観劇

  • 2012年08月20日

生まれて初めて映画館で観た、映画はなんですか?
母がいうには、私の初映画は「マイフェアレディ」だったそうです。
私が3歳の時のことで、記憶はまったくありません。
この映画のセレクトは、当然母です。
思うに、自分が観たい映画に、娘を連れて行ってみましたといったところでしょう。
で、セリフは英語で、日本語の字幕つきの映画だったそうです。
映画が終わるまで、私はおとなしく観ていたようですが、さすがにセリフが英語だわ、まだ字を読めないのに、字幕つきの映画だわというのは、まずかったんじゃなかろうかと、帰りの電車の中で、ようやく気付いたとか。
それで、どんな話だったかと、私に尋ねてみたそうです。
すると、すらすらとあらすじを言ったそうで。
なんだ、大丈夫じゃん。
と、これに味を占めた母は、それ以降、自分が観たいものに、私を連れて行くというスタイルを貫くことに。
お陰で、小学校1年生で、帝国劇場にシェイクスピアの芝居を初体験。
そして、小学校3年生までには、歌舞伎や文楽といった伝統物との出会いも済ませていました。
後々、知ったのですが、歌舞伎などでは、ちびっこ向けの演目の日というのがあって、比較的わかり易い演目を、解説しながら見せてくれたりするそうです。
が、母はそういった日には連れて行ってくれない。
きっと、そういった子ども向けのでは、母がつまらないからでしょう。
だから、普通の演目の日にしか、行かない。
あくまでも、自分が観たいものに連れて行くというスタイルですから。
そんなでしたから、小学校を卒業する頃には、今日のハムレットは滑舌が悪かっただの、前作の演出の方が良かっただの、踊りが上達していただのと、生意気なことを吐き散らす、ヤな子どもが一匹出来上がっていました。

今振り返ると、子どもの頃から、本物を見せて貰えたというのは、なんという幸せだったのかと思います。
我が家は貧乏だったので、どこから、そういった観劇代を捻出していたのかわかりませんが、結構無理していたのではないかとも思われます。
今から積もうとしても、できない経験を、子どもの頃にさせて貰えたのは母のお陰。
自分が観たかったからという母の動機には、目をつぶって、感謝しなくてはいけませんね。

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