくる。
なんだろう、これは。
鳥好きな人が、大量に室内で飼っているのか、ブリーダーのような人が住んでいるのか。
わからないまま、月日が過ぎていきました。
ほぼ同じ時間に商店街を歩いていても、聞こえる日と、聞こえない日があるのも不思議でした。
やがて、そうした不思議にも慣れてしまい、聞こえてきても、あぁ、今日は聞こえているな、ぐらいにしか感じなくなっていました。
ある日、私の前を歩いていた人が、突然、空を見上げたり、きょろきょろと辺りを窺ったりしている様子を発見しました。
少し前の、私も、あんな感じで、鳥の鳴き声に反応していたのだろうと思うと、仲間意識のようなものを感じました。
そして、きっと、あなたも、謎を謎のままにして、やがては受け入れるのだよと、心の中で呟いていましたっけ。
その後、その街を引っ越しましたので、今も、謎の鳥の鳴き声があるのかどうかは、わかりません。

謎のままという話をもう一つ。
同じマンションの四階に住むカップルがいまして、男性より女性の方が、かなり年上と、お見受けしておりました。とても仲がいいようで、いつも二人一緒。同じ職場なのか、夕方頃、二人揃って出勤する姿を何度か見かけていました。
ある日、エレベーターで一緒になった二人組を、ちらっと見ると、一人は四階に住んでいる男性。
が、隣にいるのは、初めて見る若い女性。
おいおい、浮気なら、彼女の家に行け、などと、心の中でつっこみました。
しばらくして、また、四階に住む男性を見かけた時には、隣には浮気相手の若い女性がいて、どうも一緒に四階で暮らしている様子。
浮気じゃなかったのかよ、年上の人はどうなったのかよと、その男性の襟首を摑んで、問い質したくなってしまいました。もう、自分の立ち位置が、わからなくなってますね。
が、そんなこと、できるわけもなく。
それから半年ほど経ったある日。
インターフォンが鳴ったので、モニター画面を覗くと、見知らぬ男性が。
「私、弁護士の○○と申しますが、四階に住んでいた△△さんが、どこに行ったか、ご存知ありませんか?」と質問されました。
つい、「△△って、男性の方ですか?」と聞いてしまったところ、「賃貸契約書は女性の名前ですが、男性と一緒に住んでいたのでしょうか?」と質問返しされてしまい、迂闊なことを言ってはいけないぞと、心の声がしたので、「ほかの階の方と勘違いしました」と返答。
弁護士さんは四階の女性は夜逃げしたと語り、いつから姿を見なくなったか、引っ越し業者のトラックなどがマンションの前に停まっていたことはなかったか、と尋ねてきました。
△△さんとは、最初の年上の女性でしょうか? それとも、後から登場してきた若い女性?
夜逃げって、どういうことでしょう。
弁護士さんが登場した理由は?
謎、たくさんあり過ぎ。
ドラマでしたら、最終回までに、すべてが明らかになるでしょうが、現実は、これが最終回。
謎は謎のまま。
世の中には、こういうこと、結構ありますよね。
女には2通りあって、1つは、ぬいぐるみや人形を捨てられない人。もう1つは、ポイポイ捨てられる人。
ぬいぐるみのところを「男」「過去」「仕事」「友人」などに、置き換えることもできると、思っていまして、拙作「ハタラクオトメ」の中にも、書いたことがあります。
「意外ですね」と言われるのですが、私は捨てられないタイプでして、仕事場には3体のぬいぐるみがあります。
1つは、以前、ドイツにサッカーワールドカップ観戦旅行へ行った時に、1ユーロショップで買った、高さ10センチほどの小さな熊のぬいぐるみ。金具が付いていて、キーホルダーとして使えるようです。当時、1ユーロ≒100円程度でしたから、1対が約100円とお買い得なうえに、胸にドイツの国旗と、ドイチェランドと文字が入っていたので、お土産にいいわと、大量に買いました。あちこちに配った後、1体だけ残ってしまい、それが、未だに手元にあります。

今更ながら、よく見ると、胴体に直接国旗と文字が縫い付けられていて、擬人化した場合、結構、残酷な状態であることに気付きます。また、蝶ネクタイの正装姿を施している点も不可解なうえ、その蝶ネクタイも、首のあたりに、直接縫い付けられているという、簡便に作っちまいました感がたっぷり。1ユーロなんだし、こんなもんでいいだろ? といった作り手の声が聞こえてくるようでもあります。
2体目は、同じドイツ旅行時に、デパートで、一目惚れして買ったロバのぬいぐるみ。
ドイツといえば、当然、テディベアが有名ですから、買うなら、熊だろうという大方の予想を裏切って、なぜかロバを選びました。
ドイツ語はわからないので、推測ですが、どうも、テレビアニメかなにかで、ドイツの子どもたちに人気のキャラの、ぬいぐるみのようです。
ロックなロバでして、頭には赤いバンダナを巻き、白いTシャツの上に、黒の革ジャンを羽織っています。喧嘩っ早いのか、体のあちこちには、怪我の痕が。ワイルドだろぉ~なのです。高さは20センチほどです。
3体目は、高さ7センチほどの犬のぬいぐるみ。
以前、友人の娘さんがくれたものです。
友人と、その娘さんが我が家に来訪した際、当時、3つか4つぐらいの娘さんが、とても大事にしていたその犬のぬいぐるみを、なぜか、私にくれると言い出し、そう言われると、全然いらないとは言えなくて、頂戴することに。
そして、どこかの引き出しに入れたっきり、忘れていたのですが、半年ほど後に、友人の母娘が再来訪した際、「あのワンちゃんは?」と聞かれ、大慌てで部屋中探しまくるといった騒動がありました。
「かくれんぼが得意なんだよね、このワンちゃん」とかなんとか言って、必死で取り繕った記憶があります。
もう中学生になった、その娘さんが、犬のぬいぐるみの存在を、これから確認してくることはないとは思うのですが、もしかしたらという思いも拭えず、処分できずにいます。
あなたは、捨てられない人ですか? それとも、ポイポイ捨てられる人ですか?
静かに、でも、とても深く胸に刻まれた映画をご紹介。
まずは、「わたしを離さないで」。

この透明感と空気感はなんでしょう。
現実世界より、数センチほど浮いているような、浮遊感が全体的に漂っています。
ストーリーが進み、登場人物たちが背負っている残酷な運命がはっきりとし出すと、この浮遊感が、お伽噺を表現するのに必要だったのだとわかります。
カズオ・イシグロさんの原作は読んでいないので、わからないのですが、原作もこのような浮遊感漂う作品だったのでしょうか。
お伽噺にしては、あまりに切なすぎる結末。
観終わった後、ゆっくりと胸に浸み込んでくる感動がありました。
奇想天外な設定を用意はしているものの、描いているのは、人間の本質という点は、私が大好きな作家、星新一さんの世界観に近いように感じられました。
次にご紹介するのは「イリュージョニスト」。

80分ほどのアニメーション作品です。
ほとんどセリフがないという、独特の静けさの中、落ちぶれた手品師と、少女の物語が進んでいきます。
アニメーション作品にありがちな大袈裟な表現は一切なく、淡々とストーリーが進んでいくところが特徴。
少女が、手品師を魔法使いと思い込んでいるという設定が、最初は微笑ましく思えるのですが、それがやがて、残酷だと感じられるように、変化していきます。
そして、とても苦い結末へと向かっていきます。
ストーリーは、大人向きのものなので、どうしてアニメーションで制作したのだろうかと、思いもしたのですが、よくよく考えてみれば、これを実写でやってしまうと、残酷さが強く出過ぎてしまい、余韻を味わえなかっただろうことが推測できます。
そういうことも、あるんだよね、と、なんとか受け入れられるのも、アニメーションという一枚のベールがあるお陰かもしれません。
2作品の共通点は、静寂さ。
作り手としては、登場人物にドタバタさせた方が、ストーリーを動かし易いと思うのですが、そうはせず、敢えて、静けさをドンと置いておき、そこを、ゆっくり物語を進ませていくという、難しい方を選んでいます。
それが、2作品を成功に導いているように感じられました。
冷え性の私にとって、冬との戦いは壮絶を極めます。
まず、靴下を着用し、ルームシューズを履きます。
この足を、座布団サイズのホットカーペットにのせるのですが、これだと、まだ寒い。
そこで、ルームシューズの足先部分に、カイロを貼り付けます。
次に、バスタオル2枚を、膝にかけ、そこに、重しのように、貼らないタイプのカイロを置く。
さらにブランケットを肩に羽織るようにして、ずり落ちないよう、洗濯バサミで留める。
これが、冬と戦う私の戦闘服でした。
宅配便の人が来た時なんかは、もう大変。
もたもたしているうちに、帰られてしまった経験もあるので、猛スピードで一枚いちまい脱ぎ捨てていきます。
もう、歌舞伎役者の早替りかってぐらいのスピードです。
そうして、ドアフォンのある場所まで辿り着き、ドアを開錠し、荷物を受け取った後は、床に落ちているブランケットやタオル、カイロを拾って戻り、再び、パソコンの前で、戦闘服を着用します。
これ、結構、メンドー。
着脱が億劫になって、なかなかトイレに行こうとしなくなるという、身体によくないことまでしでかしてしまいます。
ところが、ところが。
今冬は、カーボン足湯というグッズを購入したお陰で、早替りをせずともよくなったので、チャイムが鳴っても、ふふふんと、鼻歌まじりの余裕でドアフォンにまで辿り着けるようになりました。
時には、スキップする余裕まで。

これ、コンパクト1人用こたつといった趣き。
グッズの中に足をすぽっと入れると、L字状に入っているカーボン発熱体なるものが、脚を温めてくます。
ホットカーペットが、足の底だけを温めてくれるのに対して、これは、脚全体を温めてくれるので、バスタオルや、カイロが不要になり、とっても身軽になりました。
名前を付けようかと思うぐらい、溺愛しています。
グッズのお陰で、冬との戦いに、勝てたような気がしている、今冬です。