アイロン
- 2012年01月16日
アイロンがけが苦手です。
なかなか皺が取れないばかりか、かえって、真新しい皺を作ってしまう始末です。
それに、たった一枚のブラウスの完成に、やたら時間がかかります。
たとえ、それだけ時間をかけたとしても、仕上がりが完璧ならば、達成感のようなものを味わえて、そこに幸せを見つけることもできるというもの。
しかし、私の場合は、完成に辿り着く前に、面倒になってしまい、「ま、いっか、これで」といった妥協点を見つけて、アイロンを置くので、まったくすっきりしません。
使っているアイロンが古いからではないのか――。
ある日、仕上がりの酷さを、道具のせいにすることを思い付きました。
確かに、何十年と実家で使っていた年代物で、温度を一定に保ってくれる機能が付いていません。そこで、熱くなると、プラグをコンセントから引っこ抜き、温度を下げて、下がり過ぎたら、またプラグをコンセントに差し込むという行為を繰り返さなくてはいけませんでした。
買おう。最新のを。スチームなんちゃらというのを、手に入れるのよ。
アイロンがけ最中に、何度もプラグを出し入れしなくていい品を。
熱い気持ちのまま、近所のスーパーの家電売り場へ走り、スチーム式のアイロンを購入。
説明書の指示通りに、水を入れた容器を、アイロンにセット。
プラグをコンセントに差し込み、しばし待機。
カチッと音がして、準備が終わっと判断。
試しにハンカチの上をすうーっと走らせてみると、蒸気が。
シューという蒸気の噴き出る音は、まるで「いい仕事しまっせ」と宣言しているかのよう。
どれどれ、と、ブラウスにあててみると・・・一気に皺が伸びていきます。
やっぱり、今までの仕上がりの悪さは、アイロンのせいだったかと、納得。すっきりした気分で、次々にアイロンをかけていきました。
と、最初にアイロンをかけたブラウスに、目が留まりました。
ハンガーにかかったそのブラウスには、皺が。
ぎょっとして、手に取ってみると、皺はブラウスの右前身ごろと背中部分に集中していると、わかりました。
アイロン台に、ブラウスを置く時、左に襟が、右に裾がくるようにしていました。
そして、右の前身ごろにアイロンをかけ、それが終わると、その部分を向こう側へずらし、背中部分にアイロン。それが終わると、また向こう側へずらして、最後に、左前身ごろにアイロンをかけるといった順で行っていました。
このため、右前身ごろは、一番にアイロンをかけられた後、アイロン台の向こう側に押し出されます。その時、構造上、真っ平らでいることはできないので、布は波を打つような状態になっています。そこに、次にアイロンをかけられた背中部分が、のっかってきますから、重さが加わり、新たな皺がブラウスにできてしまったのでしょう。
せっかく最新のアイロンを買ったのにと、がっかりしていた時、そうか、アイロン台を替えればいいのかと、気が付きました。
まな板のような、平らなアイロン台を床に直に置いて使っていましたが、以前、ドラマで、腰のあたりぐらいの高さのアイロン台を見掛けたことがあります。
ネットで調べてみると、ありました。
「これで、あなたもアイロン達人」と謳った品が。
スタンド式のアイロン台は、脚部がスライド式になっていて、10段階ぐらいの高さ調整ができるとのこと。
スタンド式であれば、右前身ごろは、よれないでしょうし、背中部分にのっかられることもなく、新たな皺はできないはず。
そこで、購入。
届いたその日に、早速使ってみると、やはり、いい。
袖口用の筒状のアイロン台も付いていて、細かいところもキレイにできます。
アイロンがけって、楽しいかも。
そんな風に思えたのは、どれくらいの間だったでしょう。
元々、面倒臭がりの私。
アイロンがけ待ちのブラウスを何日もクローゼットの中に置いておくぐらいなら、とっとと、クリーニング店へ出してしまった方がいいんじゃないかと、1度思ってしまうと、もうダメですね。
当然、コストはかかりますが、仕上がりは、私がやった時の何倍もキレイですし。
熱ってのは、冷めますね。
スチームの音に心を躍らせていたのも束の間、気が付けば、クローゼットの隅で場所を取る、邪魔者に。
結局、四、五回程度使っただけで、引っ越しの時に、処分してしまいました。
処分して約6年。
困ることはありません。
唯一、諦めなくてはいけなかったのは、薄手のハンカチを持つこと。
現在は、アイロンをかけなくてもいい、タオルハンカチを使用しています。