面白かった映画のDVDをご紹介。
まずは「ミックマック」。
これはフランスの大人のファンタジー映画です。
個性的で憎めない人たちが、大仕掛けの仕返しというか、いたずらをするのですが、あの「アメリ」の監督の作品だと知り、なるほどと納得しました。
全体を流れるほんわかした空気感のなかに、ピリッとした辛みが効いているような作品は、恐らくこの監督の世界観なのでしょう。
オヤツ片手に観るのにいいかもしれません。
疲れない映画とでも言いましょうか。
次にご紹介するのは「100歳の少年と12通の手紙」。
余命僅かの子どもという設定なので、好き嫌いが分かれてしまうかもしれませんが、普段、こうした設定のものは観ないという方にもお勧めしたいのが、この作品です。
それは、少年の命のカウンダウンに照準を当てているというよりは、人生とはいかに大変で、それでもこんなに素晴らしいのだということに光を当てているからです。
少年と心を通わすのが、宅配ピザ屋の女性で、元レスラー。
全身をピンクでコーディネートした、口の悪いこの女性がとても魅力的。
映画の後半になると私は涙、涙、涙になってしまったのですが、胸の真ん中には温もりがありました。
こうしたテーマの作品で、哀しみだけじゃなく、温かさも感じさせてくれるという作品は珍しいのではないでしょうか。
ネットで調べてみると、映画「地上5センチの恋心」を監督した方の作品だったとわかりました。
この「地上5センチの恋心」も、とても素敵な作品でした。
デパートで働く女性が、大好きな作家のサイン会に行くのですが、わくわくしちゃって、地上から5センチ浮いてしまうというのを、恐らくワイヤーを使っての撮影で表現しています。
この女性が40代ぐらいなだけに、そのわくわくぶりがなんとも微笑ましくって、ワイヤーを使って地上から浮いているというシーンと、ぴったり合っています。
この監督は、苦い現実に、お伽噺を加えるのが上手で、その配合具合が絶妙なために、作品の完成度が高いのではいだろうかと、勝手に分析してみちゃったりしています。
電車の中でのことでした。
二十代に見える男女のカップルが、私のすぐそばに立っていました。
近くにいたロングヘアーの女性を目にした男が言います。
「ああいうの、いいよね。綺麗じゃん」と。
さらに女に向かって「長い髪にしてみたら」と言い出しました。
女は癖があるので、広がってしまって、ロングヘアーはできないのだと説明すると、男は「あー、はいはい」と嫌そうな声を上げました。
まるで、君はいつもそうやって、僕の提案を否定するよねとでも言いたげな感じです。
が、嫌そうな声を上げるべきなのは、女の方なのです。
そもそも、自分の彼女のヘアスタイルや、持ち物などに、あれこれと口を出すような男はろくなもんじゃないのです。
自分の好みを押し付けてくるような男と付き合って、幸せになった女はいません。
私の周りでは。
程なくして、男は車内に落ちていたピアスを発見したようでした。
「あれ、ピアスじゃない?」と言い出し、女に拾わせました。
そして男は「してみたら」と、またも余計なことを言い出します。
落ちていたピアスを付けてみるという感覚そのものが、私には理解不能でしたが、女は抵抗する素振りを一切見せず、自分の耳に付けようとトライをし始めました。
女は「しばらくしていなかったから、穴が塞がっちゃってる」と言いながらも、なんとか付けようと努力をしている模様。
さらに、留め具がないから、穴に刺さったとしても、落ちちゃうと思うよと、男に説明までしています。
しばらくして聞こえてきた女の言葉は「ほら、すぐ落ちちゃう」というものでしたから、ピアスを付けることに成功したのでしょう。
すると「そういう可愛い感じの、いいよね」と男は言い、明日あるらしい仲間での集まりにしてくればいいと続けました。
女が「これを?」と驚いたような声を上げると、男は「バカだな、違うよ。そういう感じのを、買ったらってことだよ」と小馬鹿にしたような声音で返しました。
今月は、もうお金ないからと女が言うと、男は「あー、はいはい」とまたもや嫌そうな声を上げました。
あーだこーだ文句を言うなら、買ってやれよ、と思わず私は男に対してツッコんでいました。勿論、心の中で。
口を出すなら、金も出せ。
これ、鉄則です。
金を出さないなら、口を出すな。なのです。
二人は駅に降りて行き、私は車内からその姿を目で追いました。
手を繋いでホームを歩く二人は、幸せそうでした。
が、二人のこれからがバラ色には思えないのは、老婆心でしょうか。
もし、人生経験が豊富な私の友人たちが賭けをするなら・・・全員が別れる方に賭けて、賭けが成立しないでしょう。
昨シーズン買ったコートが、こちらです。
これ、ネットでたまたま見つけて、気に入ったのですが、値段は気に入らず、欲しい、でも高い、でも欲しい、でも高い・・・と延々と繰り返していました。
そうこうしているうちに、セールの時期に突入。
も、もしや、このコートも安くなるのではないかと期待して、HPをチェックすると・・・ほかの商品は30%ほど安くなっているのですが、このコートは以前の値段のまま。
ちっ。なんだよ。安くなっていたら買おうと思っていたのにと、小石を蹴る私。
が、諦めの悪い私は、それからも何度もHPをチェック。
ある日のことです。
ついに、このコートが30%オフになっていました。
よっしゃ。
努力は報われるのじゃ。
と、即ゲット。
届いて羽織ってみると・・・重い。
生地のせいでしょう。
肩にずしりとくる重さ。
最近のネットショップでは、商品画像の上でカーソルを動かすと、まるで虫眼鏡をあてたかのように、ドアップになって、細部がわかりやすくなっています。
それで、随分と失敗も少なくなったのですが、重さまでは、わからないですからね。
このコートを羽織ったら、今以上に肩が凝りそうで、なんだかなぁと思いましたが、これを手に入れるまでのあれこれを考えると、返品する気にはならず、袖丈を直してクローゼットに。
何度か着ているうちに、重さにも慣れて、シーズン終盤とはいえ、なかなかの出番になりました。
エッセイなどを読んでいると、「もう3年も着ているコートが・・・」「3年も着ていたコートを今年買い替えて・・・」といった文章に出くわすことがあります。
その度に、そ、そうか、世間の皆様はコートをそんなに頻繁に買い替えているのかと、自分との違いに驚いてしまいます。
今回買ったコートのように、一目惚れしてしまったケースは稀で、いつもは、今シーズンこそはコートを買い替えようと思っていても、あれこれほかのものを買っているうちに、予算オーバーとなり、来シーズンに持ち越されます。
そうしたシーズンが何年も続くので、3年なんて軽く越していきます。
えっ?
今シーズンですか?
今年の予算はすでにオーバーしている状態なので、多分、買わないように思います。
何年ものかって?
いやいや、それは、ほら。
秘密です。
現在開催中の、大相撲九月場所へ行ってきました。
私が幼稚園に通っていた頃から、場所中のテレビは、相撲中継に合わせるというのが、我が家の決まりでありました。
積極的ではないものの、これだけ長い観戦歴がありながら、相撲を生で観るのは初めて。
さてさて、どんなもんだろうかと行ってみると・・・これが、面白い。
国技館にいるお客さんたちと力士との一体感が半端じゃない。
俵に足がのっている状態の力士。
それを押し出そうとするのですが、なかなか押し出せない。
と、もう観客全員が、ぐっと押し出すように肩や手に力が入っちゃう。
息、してません、お客さんたちも。
やっと、押し出した途端、ふうっと息を吐きだす観客たち。
勝った力士に、よくやったという拍手と、負けた力士にも明日は頑張れよという拍手。
アスリートとお客さんの距離が近い、近い。
野球、サッカー、フィギュアスケート、トランポリン、バレーボール、卓球・・・と、色々なスポーツ観戦をしてきましたが、これほど近親者がやっているのを応援するような感覚になる場は初めてでした。
それに、昔から、日本人が相撲をとても愛してきたのがわかるような、そんな気もしました。
取組と取組の間が、ちょうどいいんですね。
その間、お弁当を食べたり、お喋りしたり、お酒を飲んだりしながら、ちょうどいい頃合いに、時間になって、取組がスタート。
思いっきり応援した後は、「勝ってたのにねぇ」「あとちょっとだったけど」などと取組の感想を言ったり、「○○さんのお嫁さんがね」と話の続きに戻ったりして、生活の延長線上に相撲があるといった塩梅。
そして次の取組が始まるまで思い思いに過ごすんですね。
こうやって、昔の人も、相撲を観て、応援して、楽しんでいたんでしょうね。
番付が上になればなるほど、風格のようなものを纏っているように見える力士たち。
こちらの色眼鏡でしょうか。
白鵬関は貫禄があって、さすがでした。
実は今年、東京駅で白鵬関をお見かけしたことがあったのですが、その時はびっくりするほど、身体が大きくなくて、あれ? と思ったぐらいでした。
ところが、土俵に立つと、その存在感の大きいことといったら。
さすがです。
取組も別格でした。
反動を利用してとか、タイミングでとかいった取組ではなく、相手の力士を一度持ち上げるようにして、宙に浮かしてから、叩き落とすといった勝ちっぷりでした。
最高に恰好よかったです。
腱鞘炎になるのではなかろうかと思うほどのたくさんのお土産をいただき、大満足で帰宅の途につきました。
そのお土産のごく一部がこちらです。
軍配模様の入った皿や、力士の形のチョコレートなど、面白いものがたくさん入っていました。
スポーツには、試合会場で観る方が面白いスポーツと、テレビ中継で観る方が楽しめるスポーツの2種類がありますね。
相撲はといえば、断然国技館で観るのがオススメです。
アットホームな雰囲気のなか、祭りの中にいるような感覚で、大勢で応援する楽しさ。
これは、テレビ観戦ではなく、国技館に行かないと味わえないものでした。
もっとたくさんの人に、国技館に足を運んで欲しいもんだと、相撲協会の人間でもないくせに思ってしまいました。