火の用心

  • 2014年02月03日

高層ビルが立ち並ぶいっぽう、昔ながらの町並みも残っている場所に住んでいます。
昼間はビルで働く人たちの姿を大勢見かけますが、夜になると、犬を散歩させている親子連れに遭遇するなど、時間帯や曜日によって、雰囲気をがらりと変化させる街でもあります。

この街では、毎年12月頃から、「火の用心」という声が聞こえてくるようになります。
私が住んでいるマンションの隣にある、町内会の集会所で、大体午後の11時前後から火の用心隊の見回りがスタートします。
住民に注意喚起をするため、拍子木をカチ、カチと打ち鳴らしながら「火の用心」と大声を上げて町内を練り歩くのです。
これは、週に2、3回不定期で行われているようです。
30分程で帰って来るようなので、街の規模が大きくないことがわかります。
hinoyouzinn
引っ越してきて初めて耳にした時には、こんな都会で、「火の用心」という声を聞くことになるとはと、かなり驚きました。
やがて慣れてくると、「火の用心」の声の種類が七、八種類あることに気が付きました。
交代で見回りをしているのでしょう。
小さい声の人、かすれ声の人、やけに1つひとつの音を伸ばす人・・・と、それぞれの個性を理解するようになります。

その中に1人、とても上手い人がいます。
なにをもって、「火の用心」を上手いと判断するのかというのは、それぞれの考えがあるかとは思いますが、私のお気に入りのその人のは、楽しそうで、まるで歌うようなのです。
嫌々やっているのか、楽しんでやっているのかというのは、結構受け手に伝わるもんですよね。
その人は、とても楽しそうに言うのです。「火の~よ~じ~ん」と。
さらにアドリブも多くて「みなさま~、今夜もさむ~くなって~、まいりました~。月が~とっても~きれい~なので~、明日は~晴れそうで~す。くれぐれも~火の元には~ご用心くださいませ~」といった具合。
オッケー、わかった。と思わず返事をしそうになったことが、何度あったことか。

火の用心と言いながら町内を見回っている人たちに対して、何の役に立っているんだとか、騒音だとか、批判的な人もいらっしゃるようですが、私はいつまでも、皆さんに続けて欲しいなぁと思っています。
おっ、来たな。寒いのに、ご苦労様と、労う気持ちでいっぱいです。
さてさて、今夜は、お気に入りの人の「火の用心」を聞くことができるでしょうか?

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