ノーウェアボーイ
- 2012年02月02日
DVDで映画「ノーウェアボーイ」を観ました。
いやぁ、良かった。
実在した人物が登場するので、実話なのだろうかといった興味もわいてくるというもんですが、そういったことはうっちゃっておいても、映画として素晴らしい完成度。
一人の青年の孤独と戸惑いを描いた名作です。
青年は伯母のミミに育てられているのですが、この女性が最高なんです。
気位が高くて、素直じゃなくて、厳格で。
でも、青年を深く愛している。
ただ、その愛情表現は、青年にはわかりにくい。
問題児の青年からすると、ガミガミと喧しく言うばっかりの、ウザい伯母さん。
それで、ついつい、実母の方へ。
それを知ったミミは傷つき、さらに強硬な態度を取るようになるんです。
そんなミミも、やがて、ほんの少しだけ変わるんですね。
この変わり度合いが、とてもいい。
ほんのちょっとなんです。
その時点までに、すっかりミミの理解者になったつもりでいる私としては、そんなちょっとの変化にも、心を動かされてしまいます。
そんな僅かな変化でも、ミミにとっては、とてつもない努力がいったであろうことが、わかるからです。
あぁ、良かった、良かったと思ったのも束の間、不幸が襲ってくるという、ドラマチックな展開。
そして、ミミに心を奪われているうちに、あっという間にエンディング。
いい映画だったわ、と思うのと同時に、ミミみたいな女性を書いてみたいなぁとの欲望が。
「下手な人」って、物凄く魅力があります。
ミミの場合は、「愛情表現が下手な人」。
ほかにもいろんな「下手な人」って、いますね。
たとえば、「謝るのが下手な人」「人の気持ちを推し量るのが下手な人」「水に流すのが下手な人」・・・。
こうした「下手な人」が下手なりに、精一杯生きている姿を、小説にしてみたいもんだと、強く思いました。