将棋

  • 2011年08月18日

勝負師に魅かれます。

 テレビで、ある将棋の棋士のドキュメントを見たことがあります。
毎日、勝つか負けるかだけの世界にいるその人に、たちまち興味をもちました。
テレビカメラが追い掛けていたその日、その棋士は負けてしまいました。
負けたショックを引き摺りながら、その棋士は帰り支度を始めます。
コートのボタンを全部きっちり留めている姿を見ていたら、彼の日常の大変さが胸に迫ってきました。
勝負して、勝って、負けて、そして、普通の生活に戻って、明日、また勝負する――。
凄い日常です。
それが生涯続くのです。
どうして、その道を選んだのか。そもそも、将棋の魅力とはなんなのか。
答えを探して、早速、将棋盤を購入しました。

NHKの将棋講座のテレビ番組は録画し、テキストも購入。
ですが、内容が高度過ぎて、ちんぷんかんぷん。
そこで、小学生向けの将棋導入本を読むところから始めてみることにしました。
ほとんどの漢字に振ってあるルビが、読みにくいこと、このうえありませんでしたが、なんとか、読破。
ルールを覚えたら、実際対局してみたくなるってのが、人情ってもんです。
たまたま、パソコンの中に、将棋ゲームのソフトが入っていたので、パソコン相手に勝負してみました。
と、あっという間に負けてしまいます。
しょうがないので、敵を6枚落ち(相手の駒を6枚少なくした状態でスタートする、ハンディ)にして、再度勝負を挑みました。
しかし、こてんぱんにやられてしまいます。
なんでだ?
こっちは6枚も多いのに。
しかし、ゲームソフトは私に負けを突きつけるだけで、その理由を教えてはくれません。
しょうがないので、千駄ヶ谷にある、将棋会館で開かれているビギナークラスへ行ってみることにしました。

平日の午後早い時間のビギナークラスのため、生徒は、小学生低学年のチビッコ少年と、定年を迎えたと思われるアダルティーなオジサマたちでした。
「どくらいのレベルですか?」と先生に問われ、パソコン相手に6枚落ちにするが、勝てないと、私は答えました。
すると先生は、ざっと自分の側の駒を盤から払い落し、「王」1枚だけにしました。
いくらなんでも、そのハンディじゃ、話にならないのではと思いましたが、いざ、始めてみると・・・。
すべての駒をもっている私は、自分の駒が邪魔をして、もたもたと駒を進めていくしかありません。
先生は「王」を、トントンと、前に進めてきます。
あれっ? と思っているうちに、先生の「王」が私の「歩」を狙っています。
どうしよう。
ま、こっちは全部の駒をもっているんだから、「歩」の1枚ぐらい、あげちゃってもいいかと考え、ほかの駒を動かしました。
案の定、先生は私の「歩」を取ってしまいました。
すると、今度は先生が私から奪った「歩」を裏返して「と金」とし、パワーアップさせた駒を、私の陣地近くに、差し込んできました。
ぐげっ。
あっという間に追い詰められている・・・。
えっと、えっとと、慌てながら、逃げ惑っているうちに、先生は次々に私の駒を取っていきます。そして、その駒をパチン、パチンと、私の陣地の奥深くに、打ってきます。
やがて、パニクっている私に、先生が静かな調子で、「王手です」と宣言しました。
力の差に愕然とした私は、ただうな垂れるしかありませんでした。

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