友人A子は10代の頃から音楽が好き。
聴くだけでなく、自身でピアノを弾くし、ギターも弾く。
よくコンサートにも出掛けていました。
A子の自宅にはレコードやCDが大量にあったことを覚えています。
A子の歴代の彼氏たちは皆音楽好きで、飲み会などで音楽の話になると、あーだこーだと意見や感想をぶつけ合っていましたっけ。
そうした話についていけない私は「へぇ」といった程度の薄い興味しかもたず、ここぞとばかり飲み食いに集中するようにしていました。
そんなA子はやがてOLになり、結婚し、母ちゃんになり、独身に戻りました。
そしてしばらくご無沙汰していた音楽と、向き合うようになったそうで。
ライブハウスで演奏するから来てよと誘われました。
花を持ってライブ会場に行くと、ステージにはピアノとドラムの他には椅子が1つあるだけ。
予定時刻から少し遅れてステージにA子が登場。
ピアノの前に座ります。
ドラムに1人が着き、バイオリンを持った人が左端に立ちました。
そして1つあった椅子には、アコースティックギターを持った人が座りました。
どんな音楽なのだろうと思っていると、1曲目が始まりました。
皆が知っている曲でドーンと盛り上がってとなるのかと思いきや、オリジナル曲を演奏しています。
それがどんな曲かと言いますと・・・環境音楽っぽい。
人間ドックでMRI検査を受ける時、動作音を遮断するため着けられる、ヘッドフォンから流れてくる音楽のような感じ。
毎年人間ドックで良く言えば優しい、悪く言えば摑みどころのない音楽を聞かされる度に、もう少しノリのいい曲に変更して貰えないだろうかと思っていました。
ノリのいい曲だと検査に悪影響が出るのでしょうか?
薄い検査着を着せられ、機械に入れられているという状況下にあって、癒しの音楽は全然心に響かないのですが、それは私だけでしょうか。
A子が好きだった音楽はロック系との記憶があったので、てっきりそういう類の曲だと思っていましたが、まさかの環境音楽系。
そうとは思わず、やや風邪気味だった私は、家を出る前に風邪薬を飲んでいました。
おわかりですね?
眠気が私を襲うのです。
1曲目からはまずいってと、私は自分を叱咤します。
ですが、眠い。
太腿を叩いたり、コーヒーを飲んだりで、なんとか1曲目を乗り切りました。
が、2曲目もやはり1曲目とほぼ同じ曲調。
どうしてこんな前の方の席に座ってしまったのだろうと後悔するも、今更席を移動する訳にもいかず、太腿を叩き続ける。
しかしながらやがて眠気の方が勝利。
1度「おはようございまーす」とA子の声を耳にしたような気がしましたが、その前後の記憶はなし。
拍手の音に驚いて目を覚ました時には、A子がいくつもの花束を抱えて、ステージの中央に立っていました。
どうやらライブは終わったようです。
爆睡してしまった私はA子に合わせる顔もなく、受付を手伝っていた人に花束を渡すと、そそくさと退散しました。
私に残された選択肢は2つ。
寝てませんと嘘を押し通すか、寝たのを認めて風邪薬のせいにするか。
迷っているうちにA子からメールが。
「私たちが目指しているのは、心を解放する音楽なので、ライブ中に寝てくれるのは嬉しいことでした」と書いてありました。
おとなー。
様々な経験をするうちに、好きな音楽が変わったということなのでしょうか。
小説や映画でもこういうことはありますよね。
若い頃読んだ時にはちっとも面白いと思わなかった小説が、年を重ねて再読してみたら、心に響いてきて号泣した・・・なんてことがありますから。
今回の教訓。
友人のライブの前に風邪薬は飲まない。
風邪薬を飲んだ時には、後ろの方の席か、壁際の席にする。
黒のクロップドパンツを買おうと思い立つ。
私がパンツを買うのは結構大変な仕事。
何故ならば太腿が極太だから。
私が穿けるほどの太さのあるパンツは、滅多にないのです。
太腿の太さを基準にパンツを選べば、ウエストがブカブカに。
ウエストを基準にパンツを選べば、足が入らない。
服を何度か買っているサイトで探してみました。
が、そこに記されている太腿周りのサイズは、私のより2センチ以上短い。
やはり何度か購入経験のある他のサイトも見てみましたが、そっちでは太腿周りのサイズの記述がない。
ウエスト、ヒップ、股上、股下、裾幅の長さは書いてあるのに、太腿周りの記述はない。
こうした時に縋るのが通販専門ブランドのサイト。
そもそもカタログ通販からスタートしているところでは、サイトでの表記がとっても親切。
太腿周りのサイズ表記がないパンツなど1本もない。
そこで見つけました。
私の極太太腿が収まるパンツを。
買おうと思ったら・・・ない。
5サイズ展開しているうち、私のサイズだけ売り切れ。
残念というのはこういう時に使う言葉。
しょうがないので、再入荷したらメールで連絡してくれるサービスに申し込む。
1週間後。
再入荷したとのメールが。
喜び勇んでサイトにアクセスすると・・・売り切れている。
は?
メールをよく読んでみると・・・予約購入や取り置きではなく、再入荷メールの場合は、入荷した段階で連絡するが、同時にサイト上でも情報がアップされるため、タイミングによっては他の人に売れてしまう場合もある云々と注意書きが。
メールを受信したのは午前11時。
そのメールを私が読んだのが午後5時。
読了後すぐにアクセスしましたが、サイトアップからは6時間経っていた。
この6時間のうちに他の人に買われてしまった・・・みたい。
マジですか?
先日会ったファッション業界の方は「今は服が売れない」と嘆いていらっしゃいましたが、私の周囲では、争奪戦ともいえる状況になっているのは何故なんでしょう。
そしてクロップドパンツを探す旅は今も続いています。
早くこの旅を終えたいもんだと思っています。
食事の片付けをしている時のこと。
ふと、炊飯器のモニター画面に目がいく。
そこには現在の時刻が表示されているのですが、ちょいとおかしい。
スマホに表示された時刻と比べてみると、5分程進んでいる。
その日の白飯はフツーに炊けていたので、時刻だけおかしくなったのだろうかと疑問を抱きながら取扱説明書を開く。
正しい時刻に設定をし直す。
それから約2週間後のこと。
ふと、炊飯器のモニター画面に目がいく。
また5分程進んでいる。
そういえば・・・と2週間前のことを思い出す。
その後炊飯は出来ていたので、すっかり忘れていましたが、時刻表示がおかしかったのでした。
何故我が家の炊飯器は生き急ぐ?
炊飯はフツーにできていることからすると、ご飯を炊くという行為と、時刻を表示するという機能は別物なんでしょうか?
家電製品にとって時刻を正確に刻むのは難しいことなのでしょか?
我が家のエアコンのリモコンはのんびり屋さん。
1ヵ月で1分ぐらい遅れる。
設定をし直すのがメンドーで放置しておくと、半年後には6分。1年で12分ちゃんと遅れる。
エアコン自体はフツーに稼働しているので、また同じ疑問が。
部屋の温度を上げたり下げたりする本来の行為と、時刻を表示するという機能は別物なのかという疑問の先には、家電製品にとって時刻を正確に刻むのは、難しいことなのかという問いが生まれる。
素人が想像するに、白米を炊くのは結構大変そう。
プログラム通りに強火にしたり弱火にしたり。
予約設定した炊きあがり時間から逆算して「それじゃ、そろそろ始めますかな」と判断し、「まず強火で行くから」「オッケー」「そろそろ弱火にして」「オッケー」・・・とそこそこ大変な仕事をチームでしている感じがする。
エアコンも「あと10度上げろってよ」「マジですか? 無理っすよ」「断らねぇのが俺らのルールなんだ」「そのルール変えて貰えないっすか?」「無理だね。こちとらそれで三十年やってきてるんだ。ぐだぐだ言ってねぇで、さっさとやっちまおうぜ」・・・なんて、徒弟制度が残った中で仕事をしていそうな気がする。
一方時刻を刻むのは、チームの中に今一つ溶け込めていないオタク系。
多分眼鏡を掛けている。
皆が心を一つにして働いている横で、自分だけが違う仕事を担当している。
なので、仕事が終わった時に皆とハイタッチしたり、達成感を味わったりができない。
それでつい仕事に対する情熱を失ってしまって、時刻を早く刻んでしまったり、遅れてしまったりしてしまう・・・。
なんて妄想を広げたところで、原因がわかるはずもなく。
原因がわからないので対応の仕方もわからない。
時々自分で時刻設定をし直すしかないようです。
生き急ぐ炊飯器と、のんびり屋のエアコンのリモコンと、なんとか上手に付き合っていきたいと思うばかりです。
ゴミを捨てようとマンションの1階へ。
オートロックで開閉する自動ドアを抜けて、正面玄関へ向かう。
と、床に綿棒が落ちているのを発見する。
はて?
そこはマンションの敷地内。
オートロックの自動ドアの手前部分なので、宅配便の人や新聞配達員やチラシ投函者などが出入りできる場所。
そこに1本の綿棒が落ちている。
なにかを落としてしまうのはどういう場合かと考えますと・・・手に持っていて、ついうっかり落としてしまうといったケースがありますね。
がしかし、綿棒1本を剥き出し状態で持って歩いている人を、これまでの人生で見かけたことがない。
なので、これは考えにくい。
バッグからなにかを取り出そうとした時、別のものも同時に引っ張り出してしまい、落っことすといったケースもあるでしょうか。
しかしこれだと、バッグの中に綿棒1本が剥き出し状態で入っていたということになり、そのような状態で持ち歩いていた綿棒を、なにに使うんだといった疑問が。
私のようにゴミを捨てようと歩いていた時、ゴミ袋からこぼれたといった可能性はどうでしょう。
この可能性はゼロではない。
ゴミ袋の底に穴が空いていて、そこからぽろっと綿棒が1本落ちちゃったというケースです。
綿棒1本だけが落ちるという可能性が、どれくらいのパーセントなのかはわかりませんが、なくはない。
そういう奇跡を今目の当たりにしているのだということにして、その日はまとめました。
ところが。
それから10日ほど経ったある日のこと。
同じ場所にまた綿棒1本を発見。
ええええ?
ゴミ袋の底に穴が空いていて、そこからぽろっと綿棒が1本だけ零れる奇跡が2度続く?
前回私が作り上げた物語が崩壊していく音が聞こえた気が。
必至で考えましたが、1本の綿棒がそこに落ちた理由を推察できず。
翌日には掃除のスタッフが片付けてくれて、綿棒はなくなっていました。
掃除のスタッフは、私と同じように「ええええ?」と思ったでしょうか?
掃除のスタッフは常駐ではなく面識はありません。
ただ粗大ゴミを出した時や、共有施設のドアの鍵が故障した時などに、管理人用の郵便受けにメモを入れることがあり、そうすると私の郵便受けに返事の紙を入れてくれるため、間接的なコミュニケーションはあります。
時には私たち文通してる? と思うほど、メモのやり取りが続くことも。
なので面識はないのですが知り合いのような感覚。
その知り合いのような掃除のスタッフに尋ねてみたいのです。
綿棒1本落ちてた理由ってなんだと思う? と。
そういうことってよくあるの? とも。
しかしながら、変なことを聞いて来る妙な人と思われたくなくて、まだ質問できていないのですが・・・。
皆さんは理解できないものが落ちているのを見つけてしまう経験って、ありませんか?