肩幅がありません。
しかもなで肩。
なので、肩で着る洋服は基本的に似合わない。
昔水泳をやっていたのかと思うような肩幅のしっかりある女性を見かけると、悶絶しそうになるほど羨ましい。
こんな私なので、当然ショルダーバッグは1つも持っていません。
ショルダーバッグを肩にのせた途端、吊りひもが直滑降してしまうので。
以前、女性のバッグのデザインをしている男性に話を聞いたことがありました。
その日、展示会で発表されていた新作は、どれもショルダーバッグ。
好きなものを1つ、差し上げましょうと言われました。
ありがとうございますとお礼を言って、1つ頂戴すればいいものを、バカ正直に私は言いました。
「せっかくなのですが、実は私、なで肩でショルダーバッグだと吊りひもがズリズリと落ちてくるので、結局吊りひもを手で持ち上げ続けて歩くことになってしまうので、いただいても、使えないのです」と。
すると、その男性デザイナーは、そういう女性の仕草が見たくて、バッグはデザインしているんですと言い出しました。
きょとんとしている私に、説明してくれたところでは、女性がショルダーバッグの吊りひもを何度もかけ直す仕草をとても可愛いと思っていて、その仕草を見たいがために、わざと止まりにくい素材を使ったりまでしているとのこと。
はた迷惑なといった言葉が浮かびましたが、そこは大人。
ぐっと我慢して、本当ですか? と再確認するに止めました。
すると男性デザイナーは厳かに頷きました。
そして、私に「ちょっとやってみてよ」と促してきました。
行きがかり上、仕方なく、ショルダーバッグを肩にかけます。
と、すぐに吊りひもが落ちてしまうので、掛け直します。
その時「それっ。それだよぉ。その仕草」と男性デザイナーの大きな声が。
「酔ってますか?」との質問も口に出さず我慢していると、「この仕草を嫌いな男はいないはずだから、女性たちももっとそのことを意識して、ショルダーバッグの吊りひもをかけ直して欲しいんだよねぇ」と男性デザイナーは言いました。
このデザイナーが言うのはホントーでしょうか?
だとしたら、男性の目線と女性のそれとは随分違うもんだなぁと思います。
最近よく和菓子を食べます。
これは、以前いただいたお饅頭。
小ぶりながら、どしんとお腹にくるような甘さが美味しかったです。
なぜ最近和菓子を食べるようになったかといえば・・・自分に牛乳と卵白にアレルギーがあると判明したため。
このほかにも色々な食材にアレルギーがあり、食品の裏面に書かれている原材料名をルーペで追うのが日課になりました。
そんな時には、思わず「あーメンドー臭い」と呟いてしまいます。
が、アレルギー源を摂らないと、明らかに体調がいいのも事実でして、メンドー臭くはあっても、今日も原材料名の蘭にルーペをあてるのです。
なんといっても残念なのは、牛乳と卵白がダメだと、スイーツ系のほとんどがNGになってしまうこと。
これ、当初予想していた以上に、メンタルに響きます。
コンビニで主役といえば、やはりスイーツの棚。
店内のスポットライトはすべてスイーツの棚に向いているに違いないと思うほど、光り輝いています。
当然、足は自然とそこへ向かってしまいます。
牛乳と卵白を使っていないスイーツはないという現実を受け入れるまで、5分以上かかります。
棚に並ぶ品を端から端までチェックしていき、見逃したものがあったのではとの思いに駆られ、もう1度すべての品をチェックするのに、それぐらいの時間が必要なのです。
結局、打ちひしがれて棚から離れ、羊羹やお煎餅といった渋いオヤツをレジに運びます。
グレてしまいそうになる気持ちを宥め、いつの日か生クリームたっぷりのロールケーキやショートケーキを食べられる日がくるさと、自分に言い聞かせます。
私のような遅延型のフードアレルギーは、一定期間その食材を除去したら、再び摂ってもいい日がくると言われています。
その日がくるのを心待ちにしながら、今日もコンビニのスイーツの棚の前に立ちます。
じっとスイーツを凝視し続ける女がいたら、それは私かもしれません。
小説「恋愛検定」の電子書籍版の配信がスタートしました。
本は電子書籍でいう方は、こちらもあわせてご検討ください。
こちらは、紙の本を扱ってくださる書店さん用のポップです。
これ、書店で見かけたよ、という方はいらっしゃるでしょうか。
ここに「恋愛検定」の本がありますよと、遠くからもわかっていただけるのではないかと期待しているのですが。
一消費者として書店を訪問した際、やっぱりこういうポップに目が留まり、買っちゃうことがあります。
ふむ。そこまで言うなら、買ってみるか、なんて気持ちになって。
そこの書店員さんの手書きポップも、そうですね。
その本への愛が熱く語られていたりして、そこまであなたが薦めるなら、読んでみようかと、買う気にさせられるのです。
作家になって間もない頃のことです。
出版社の営業担当者から、書店に置くポップにしたいから、著者からのメッセージを手書きして欲しいと依頼がきました。
手書き?
マズい。
私はかなりの悪筆。
本の売り上げに貢献できるどころか、マイナスの効果を生み出しかねない。
そこで、手書きじゃないとダメでしょうか? と尋ねると、ダメですと即行で返事がきました。
仕方がないので、渡された紙に試し書きをしてみます。
が、遣る瀬無くなるほど、下手。
そこで色でごまかそうと、ピンクや赤のペンで書いてみますが、却って悲惨な状態に。
下手な字でも、愛嬌があったり、味わいがあったり、個性的という範疇に入るような字であったりすればいいのですが、見てる方が哀しくなるような字なのです、私の場合。
しかし、逃げることもできず、結局、依頼された数の紙にメッセージを書いて担当者に渡しました。
担当者がそれを実際に書店に持っていったのか、また書店員さんが、それを飾ってくれたのかは不明です。
書店で自分が書いたポップを目にしたことがないのは、偶然でしょうか。
習おう。
そう決心した私は、ペン字の通信講座に申し込みました。
一週間ほどで届いたテキストを見ながら練習し、課題を提出し、添削してもらうの繰り返し。
三十代半ばになって、ペン字を学ぶことになろうとは夢にも思っていませんでした。
すべての課題を提出し、最終的に出された評価はBぐらいで、精一杯やってもこの程度なんだと己の力不足を痛感。
が、それでも以前と比べれば、ましにはなったような気が。
書いた字をじっと見つめても、哀しくはならなくなりましたから。
最近観た映画のDVDの中で、印象に残ったものをご紹介。
1つ目は、「メアリー&マックス」。
クレイアニメの作品で、間違いなく大人向けです。
個性的な8歳の少女メアリーと、44歳の中年男マックスの20年に亘る文通が描かれます。
オーストラリアに住む少女とアメリカで暮らすオッサン。
この2人の共通点は孤独。
世の中を上手に渡っていけない2人は、それぞれの世界で浮いています。
それを手紙に書いて会ったこともない相手に送るのです。
この文通というのが、なんとも効いてます。
SNSなどでは、すぐに返信がきます。
だから孤独を感じないかもしれませんが、それはそう勘違いしているだけかも。
薄い会話を延々と続けても、心は満たされない・・・そんな人は結構多いのではないかと私は思っています。
これが手紙だと、返事が来るまでに時間がかかる。
この時間がとても大事で、時差をおいたうえで届く優しさや思いやりが、胸に沁みるのです。
孤独をテーマにした映画でもう1本。
ジョニー・デップ主演作「シザーハンズ」です。
発明家が作り出した人造人間エドワード。
発明家の急死によってエドワードはたった一人、この世に残されてしまいます。開発途中だったため、両手はハサミの状態で。
このおかしな設定で、もう勝負はあったといった感じですが、そこにエドワード役に魂を吹き込んだジョニー・デップの演技力が加わり、傑作になっています。
ナイーブで、愛されたいという気持ちを、ごく控えめにしか表現できない不器用なエドワードを、ジョニー・デップが見事に演じています。
映画の中で「あなたはどこも悪くないわ。あなたはユニークなのよ」と、エドワードが言われるシーンがあります。
このセリフに、思わず胸がぐっときます。
そこで、いつの間にか、人造人間に感情移入して観ていたということに気付かされました。
どんなおかしな設定でも、そこに魂があれば、その作品世界に浸ることができて、登場人物に寄り添えるのだと実感しました。