作家になるには
- 2013年11月21日
フリーライター時代の話です。
懸賞小説に応募し、入選した際、その出版社主催の懇親会のような食事の場がありました。
そこで入選はしたものの、最優秀賞ではなかったので、本を出させて貰えるかはわからない状態でした。
そこで私は「どうしたら作家になれますか?」と、真っ直ぐな質問をぶつけました。
その相手は、ジェームス三木さんでした。
ジャームス三木さんは、その懸賞小説の審査員をなさっていましたので、そのレストランにお越しになっていたのです。
「重要なのは、嘘吐きかどうかでしょうね」と、ジェームス三木さんは仰いました。
「簡単に嘘を吐けて、なんの呵責も感じないぐらいの、根っからの嘘吐きなら、作家になれます」と続けられました。
「でしたら、私は作家になれます」と私が断言すると、「あなたは嘘吐きですか?」とお尋ねになったので、「はい」と素直に頷くと、「それじゃ、なれますよ」と太鼓判を押してくださいました。
どちらかというと、もっと現実的で具体的な話を期待していたのですが、出てきたのは「嘘吐き」という言葉。
昔からイロモノの性と申しましょうか、話を面白くするためなら、事実をえいっと歪めてしまっても一向に気にしないというところがありました。
事実を伝えることよりも、友人らが大笑いしてくれたり、盛り上がってくれたりした方が、嬉しいのです。
これは、時に「面白い人・楽しい人」とも評されますが、基本は「嘘吐き」でしょう。
それまで、作家になれるだろうか、本を出すことはできるのだろうかと、不安でいっぱいでしたが、ジェームス三木さんに太鼓判を押していただいたのをきっかけに、「私は作家になれる」と自己暗示をかけるのに成功しました。
その後、作家デビューの夢が叶い、現在まで作品を発表できる場をいただけています。
心が折れてしまいそうになる時、筆が進まない時・・・そんな時には、ジェームス三木さんの言葉を思い出します。
その度に「そうだ、そうだ。私は嘘吐きだから大丈夫なんだった」と、自分を落ち着かせることができます。
このブログの読者に、作家を目指している方は、いらっしゃいますか?
あなたは、嘘吐きですか?
えっ 嘘吐き? だったら、大丈夫。なれますよ、きっと。