配達員が
- 2014年08月18日
毎日複数の宅配会社の配達員が、荷物を持って来てくれます。
原稿を送ったり、受け取ったりといった仕事の荷物は勿論、事務用品や日用品、アパレル品まで、様々な荷物を配達員から受け取ります。
これは、買い物のほとんどをネットで済ませているせい。
あまりに頻繁に配達員がやってくるので、常に身に付けているエプロンのポケットには受け取り時に必要なハンコを入れているぐらい。
この宅配会社の配達員。
担当エリアが変わるのでしょうか。
それとも辞めてしまう方が多いのでしょうか。
しょっちゅう顔ぶれが変わります。
ある日のこと。
モニター画面には見慣れた宅配会社の制服を着た男性が。
しかしその顔は初めて見るもの。
恐らく20代でしょうか。
また新人さんが来たのかと思いながらドアを開けると、その青年はやや大きめの段ボール箱を抱えていました。
それで、ドアを大きく開けて、そこに置いてくださいとお願いしました。
「はい」と答えた配達員は、たたきに段ボール箱を置こうとします。
と、「よっこいしょ」と言う声が聞こえてきました。
はい?
今、よっこいしょと言った?
空耳か?
よっこいしょなんて言葉は、健康保険の負担額が1割の人か、或いはマンガの中で女子中学生が、自分が非力であることをアピールするために異性に聞かせたい時に使う言葉であって、宅配会社に就職し配達員となった青年が、客の前で言う言葉ではないと思っていたのですが・・・。
動揺する私にむかって、その青年は受取書を差し出してきました。
空耳だな。そうだな、そうに違いない。プロがよっこいしょなんて言うわけないな。
と、自分に言い聞かせ、受取書にハンコを押しました。
その段ボール箱を持ち上げてみると、ちょっと重くはありましたが、ガテン系の仕事を選んだ人が、掛け声をかけなくてはいられないほどの重さでは決してない。
やはり、空耳だったんだなと納得。
2日後のこと。
モニター画面に、件の青年が。
一度は空耳だったと納得したはずなのに、気が付けば髪を耳にかけて、どんな小さな音も拾ってやるぜと準備をしていました。
迎え入れた配達員は、前回より一回り大きな段ボール箱を抱えていました。
大きくドアを開け、中に入れてくださいとお願いします。
すると・・・「どっこいしょ」という声が。
「よっこいしょ」よりさらにインパクトのある別バージョンを披露され、絶句。
そこで、私の勝手な妄想を広げると・・・彼は祖父母と暮らしているとか、暮らした経験が長かったのでは。
それで、常日頃耳にしていた言葉が、無意識に出ているのでは?
何度か顔を合わせるうちに世間話なんかするようになったら、聞いてみよう。
そう思っていたのですが、彼はそれ以降まったく来なくなってしまいました。
担当エリアが変わったのでしょうか。
それとも、彼にとっては掛け声をかけなくてはならないほど、荷物の上げ下ろしが大変だったのでしょうか。
謎のままとなってしまいました。