映画「リトル・ダンサー」
- 2014年08月04日
最近観た映画のDVDの中で、特に心に残った作品のご紹介です。
まずは「リトル・ダンサー」。
これ、間違いなく名作です。
名作だとは聞いていましたが、なぜか見逃し続けてきまして、最近になって観て、なるほど、これは噂通りに名作だと納得。
イギリス北部の炭鉱町で、母を亡くした少年が、炭鉱夫の父親と兄と貧しい暮らしをしています。
この少年が、ひょんなことからバレエを始めることになり、彼がその夢を実現していくまでの成功物語。
が、この作品の素晴らしさは、そうした主軸とはほかに、家族の物語になっていること。
いつの間にか、少年の夢の実現はもちろんなのですが、どっちかというと彼の父親を喜ばせたいと思ってしまっているのです。
また、シーンの繋ぎが見事で、一瞬で時間の経過を見せるといった高テクニックは非常に勉強になりました。
ラストシーンも素晴らしい。
こうしたテーマの作品によくありがちな、だらだらと主役に躍らせて「こんなに踊れますぜ、なんたってたくさん練習しましたから」とアピールして終わるといった定石を使っていない。
最後に踊るシーンはゼロ。
ラストシーンは、客席で息子の舞台を見つめる父親のアップてす。
こっちはこの父親を喜ばせたいと、感情移入して観ていましたから、その父親が感動し、喜ぶ顔を見せてくれただけで、最高に幸せな気持ちになれるのです。
いい映画です。
次にご紹介するのは「コッホ先生と僕らの革命」。
舞台は19世紀末のドイツ。
母校に英語教師としてやってきたコッホ先生が、生徒たちとサッカーを通して、様々なことを学んでいきます。
実話を映画化したもののようです。
サッカー好きの私には、サッカーをテーマにした映画には点数が甘くなるという傾向があるのは充分承知の上で、言いましょう。
これ、とてもいい作品です。
物語は非常にオーソドックスに進んでいきますし、きっとこの子は、次にこういうセリフを言うだろうなと思っていると、だいたいその通りのセリフを口にします。
普通なら、平凡な作品との評価を付けるところですが、これを観終わった時に感じるのは満足感なのです。
物語を作る者として、この理由ははっきりさせたいところ。
しばし腕を組み、理由を考察。
恐らく、一つひとつのシーンを丁寧に作っているからかなぁとの結論に。
子どもたちの一瞬の表情、時代の空気を反映している街並み、裕福だけど支配者と服従者しか存在しない家の中、貧しさが溢れている家・・・そうしたシーンをとても丁寧にちゃんと作っているのです。
派手な仕掛けやサプライズがなくても、きちんと作っていけば、感動作を作れるというのを学ばせてもらいました。