今年も残すところ僅かとなりました。
今年はどんな年でしたか?
私は文庫では「じゃない方の渡辺」「たそがれダンサーズ」の2冊を、単行本では「この会社、後継者不在につき」を出版させて頂きました。
様々な方たちのご尽力とサポートのお蔭です。
どうも有り難うございました。
文庫「じゃない方の渡辺」の主人公は、美人の隣にいる女の子。
自分のことを、ついてない人だと思っています。
望んだことはすべて叶わなくて、第二希望で手を打つことになる人生を憂いています。
そんな女の子が大人になり、結婚し、子どもを産みます。
やっと手に入れた仕事を辞めて、新しい生活を始めるのですが・・・。
人生には上手くいく時と、上手くいかない時があって、それでもとにかく前に進む。
そんな姿を描きました。
文庫「たそがれダンサーズ」では、オッサンたちが主人公です。
医者に勧められて、女性からモテたくて、長年の夢を叶えたくて・・・それぞれが、それぞれの事情で社交ダンスを始めます。
想像していたよりハードな練習に、音を上げそうになりながらも、皆で踊るうちに仲間との絆が強くなっていく。
そしてオッサンたちだけで、社交ダンスの団体競技に挑むことに。
たちまち人生が輝き始める・・・といった物語です。
新刊の単行本「この会社、後継者不在につき」にはタイトル通り、事業承継に悩んだり、困ったりする人たちが登場します。
2人の息子のどちらに継がせるべきか悩む社長や、社員たちの中に、大切な会社を託せる人物がいないと嘆く社長、社長が急死して会社のこれからを心配する社員・・・こうした人たちのお話です。
血縁関係があればあったで悩ましいし、なくても悩ましい後継者問題。
胡散臭さ200%の中小企業診断士のアドバイスに従って、視点を変えてみると、それまでとは違う考え方が出来るようになって・・・。
誰にも過去があって、事情があって、今がある。
このままでいいのか、それとも変えるべきなのか。
悩み、迷う人たちを描いています。
私生活の方ではいろんなことがあって、バタバタと走り回った1年でした。
多くの雑事をこなさなければならず、脳がショート。
記憶が途切れ途切れになるぐらいのハードな忙しさを経験した年でした。
来年も応援してくださる方たちに感謝をしながら、小説を書く楽しさを味わう1年にしたいと思っています。
来年もどうぞよろしくお願い致します。
あなたの職場に研修制度はありますか?
私が以前働いていた会社には、研修はありませんでした。
最近の学生さんにとっては手厚い研修があるかどうかは、とても重要らしい。
学生さんから研修制度について必ず質問が出ると、採用担当をしている知人が言っていました。
その知人によれば、若い人は電話を掛けること、受けることを難しいと感じる人が多いのだとか。
1人が1台の携帯電話をもつ時代。
誰が出るか分からない電話を掛けるのも、受けるのも慣れていなくて戸惑っている模様。
だから新入社員向けの研修には、電話の掛け方、受け方というレッスンがあるそう。
こうした研修を受けた後でも自信がない若手。
なるべくならメールで遣り取りをしようとする。
普段はメールのやり取りで業務を進められていたとしても、トラブルの気配などがある場合には、電話で説明した方がいいことも。
そんな時でもメールを選択してしまうらしい。
苦手意識があるからでしょうか。
それで小さなトラブルが、大きくなってしまうこともあるそうです。
昔は一家に1台しか電話がなかった。
だから友人に連絡を取るために、その家の電話に掛ける。
誰が出るかは分からない。
お兄ちゃんか、お母さんか、お父さんなんてことも。
そんな時には取り次いで貰えるように挨拶し、名乗り、友人は在宅かを聞く・・・なんてことをしなくてはいけなかった。
誰かに教わった記憶はないので、こうした経験を何度も重ねているうちに、どうしたら友人の家族から合格点を貰えて、スムーズに取り次いで貰えるのかを、学習していったような気がします。
こういう経験がないと電話を掛けるのも、受けるのも、難しく感じてしまうのかもしれませんね。
小説「この会社、後継者不在につき」には、社員が研修を受けさせられるシーンがあります。
積極的に参加している社員は少なく、大多数の人は上から言われたから渋々といった感じ。
「こんな研修がなんの役に立つんだよ」と思っている社員がほとんど。
無作為に選ばれた人は営業部長の役を与えられ、製造部長の役を与えられた社員と、即興で芝居をさせられたりする。
恥ずかしいし。やだよ、これ。
なんて思っていたはずなのですが、この体験がきっかけの一つとなって、会社に対する見方を変えてみるように。
すると・・・。
興味をもたれた方は「この会社、後継者不在につき」をお読みください。
靴のメーカーでOLをしていた頃の話。
年に2回、工場でセールを行っていました。
期間中は工場の職人だけでなく、本社勤務の社員たちも総出で、セールスタッフとして働くのが習わしでした。
私の自宅から工場まではかなりの距離があったので、セール当日はまだ辺りが暗い早朝に、家を出なくてはなりませんでした。
同僚の車に相乗りして工場を目指します。
工場は最寄り駅から離れた場所にあり、車でセールに来ようとするお客さんで、毎回渋滞が発生するため、その混雑が始まるより前に、社員たちは現地に到着しておかなくてはなりませんでした。
眠くて目がショボショボしている状態で工場に到着。
敷地内にある体育館のようなスペースが、セール会場です。
ラックが並べられ大量の靴が。
「売れ残った商品がこんなにあっちゃマズいだろ」と心配するほどの大量の靴。
社員たちは栄養ドリンクを飲んで、パワーを注入してスタンバイ。
出入り口の隙間から外を窺うと大行列が。
夏のセールは暑く、冬のセールは寒いのに、皆さん並ぶ。
接客するこっちもパワーが必要ですが、お客さんもパワーが必要。
どっちも体力勝負です。
そしてセールがスタートすると・・・祭り状態に。
立錐の余地もないほどの大混雑。
「このデザインで〇センチはあるか?」と聞かれるので、ストックの中から探して渡すのが、私の仕事でした。
大盛況のセール会場で働きながら思ったのは、安く入手することを覚えたこの人たちが、果たして定価で買うようになるだろうかということ。
靴が欲しくなっても、次のセールを待てばいいと考えることが予想出来たから。
当時セールは毎回盛況でしたが、販売店からの注文数は減り続けていて、苦しい経営が続いていました。
結局、私が退職した後でこの会社は倒産しました。
新刊小説「この会社、後継者不在につき」には、オリジナルデザインのバッグを、販売する会社の話が出てきます。
ここの女性社長はセールはしない主義。
セールをして在庫処分をした方が、経営が楽になるとアドバイスされても、自分の考えを貫いてきました。
順調に売り上げを伸ばしていましたが、コロナが直撃。
店を休業しなくてはいけなくなるし、ネットでもバッグが売れなくなってしまいました。
後継者を誰にしようかと、考え始めた矢先の出来事でした。
経営をどう立て直すのか、後継者をどうするのか、悩みながら答えを探していきます。
包丁は何本おもちですか?
私は万能包丁1本のみで頑張ってます。
この1本に頼っている割に愛情は掛けておらず、何年も砥いでもいません。
砥ぐ時の音がダメなんですよねぇ。
我が家の包丁は、愛情を貰えていないのにグレたりせず、ちゃんと物をカットしてくれているので、このまま行けるところまで行きたいと思っています。
友人A子は結婚した時に、姑からA子の名前を刻印された包丁10本セットを、プレゼントされたそうです。
姑は料理上手。
10本もの包丁を使いこなす達人だったのかも。
だから「この程度はお使いになるでしょ?」ぐらいの軽い気持ちで贈ったのかもしれませんが、受け取ったA子は、ズンと気持ちが沈んだと言っていました。
プレッシャーを感じたんだそうです。
色々あって5年後にA子は離婚することに。
ほとんど使わなかったその10本の包丁を、元夫が暮らす部屋に送り付けたやったそうです。
「貰って困れ」との思いからだったとのこと。
元嫁の名前が刻印された包丁を、新しい妻が使うかどうかは分からないし、興味もないらしいのですが、包丁を返すことで、元夫とその家族との縁がちゃんと切れたような気がして、すっきりしたと言っていました。
その後A子は、10歳年下の人と付き合うようになりました。
彼はイタリアンのシェフ。
A子の部屋にある万能包丁1本で、美味しい料理を作ってくれるそうです。
「いつも作って貰っているから、お礼の気持ちを込めて鍋のセットでもプレゼントしようかな」などとA子が言い出しました。
「包丁はプレッシャーだったのに、鍋はいいんかい」と突っ込んでおきました。
新刊「この会社、後継者不在につき」には、包丁を製造し販売する会社で働く人たちが登場します。
社長が急死し、後継者は誰になるのか社員たちは噂をし合い、不安を募らせます。
会社が選択したのはまさかのM&A。
リストラが行われるのか、自分はクビにならないかと戦々恐々とする日々。
怖いですよね。
不安で胃が痛くなりそうです。
スーパー受け身だった社員が、なんとかしなくちゃと奔走し、変わっていく・・・そんな姿を描いています。
未読の方はぜひお買い求めください。