「彼とわたしの漂流日記」

  • 2012年07月30日

韓国映画「彼とわたしの漂流日記」のDVDを観ました。
設定がナンセンスで面白かったです。

大都会を流れる川の中州に漂着した主役の男性が、命を繋ぐために、段々たくましくなっていきます。
その外見はどんどん酷くなっていきますが、知恵を絞り、なんとか生きていこうとする姿は、どんどん魅力的になっていくのです。

大笑いしてしまったのは、こんなシーン。
中州にはゴミなどが漂着してくるのですが、その中に、インスタント食品のソースの袋があるのを、主役の男性が発見。しかも未使用のを。
その袋の裏に書いてある材料を、男性が一つひとつ読み上げて、深いため息をつくのです。
普通なら、無味乾燥なソースの袋の裏書きが、その男性が置かれた環境では、キラキラ輝く宝石のように感じられる、といったシーンです。
なんとも、可笑しいし、その男性がなんだか可愛く思えます。
また、自分が、そこにいたら、同じようにため息をつきそうな気がして、共感まで生んでしまう場面になっています。
その後、このソースの袋が、この男性のやる気に火をつけ、奇跡を生むのですから、ストーリー上、キーとなるシーンでもあります。

それほど、たくさんの韓国映画を観てきたわけではありませんが、いつも設定が秀逸だなと、感心してしまいます。
以前観た映画では、自分は機械だと思い込んでいる女の子が、主役でした。
機械だと思っているので、食事はしません。
食事をすると、壊れてしまうと考えているのです。
それで、食事時間になると、一人だけ乾電池を舐めています。
凄いでしょ。この設定。

こんな風にちょっと可笑しくて、でも、ちゃんと感情移入できるような設定の小説を、書いてみたいもんだと、改めて思いました。

リハビリ

  • 2012年07月26日

昨年の人間ドックで、初めて、軽度のヘルニアと診断されました。
よくなる類のものではないのですが、今年も同様の診断結果だったため、専門のクリニックを受診してみることに。
人間ドックのデータが入ったCDを持参し、整形外科のドクターに診てもらったところ、よく見つけたというぐらい、ほんのちょっとのヘルニアなので、あまり心配せず、悪化しないよう気を付けてくださいとのこと。
その言葉に、ほっと一安心。
そこで今度は、ここぞとばかりに、身体の不調について訴えました。
肩こりが酷いこと、首も張っていること、それで頭痛まで引き起こしていることや、しょっちゅう頭痛薬を飲まなくてはならず、それによって胃が荒れて、胃薬を飲まなくてはいけない哀しいスパイラルにいること、足がむくんで、午後になると、屈むこともできないぐらいになること、月に1度は指圧店でマッサージを受けているが、その効果は1週間ももたないこと・・・。
辛抱強く私の訴えを聞いていたドクターは、それじゃ、一度、理学療法士と、トレーニング方法を相談してみた方がいいですねと言って、そのクリニック内にある、リハビリ科を勧めてきました。
私は大きく頷いて、リハビリ科へと移動。

借りたウエアに着替えて、トレーニングルームに入ると、なんだか、恐ろしいものが天井から下がっています。それは、拷問の道具ですか? と聞きたくなるような代物で、どうか、私はこれを使わなくて済みますようにと、思わず祈ってしまうほど。
やがて、若い娘さんが、「こんにちは」と元気よく登場。
リハビリだの、トレーニングだの、拷問の道具だので、不安になっていた私の気持ちを一気に軽くしてくれるような、溌剌とした理学療法士。
なんか、大丈夫そうな気がする・・・と私は心を強くしました。
「それじゃ、このベッドに仰向けに寝てください」と言われ、横になってみると、これが、びっくりするほど硬い。指圧店で横になるベッドと比べると、雲泥の差。
しばらくの間、硬いベッドの上で、理学療法士に身体を左右に揺すられた後で、身体の歪みを指摘されました。
「まず、歪みを修正します」と言われ、どうやって? と思う間もなく、腰に手があてられ、たちまち襲ってくる強い衝撃。
い、痛い。
指圧店でのマッサージも痛いですが、そこには気持ちよさも同居しています。
が、ここでのマッサージには、気持ちよさは皆無。
とにかく、激イタ。
しばらく我慢していましたが、あまりの痛さに「あの、結構、キツいんですけど」と訴えたところ、「そうですねー。歪みを修正してますからね。キツいんですよねー」との回答が。
そのさらっとした言い方に、思わず、口あんぐり。
そ、そうか。
指圧店と違って、許してはくれないのか。
力加減を弱くしてくれたりというような、心遣いはないってことなんだね。
そもそも、指圧マッサージと、リハビリ科で、同じように扱ってもらえると考えた私が間違っていたのだなと、激痛の中、反省。
その後も、どうしてその小柄な体格で、そんな力が出せるのかと聞きたくなるほど、理学療法士はパワー全開。
涙が滲むほどのマッサージを受けた後、自宅でできるトレーニング方法を教わり、60分のトレーニング終了。
「お疲れ様でした」と、理学療法士が溌剌と言うのに対して、「あ、ありがとう・・・ござい、ました・・・」と、答えるのが精一杯。
どうして、彼女より私の方が、疲れているのか、わかりません。
あぁ、きっと明日、起き上がれないほどの筋肉痛とかになってるんだろうなぁと、覚悟していたのですが・・・。

なんと、翌日の筋肉痛、ゼロ。
全身が軽く、動きもスムーズになっている気が。
指圧店に行った後の張り返しのようなものもありません。
いたって、快調。
理学療法士さん、ありがとう。
あなたに教わったトレーニングを、毎日、コツコツやります。
と、誓い、今では、2週間後の次の予約日が、待ち遠しくなっています。

カマキリ

  • 2012年07月23日

以前住んでいたマンションは、小さな商店街の中にありました。
駅前から続く、その商店街の先には、民家がひしめき合って立っていて、およそ緑とは縁のない地域でした。
猫の額のような狭さのベランダに干していた、洗濯物を取り込んだ時のことです。
私には、いつもの段取りというのがありました。
それは、一旦、部屋の鴨居にハンガーピッチをひっかけ、乾いている物はたたみ、乾いていない物は、部屋干しするという取捨選択を、室内で行うというものでした。
さて、このハンドタオルは乾いているかなと、手を伸ばしかけた時、ハンガーピッチの上部で仁王立ちするカマキリと、目が合いました。
げっ。カマキリだ。
めっちゃ、こっち見てる。
どうしよう。
どうして、こんなに緑のない所に、カマキリがいるのよ。
もしかして、カマキリの生って、生まれて初めて、見てるかも。
想像していたより、随分大きいし、スレンダー。
逆三角形の顔が、怖い・・・。
どう対処したらいいのかわからず、完全にパニック。
私の身体は、固まったままです。
私は目を外したいのに、目を外すことができずに、カマキリとにらみ合ったままの状態。
動物の本能なのでしょうか?
目を外したら、たちまち襲い掛かられそうな気がするのです。
完全な膠着状態。
しばらくして、敵が動きました。
すっと、右の前足を持ち上げたのです。
えっ?
鎌を持ち上げたってことは、戦闘態勢に入ったってこと?
どうやって、応戦したらいいのか、見当がつきません。
小さな虫なんかは、掃除機で吸い込んじゃうという戦法で、度々勝利をおさめてきた私ですが、カマキリは大きすぎて、掃除機が吸い込んでくれなさそうです。途中で詰まったりなんかしたら、もう掃除機ごと捨てるしかなくなり、そうなると、新しい掃除機を購入しなくてはならなくなって、高くつくな、などと、さして有効でもない戦法を、あれこれ検討し始めました。
新聞紙で叩き殺すってのは、どうだろう。
いや、無理。
よくて、半死状態。
その後の処理に困る。
と、あれこれ考えているうちに、カマキリが、鎌をさらに一段高くしました。
マジで、戦う気っぽいんですけど。
まずい。
と、その時、カマキリ自ら、出ていってもらったらどうだろうとのアイデアが。
が、それはそれで、問題が。
ハンガーピッチを鴨居から外し、ベランダに戻したとして、その間カマキリが、おとなしくしてくれるだろうかという点。
不安はありましたが、もっといいアイデアが浮かぶとも思えず、実行することに。
カマキリから目を外した私は、速攻で、カマキリの背後に回り込みました。
カマキリがあれっ? と思っている間に、ベランダに出してしまおうとの作戦です。
案の定、カマキリは、なにもない空間にむかって鎌を持ち上げていて、敵の私に背中を見せています。
今だ。
私は急いで、でも、なるべくスムーズな動きになるよう心を配りながら、すうーっと、ハンガーピッチをベランダまで運びました。
物干し竿に引っ掛けると、すぐに窓を閉め、カマキリの様子を窺います。
カマキリは誰もいない空間に向かって、鎌を持ち上げたままの状態でいます。
態勢は同じなのですが、その背中からは、殺気が消えていました。
カマキリの方も、ほっとしていたのかもしれません。

翌朝、カマキリはいなくなっていました。
こうして、カマキリとの戦いは静かに幕を下ろしました。

お酒

  • 2012年07月19日

お酒を飲めなくなったのは、いつからなのか、ちょっとはっきりしません。
今では、グラスに入ったビールを3センチほど飲んだぐらいで、頭痛がします。
若い頃も、ほんのちょっとのアルコール摂取で体調不良になっていましたが、皆、そんなもんだろうと割り切り、若さで乗り切っていました。
が、そんな無理はきかなくなり、さらに、そんな無理する必要あるのか? と開き直るようになって、今ではどんな宴席でも、まったく口にしなくなりました。
昔とは違って、「お酒を飲めない」とカミングアウトしにくいような雰囲気は、なくなりましたしね。
お酒は飲まずとも、宴席を楽しむ気は満々なので、誘われれば、ほいほい出かけていきます。
そして、素面で、酔っ払いたちと渡り合います。
時々、酔っ払いたちにてこずることもありますが、たいていの場合、楽しい時間になります。

初めてお酒を飲んだ時のことは・・・なかなか恥ずかしい思い出になっています。
最初はビールでした。
苦くて、全然美味しくなかったので、隣席の友人が飲んでいた、サワーを注文しました。
色がきれいで、ジュースのような甘さがあるように思えたからです。
味の違うサワーを何杯か飲んだ後、日本酒を飲む向かいの席の友人が、やけに大人に見えて、私もと注文。
その後、ウイスキーの水割りを飲んでいたという証言はあるのですが、私の記憶は、所々欠けていて、はっきりしません。
終電を逃してしまった私たち、女四人は、タクシーに乗り込みました。
と、私の容体は急変。
それに気づいた友人が、自分のバッグの中身を、バサッと、隣の友人のバッグに移し替え「吐くなら、ここに」と、空にしたバッグを差し出してきました。
その友人の言葉に敏感に反応したのは、タクシーの運転手で「えっ。吐くの? 困るよ~。吐くなら、降りてよ」と、言ってきました。
友人は「シートには吐きませんから。シートには」と、力強く訴えます。
酔っぱらって、頭はぼんやりしていましたが、一部分だけが、辛うじて動いていました。
その冷静な部分が、いや、友人のバッグに吐いちゃ、ダメでしょうと、己に言ってきます。なんとか、我慢せよとの指令も出します。
結局、三人からの「頑張れ」という声に励まされ、なんとか吐かずに、友人の家に到着。
私は友人らに抱きかかえられて、トイレに連れていかれました。
右にいた友人が、便座を上げて、準備を整えると、左にいた友人が、私の長い髪を後ろで持ってくれます。
「よくここまで頑張った。吐いてよし」との友人の言葉を聞いた途端・・・。

お酒のパワーと、友情の有り難さを思い知った、出来事でした。

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