冷やしナポリタン始めました
- 2011年07月28日
銀行へ行くため、自宅近くを歩いていたところ、一軒のラーメン屋の前で、足が止まりました。
日曜だったせいか、店にはシャッターが下りています。
そのシャッターに、一枚の張り紙がありました。
「冷やしナポリタンはじめました」と、書かれています。
一気に、疑問が浮かんできます。
なぜ、ラーメン屋なのに、ナポリタンなのか。
なぜ、冷やし中華という定番ではないのか。
もしかして、流行っているのか?
だいたい、美味しいのか?
その店に入ったことはありませんでしたが、前を通ることは何度もあり、なんとなく、様子は見ていました。若いお兄さんが、頭に鉢巻きを締めて、作っていることや、椅子がなく、立食形式というのも、把握できてはいました。
しかし、冷やしナポリタンに挑戦するという、チャレンジ精神までは、理解できていませんでした。
残念なのは、その証拠の写真がなく、お見せできないことです。
ちょっと銀行へというつもりで家を出たため、カメラ付きのスマートフォンは持っていませんでした。
チャンスがあれば、その張り紙の撮影も、そして、冷やしナポリタンなるものにも挑戦してみたいと思います。
オリジナル商品には、その店のアイデンティティーが現れているように感じます。そこには、当然、成功も失敗もありますが。
以前住んでいた街の駅前に、1軒のパン屋がありました。
駅前でしたから、一応一等地です。
ですが、あまり流行っているようには見せませんでした。
まず、ウインドー掃除を毎日しない方針のようで、いつも曇っています。
曇っている窓ガラス越しにパンが見えているという状態です。
焼き立てのパンだったとしても、それをかなりグレードダウンさせてしまう、店構えでした。
勇気を振り絞って店内に入ると、「いらっしゃいませ」の声より先に、蠅が出迎えてくれます。
私が固まっていると、「なにやっても、入ってきちゃうのよ」と、レジカウンターにいる女性が言い訳を口にしました。
あまりにしれっと言われてしまい、そうか、それじゃ、しょうがないかと一瞬、納得しかかってしまいました。
ダメでしょ、それは。
棚に並ぶ商品を見て、びっくりです。
かなりなオリジナルっぷりでした。
食パンやメロンパンといった定番もありましたが、コッペパンの中央に切り込みを入れ、そこに生クリームと缶詰のミカンを挟むという、懐かしい一品も並ぶなか、目を引いたのは、オリジナル商品です。
ツイスト状になったパンの上半分をチョコでコーティングし、下半分はキナコをまぶしているといったもの。
パンの中央の切り込みに、お弁当に入れるような、小ぶりのミートボール(タレをまとっている)が5個並んでいるもの。
パイの上に、焼きバナナのスライスと、プチトマトのスライスが、交互に並べられているのを見た時には、それまでの私の常識をはるかに超えてしまっていたため、味を想像することさえできませんでした。
好奇心を押さえられず、飛びまわっている蠅を気にかけながらも、いくつかをトレーにのせ、レジに運びました。
自宅で、それらを食べてみました。
大変、残念な結果でした。
合わないものって、ある。
というのが、その時の私の感想です。
客が望むのは、いちかばちかの新商品開発ではなく、定番の品を丁寧に作ること、ショーウインドーを毎日磨くこと、蠅を追いだすこと、だけだったりしますね。
それから1年ほどして、そのパン屋は店をたたみました。
その店のオリジナリティーは理解されなかったようです。