• 2012年04月30日

小学生の頃、学校行事で海や山へ行くと、誰かが決まって、宣言するのです。
「記念に、石を持って帰る」と。

周りに流されやすかった私は、まったく石になんか興味ないくせに、そうか、それじゃと、手ごろな石を探し始めます。
適当な石を見つけ、私はこれにすると、周囲に宣言し、リュックに収めます。
自宅に戻り、持ち帰った石を親に披露します。
が、そこまで。

石は部屋の隅に置かれ、二度と手に取られることも、思い出されることもなく、そこに居続けます。

そして、なにか別の物を探している時に、その石を発見することになります。
そんな時、「懐かしい」とはならず、まず思うのは「なんで、こんなところに石が?」という疑問。
どこからか歩いてくるわけもないですし、親が嫌がらせで、置くわけもない。
と、すると、自分が置いたんだろうな、やっぱり、と判断。
が、いったい、どこで拾ってきたものなのか、これっぽっちも思い出せません。
小学生の身ですから、多くの出来事を経験しているわけもなく、思い出せそうなもんだと、今の私は思いますが、当時から、薄らぼんやりしていたんでしょう。皆目見当がつきません。
そのうち、記憶を辿るのもメンドーになって、ごみ箱に抛るか、元の場所に戻してしまいます。

ふと、思います。
あの、「石を持って帰る」宣言をした子は、その後、石をどうしたんでしょうか。
自ら宣言したくらいですから、石への思いれが、私とは雲泥の差のはず。
色を塗ったり、顔を描いたり、行った場所の名や日付をつけた箱かなんかに、収納したりしたんでしょうか。
持ち帰った石のその後について、誰からも語られることがなかったのが、今になると不思議です。

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