横断歩道
- 2015年05月14日
小学校まで10分ぐらいかかりました。
子どもの感覚なので、その距離は結構あるように思っていました。
実は自宅から5分で行ける場所に小学校がありました。
エリアからいくと、私はそちらの学校に行くべきであったと後で聞きました。
本来であればそちらに行くべきであったのに、なぜ行かなかったかというと、祖母が反対したというのです。
そちらの小学校へ行くには、大通りを渡らなくてはなりませんでした。
赤信号だったら待ち、緑になったら横断歩道を渡る・・・これが私にはできないと祖母は思ったというのです。
私を誰よりも理解していた祖母が「無理じゃないかねぇ、この子に横断歩道を渡るのは」と言ったとのこと。
確かに私はぼんやりしていた子どもでした。
残念ながらそれは現在も続いていますが。
通学時間には恐らくみどりのおばさんがいるでしょうし、ほかの子どもたちもいるでしょうから、それほど危険ではないと今の私は思うのですが、当時祖母は猛反対。
結局私は学区を無視し、遠い小学校へ通うことに。
そちらの学校には、住宅街の中をてくてく10分歩けば辿り着けます。
信号がある場所はゼロ。
当時は誘拐の心配などはあまりなかったのでしょう。
下町の住宅街で、大人の目がしじゅう光っているようなエリアだったせいもあったかもしれません。
それにしても、一人で横断歩道は渡れないだろうと判断された自分が不憫です。
確かに私は祖母を心配させるに十分なエピソードを残してきました。
幼稚園の頃には、ルート別に花の名前のついたバスに乗って帰るのですが、なぜかそのバスに乗り遅れる。
遊びに夢中になっていて・・・なんて子どもらしい理由があればいいのですが、ただぼんやりしていて、自分が乗るべきバスの列に並べず、気が付いた時には園庭に一人なんてことが、週に1回ぐらいある。
その度に祖母が迎えに来てくれました。
そんな時祖母は叱りませんでした。
「それじゃ、帰ろうかね」と言うだけ。
私の手を握り、二人で歩いて帰るのです。
こんな経験を何度もしていれば、私が横断歩道を渡れないだろうと判断するのは無理からぬこと。
祖母のこの判断のお陰で、私は車事故に遭うことなく、小学校を無事卒業することができました。
できれば、卒業できたことを祖母自身に確認して貰いたかったのですが。