ここ数年、取材や打ち合わせなどの時に、使っているのがロディアのノートです。

ノート
中には紫色で方眼の線が引かれています。
表紙はオレンジだし、中の方眼の線は紫だしで、最初は目がチカチカしましたが、慣れると、これはこれで、面白いセンスかなと思って、愛用しています。
フランスのブランドで、製造もフランスのようです。
カットラインがあって、そこから、切り取ることができると謳っているのですが、どうも、作りが甘く、きれいにすぱっとは切れません。
綺麗に切れないのは残念なので、カットラインに沿って一度折ってから、切っていくのですが、それでも、まま、失敗します。
日本製では絶対にあり得ない、切り心地の悪さです。
以前、靴関連の会社でOLをしていたことがありました。そこでは、フランスの高級ブランドシューズを扱っていました。1足、5~6万円ぐらいの価格の高級靴でしたが、細部のツメは甘いものでした。普通、革は色落ちしないように、加工処理をしたものを使うのですが、そのフランス製の高級靴は、そういったことには無頓着でした。加工していないものを使うので、メチャメチャ色落ちしました。靴を脱ぐと、足の指は真っ黒になってしまうのです。当然、日本ではクレームになります。
フランスの担当者にそう告げると、「フランスでは人前で靴を脱がないからなぁ」と言い、「文化の違いだね」と話をまとめられてしまいました。
いやいや。
人前で脱がなくたって、いつかは脱ぐんだから、その時、汚れてたくないでしょ、と思いましたが、こういった考えは、フランスの人たちにはまったく通じませんでした。
会社から再三に渡って、色落ちしない革を使うよう、要望書を提出し続けましたが、一向に改善されませんでした。日本人は細けぇなぁと思われていただけのようでした。
今から二十年も前の話ですので、現在では、そういったことは改善されたのかもしれません。
色落ちする靴も、切り心地の悪いノートも、ツメが甘くて残念なのですが、それらを忘れさせるほどの魅力があるというのも事実。
なんとも言えない個性的なデザインや、独創的なセンス。こういったものがあると、少々の欠点も、受け入れてしまえるような気がします。
その欠点もまた、味。なんて、大人な感じで受け入れてしまえているから、不思議です。
六本木のミッドタウンに入っているショップで買ってきた、フルーツタルトです。

フルーツタルト
見た目が涼しげで、選んでみました。
なんでもない日が、なんだか特別な日になったような気にさせてくれますね、ケーキって。
日本の映画を観ていると、ケーキが登場する場合、それは、土台がスポンジケーキでできている(ふわふわの)ことが多いように感じます。
海外の映画では、スポンジケーキもありますが、同じくらい、タルトも登場しているような気がするのですが、私の思い過ごしでしょうか。
そういったシーンで、ちらっと映るタルトは、どんだけ食うねんと、つっこみたくなるような、大きさのタルトであるケースが多いという印象もあります。
時に、そのタルトは、母親が昔から作ってくれる、懐かしい味として挿入されていたりして、生活の中に深く浸透しているっぽいことも窺えます。
日本でいうと、味噌汁やカレーライスのような、ポジションの食べ物なのかもしれません。
仕事場にいらしたゲストのために、ごく稀に、マフィンを焼いたりすることもあります。1年に1回、あるかないかぐらいの、気まぐれを起こした時なのですが、いかんせん、我が腕に自信がありません。そこで、ゲストに「手作りなんです」とカミングアウトした後で、まず、半分に割ってみてくれとお願いすることになります。中まで火が通っているかを、目で確認して、大丈夫だと思ったら、口に入れてみて欲しいと説明します。さらに、お腹を壊したら、ごめんなさいと、先に謝っちゃいます。
出す方も、食べる方も、ドキドキです。
そんな緊張感の中で食べさせられるゲストは、たまったもんじゃありませんね。
作った本人を前にして、不味いとも言えないでしょうし。
おもてなしのつもりが、嫌がらせのようになっているのが、我ながら、イタイところです。
今年の夏は、なるべくエアコンを使わずに節電したいと考え、保冷剤を使ってみることにしました。

おでこに巻くタイプ

アイピロー
パープルのが、保冷剤を入れたバンドをおでこに巻いて使うタイプのもので、グレーのは、やはり保冷剤を入れて使うアイピローです。
これで、頭すっきり、仕事もはかどるのではないかと期待していましたが、なかなかそうはいきません。
おでこに巻いて使う方は、着用して1分もしないうちに、額に痛みを感じてきます。冷え過ぎてしまうのです。そこで、額とバンドの間にハンカチを挟んでみたのですが、今度はどうもぬるく感じてしまいます。
次に凍らせた保冷剤をしばらく放置して、ぬるくさせた上で、おでこに巻くという作戦に出てみましたが、時に冷た過ぎ、時にぬるくて、丁度いい塩梅のタイミングを見つけるのは大変だということに気がつきました。
そもそも、仕事を捗らせようと立てた計画だったのに、これでは、保冷剤に気を取られ、仕事に支障をきたしかねません。保冷剤に囚われてどうすると、己を叱咤し、今度はアイピローと向き合うことにしました。ところが、残念なことに、アイピローにも同じ問題点が。このようなことに、ぶち当たっているのは、私だけなのだろうかと、孤立感さえ覚えてきます。
この買い物は失敗だったかと諦めかけた時、ひょいとバンドを頭にのせてみました。
ん?
丁度いい――。
毛髪のせいなのか、額では受け止めきれなかった冷たさが、頭頂部では気持ち良く感じられます。そうか、使う場所を変えればいいのかと、気がつきました。
そこで、アイピローは目の上にという固定観念を、かなぐり捨ててみることに。
ありました。
丁度いい場所が。脇の下。
かくして、頭に保冷剤をのせ、もう1つの保冷剤を小脇に挟むという、スタイルが確立されました。
これで、今年の夏を、なんとか乗り切りたいもんです。
決して人様に見せられる格好ではありませんが。
毎年人間ドックを受けます。
そこでの計測によれば、3年連続で、身長が1センチずつ、伸びています。
成長期であれば、喜ばしいニュースでありましょうが、この年になると、首を捻るばかりです。
昔のように、検査人の目視での数値なら、誤差だと納得もできるのですが、毎年計測してもらっているクリニックでは、自動式の計測器を使っています。
検査人がスイッチを押すと、頭上でスタンバっていた、板状のものが、ためらいもなく私の脳天にストンと落ちてきます。思わず「いてっ」と声を上げてしまうほどの、衝撃です。しかし、その板状のものは、逃げるようにスルスルと元の高さに戻って、知らん顔。といった、非常にクールな計測器です。3年連続でミスをするようなヤツには思えません。もしかしたら、本当に身長が伸びているのかもしれません。
人間ドックの後で、体重計の身長の数値を修正します。
毎日1回はのっている体重計がこれです。
4年ぐらい使っているので、ちょっと傷が目立ちますね。
この体重計の数値を修正するのは、人間ドックのほかに、誕生日にも行います。
誕生日には、年齢の数値を1つ増やさなくてはいけませんから。
大変お恥ずかしい話なのですが、私は自分の年齢を、ちょいちょい忘れます。
仕事柄、十歳の少年の気持ちになろうとしたり、七十歳のジジイの心で世界を見るように努めたりしているうちに、本当の自分の年齢がいくつだったか、すぐに思い出せなくなってしまいました。
普段は、別に困ることもないのですが、ホテルにチェックインする時などに、ちょっと焦ります。
宿泊者カードに記入を求められますが、大抵、そこには年齢を書く欄があります。
そこで、ぴたっと手が止まってしまいます。果たして、私は今、いくつだったかしらと。
そこで、今年は2011年だからと、生まれた年との間で、引き算をしようとします。生年月日の数字は、覚えています。
ところが、4桁から4桁の引き算になると、それはそれでやっかいなものでして、隣の位から借りてきて、なんて考えてるうちに、時間ばかりが過ぎていきます。終いには、フロントスタッフから、「そこは、書かなくてもよろしいですよ」と優しい言葉をかけられたりしてしまいます。その顔には、「年齢を隠したいんですよね」といった表情が浮かんでいます。
「年齢を隠したいわけではなくて、思い出せないんです」と言いたくなりますが、その方が、却って、理解は得られないだろうと思い、宿泊を拒否されるのは困るので、半笑いするだけにして、フロントスタッフの好意に甘えるようにしています。
この体重計のスイッチを入れると、その都度、入力してある年齢が表示されているという事実に、最近気付きました。
基礎データが毎回表示されていることに、どうして4年も気が付かなかったのかと、己のぼんやり具合にびっくりしますが、同時に、これで、もう年齢を忘れることはないだろうとの確信も覚えました。
毎日、自分の年齢の数字が、目に飛び込んでくれば、よもや、忘れまいと、思うのです。
これからは、ささっと、宿泊カードに記入できる人になれるのではないかとの、希望がもてました。