スキー

  • 2012年01月05日

非常に寒がりなのに、スキーをしていた時期がありました。
今から、何十年も前のことです。
格安ツアーに申し込んだところ、とんでもない民宿に泊まることに。

チェックインした時は、ごく普通の宿に見えたのですが・・・宿の女将さんが私たち4人を引き連れて、何故か、隣の建物へ。
明らかに、物置小屋といった風情。
疑問を抱きながらも、女将さんの後に続いて、中に入ると――嫌な予感は、的中。
広い土間には、様々な道具類が置かれていました。
女将さんは、トントントンと、階段を軽快に上がっていきます。
金縛りにあって動けずにいる私たちに気付いた女将さんは、階段の途中で足を止め、手招き。
恐る恐る階段を上ってみると、六畳ほどの部屋が一つだけ。
暖房を付けてくれながら、「寒くないかしらねぇ。寒いかもしれないねぇ。でも、若いから、大丈夫かもしれないねぇ」と、不安と、それを否定する願望を並べて、さっさと出て行ってしまいました。

建てつけが悪いせいのか、古さのせいなのか、隙間風が吹き込んできます。
私たちはこたつにもぐり込み、部屋が暖かくなるのを待ちました。
ですが、一向に暖かくならず、ダウンコートを脱ぐことができません。
この部屋で寝たら、二度と目覚められないのではないかと、女4人で真剣に話し合ったことを、鮮明に記憶しています。

結局、生き抜くために、ダウンコートは脱がないでおこうと結論づけ、そのままお風呂に行くことに。
当然、物置小屋にお風呂はなく、隣の母屋までの移動を敢行。
寒さにヒャーヒャー言いながら、母屋へ行き、入浴。
時間をかけて、身体を温めると、最大限の厚着をして、移動に備えます。
母屋から一歩出た途端に知る、雪国の恐ろしさ。
温まった身体を、ほんの一瞬で凍らせるパワーに、言葉もありませんでした。
部屋に駆け戻り、こたつに入りましたが、寒さで身体の震えがなかなか止まらず、女4人、いつまでも歯をカチカチと鳴らせていたことを、覚えています。

あの、女将さん。若いからって、無理です。そういうレベルじゃありません。
歯を鳴らしながら、心の中で、そう呟いていました。
雪国で生きる大変さを、垣間見せてもらった出来事でした。

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