取材

  • 2012年07月09日

フリーライター時代、様々なジャンルの方に話を聞く機会がありました。
聞き漏らしたりしないよう、大抵、会話を録音します。
当時はカセットテープでした。
原稿を書く段になり、このテープを再生します。
すると。
誰だ、こいつ。
と言いたくなるような声が聞こえてきます。
なんと、自分の声なんですね。
自分の声を自分の耳で拾っている時は、頭蓋骨内で反響しているせいで、一番よく聞こえていると、どこかで読んだ記憶が蘇ってきます。
そうなんです。
いつも自分が聞いているのとは違う声が、デッキから流れてくるのです。
さらに、声だけでなく、喋り方も、気になります。
私はこんなに語尾を引っ張って喋っているのか?
あんなに緊張して、捲し立てるように喋っていたつもりだったのに、なんなんだ、このスローな話し方は。
と、なにもかもが気に入りません。
初対面の人と会うというだけで、緊張しているうえに、話を引き出さなくてはならないというプレッシャーと、30分などという時間制限もあったりして、心臓をバクバクさせながらの取材だったはずなのに。
デッキから聞こえてくるのは、いたってマイペースで、ゆったりと話をしている己の声。
どうしてだ?
何故、あのドキドキ感が、外に出ていない?
不思議過ぎて、首を捻るばかりです。

作家になってからも、作品によっては、色々な方に取材をさせていただくことがあります。
一応、ボイスレコーダーをテーブルに置いてみたりはしますが、後で聞かなくて済むよう、完璧なメモを取るように努めています。
己のねっとりした喋りを、聞きたくはないですから。
取材時は、大抵、編集者が同行してくれているので、文字起こしを依頼することもできます。
これだと、取材の時の会話を、専門の人が聞き取りし、入力してくれて、文字として、受け取ることができます。
文字として取材時を振り返れば、バカな質問しているなと、落ち込みはしますが、自分の喋りを聞いた時のように、鳥肌を立てなくて済むので、助かります。
一時、本気で、喋り方教室みたいなところに通おうかと、考えたことがありましたが、日々の忙しさにかまけて、実現にはいたっていません。

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