腰枕
- 2011年08月29日
人間ドックで、軽度のヘルニアを指摘されました。
そう言われると、急に腰のことが気になりだします。
一時期、なにを血迷ったのか、エステに通っていたことがあります。
施術中は、ベッドで仰向けになっていなくてはいけません。
そのじっとしている約1時間が、腰には堪えました。
ベッドから起き上がる時には、「イタタっ」と声が出てしまうぐらいに。
結局、そこのサービスには満足していたものの、腰の辛さに気持ちが折れてしまい、すぐに行かなくなってしまいました。
人間ドックでヘルニアを指摘されてみて、初めて、あれは、ベッドの硬さのせいではなく、私の腰のせいだったかと気が付きました。
ふと、寝ている時の姿勢に問題があるのではないかと思い至りました。
なぜか、かけっこをしている途中のような格好で寝ている時があります。
普段、運動などまったくしない私が、寝ている時に、何故、走るポーズを取るのか、不思議でしょうがありません。
そんな不自然な格好で寝ていますから、腰が痛くなって、目が覚めます。
「イテテっ」と寝言を呟きながら、胸の近くまで上げていた片足を下ろしたことが、何度もあります。
バスタオルを丸めて腰の下に敷いたら、安定して、変なポーズを取ることもなくなり、腰への負担が減るのではなかろうかと考えました。
ところが。
朝、起きると、バスタオルは、ぺったんこになった状態で、足元近くに転がっていました。
そのぺったんこぶりから、長い時間、私に踏まれていたであろうことは想像できるのですが、いつから、足元に移動してしまったのかは、わかりません。
腰に手をあてて、その調子を探ってみましたが、いつもと違うのかどうか、よくわかりません。
その日の夜に、再チャレンジしてみましたが、翌朝、バスタオルはやはり足元付近にありました。
どうやら、バスタオルと私の間には、信頼関係は築けないようだと結論し、ネットで「腰枕」を検索してみることにしました。
すると、出てくる、出てくる。
世の中に、こんなに「腰枕」が存在していたとは。
今度は、あまりに種類がたくさんあって、どれがいいのか、困ってしまいます。
あきらかに形状が違うのに、説明文を読んでいくと、どちらも腰に負担をかけない優れ物のように思えてしまいます。
こうなったら、一か八か。
柔らかいとしつこいぐらい謳っている「腰枕」を注文しました。
2日後に届いた段ボールケースが、やけにデカくて、ちょっと不安になりましたが、梱包材のせいだとわかり、ひと安心。
さっそく腰の下に敷いて、仰向けに寝てみると、身体が真っ平ら。
今まで生きてきて、自分の身体が「真っ平らになってるわ」と自覚したのは初めての経験でした。
横向きになってみると、ちょっと、その高さに違和感を覚えましたが、その高さのせいで、身体をねじらずに済みそうです。
これで、かけっこのポーズを取るのを押さえられるのではとの、期待も胸に宿ります。
その晩、試してみました。
翌朝、起きた時、「おっ」と声が出てしまいました。
いつもの鈍い重さが、ありません。
これは、当たりだったんじゃないだろうか――。
割と、買い物で失敗の多い私ですが、今回は、珍しく、当たりを引いたような気がして、ちょっといい気分になりました。
ベッドから下り、トイレに向かう途中、思わず、鼻歌が出て、小さな幸福感ににんまりしました。
しばらく、このまま使ってみようと思います。