サンドイッチ

  • 2012年06月04日

そこは、高級ホテルの中にあるラウンジでした。
3人で打ち合わせをしているうちに、小腹が空いたということになり、軽くつまめるものを1皿頼もうということに。
そこで、サンドイッチを1皿注文。
しばらくして出てきた皿を見て、絶句。
様々な素材を、食パンサイズの2枚のパンで挟んでいるのですが、それがなんと、2つにカットされてあったのです。

3人で1皿注文してるんだから、シェアするつもりで頼んでるのかもしれないと、ウエイターはちらっとも考えなかったんでしょうか?
通常は2つにカットして、提供しているものだったとしても、ひと言、「サンドイッチは3つにカットした方がいいですか?」と確認してみたって、罰は当たらないはず。
私たちの風体が怖かったとして、尋ねる勇気がもてなかったというならば、せめて、キッチンにオーダーを通す時、パンは3つにカットしてくれと頼むぐらい、できたはず。
サービスって、なんでしょう?
私たち3人は、しばしの間、口をあんぐり開けたまま、サンドイッチを見つめていました。

遠慮をしあってしまったせいか、誰もサンドイッチには手を伸ばさず仕舞い。
そのうち、1人が、ひと足先に帰ることに。
もう1人が、トイレに行って、私だけが席にいたところ、件のウエイターが近づいてきて、午後3時で閉店だと言い出しました。
時計を見ると、3時ちょうどぐらい。
いったんクローズして、また、夜になって、バーとして、再び店を開けるスタイルなのでしょう。
今、1人、トイレに行っているので、戻ってきたら、すぐに出ますからと私が言うと、片づけてもいいですか? と、サンドイッチの皿を指差します。
2つにカットされてあるがゆえに、手つかず状態になってしまったサンドイッチを。
なんだ、お前。
と、思った私は「食べます。速攻で食べます」と言い切り、ウエイターを下がらせました。
サンドイッチを食べずに、このまま片づけさせてしまうのは、なんだか、負けたような気分がしたのです。
なんで、そんな気持ちになったのかは、よくわかりませんが、とにかく、食ってやるという強い意気込みで、サンドイッチを食べ始めました。
トイレから戻ってきた人は、サンドイッチをむさぼり食らう私を見て、ちょっと驚いた様子でした。
今の私たちにできることは、このサンドイッチを速攻で食べ終えることだと説明し、その人にも急いで食べるよう促しました。
わざとらしく、側を行ったり来たりしているウエイターをシカトし、なんとか食べ終えると、私たちは店を出ました。二度とこの店には来ないとの決意をしながら。

今、冷静になって考えてみると、2つにカットされたサンドイッチを、さらにカットするよう指示すればよかったんですね。6つとか。
びっくりし過ぎて、その時は、そこまで頭が回りませんでしたが。
サービスとはなにかを考えさせられる、出来事でした。

ブログ内検索

  • アーカイブ


  • Copyright© 2011-2025 Nozomi Katsura All rights reserved. No reproduction and republication without written permission.

    error: Content is protected !!
    Copy Protected by Chetan's WP-Copyprotect.