新刊「エデンの果ての家」が発売になります
- 2014年09月11日
新刊「エデンの果ての家」が発売になります。
11日か12日ぐらいから書店に並び始める予定です。
どうでしょう。この装丁。
翻訳本っぽいといった感想を多くいただいています。
蛍光色を使っているので、ポップな印象を与えます。
一方で右に建つ塀の黒くザラザラした触感が、不安定さを作り出しています。
このバランスが絶妙で、物語がすでに始まっていますよと声をかけられたような気がして、思わず手に取って、レジへと運んでいた・・・なんてことになるんじゃないかと期待させてくれる装幀です。
装幀はとても大事で、だからこそ、編集者は知恵を絞り、アイデアを出し、苦しみます。
そして何度もデザイナーさんと打ち合わせをし、いくつか絞り込んだうえで、私に提案をしてくださいます。
今回もいくつかの案を見せていただき、仕事場のテーブルにずらりと並べました。
これが迷う。
好きか嫌いかなら、すぐに判定できます。
が、装幀のデザインとなると・・・自分の好みで判定することはできません。
目立ちたい。
書店の平場に新刊がずらっと並んだ時、私の本を目立たせたいのです。
が、これが簡単じゃない。
派手な色や書名を大きくすれば目立つというものじゃないんですね。
皆考えることは同じなので、派手な色使いの装幀ばかりになると、却ってシンプルな装幀の方が目立ったりすることもある。
だとすると、期待感を抱かせるような装幀の方がいいのでは。
それってどんな装幀よ?
と、答えのない疑問がどんどん出てきて、結局どんな装幀にしたらいいのかわからなくなり、ラビリンスへ。
そんな時、小説の雰囲気に近いイメージのものにしたらどうかとの考えが浮かんだりもします。
ですが、小説とまったく違う装幀でも趣きのある装幀だと、ぴたっとはまることもあって、内容と近いかどうかは、それほど重要ではないということを思い出したりして、さらに悩みは深くなっていきます。
今回も出口の見えない状態になった時「ちょっと休憩しましょうか?」と編集者に声を掛けられ、お茶を飲みながらよもやま話などをしてブレイクタイム。
少し時間を置いてから、今一度デザイン案を見ていきます。
と、「あぁ、やっぱりこれかな」という思いがさっきより強くなっているものが。
そうやって決めたのが、この装幀です。
お気に入りの装幀になりました。