靴の調整
- 2015年07月02日
自分にぴったりの靴なんて、あるわけない。
シンデレラでなければ、ぴったりの靴を誂えてくれる魔法使いも現れないでしょうしね。
調整しなくちゃいけません。
先にクッションを詰めたり、踵に滑り止めを貼ったり、広げたりといった工夫を自らしなくちゃなりません。
靴がちょいとキツい時には、こんな風にシューズストレッチャーで広げます。
これ、根気が必要。
一気に広げちゃいけない。
ちょっと広げて二日放置し、またちょっと広げ二日放置――これを繰り返し、シューズストレッチャーを外して一週間ほど放置した後、また同じことを繰り返します。
これを自分の足にフィットするようになるまで続けます。
こうして調整したとしても、足がむくんだり、立ち続けたりすることで靴が合わなくなることも。
美術館に行った時には・・・行きはよいよい、帰りは恐いといった状態。
1、2時間ぐらいずっと立ち続けるわけですからね、足が痛くなります。
が、ヒールの低い靴にするという選択肢は、私にはありませんでした。
靴はやはりヒールがあった方が美しいのです。
が、この年になってようやく冷静な考えが頭に浮かぶように。
誰がお前の足元なんぞを見るっていうのか。
お前の美意識なんぞより、足が楽な方がいいだろうに。
といった至極真っ当な考えです。
とはいうものの靴に対する考えを変えるというのは、生き方を変えるというぐらい私にとっては大きな転換。
これ、大袈裟じゃなくそれぐらいの大転換なんです。
女性ならわかって貰えるかもしれません。
私が靴に対して特別の興味を抱いたのは幼稚園の頃。
当時子ども向けの番組で「ロンパールーム」というのがありました。
そこで司会のお姉さんが、グレーのストッキングにグレーのパンプスを履いていたのです。
それは強烈で、大人の女性といったものを幼稚園生の私に残しました。
番組内で子どもと遊ぶお姉さんが、動き易い靴ではなく、どうしてパンプスを履いていたのかは謎のままなのですが。
大人になったら、私もグレーのストッキングにグレーのパンプスを履くんだと心に決めたのです。
この靴への憧れは消えず、靴への愛を深め続け、大学を卒業後には靴の小売チェーン店へ就職するまでになりました。
これまで様々なヒールの高さの靴を履いてきましたが、ローヒールといったジャンルにだけは手を出してきませんでした。
靴の美しさは曲線だと思っているのですが、ヒールがないとその曲線が出ませんから、私からするとNGだったのです。
先日、思い切ってぺったんこの靴で美術館に行ってみると・・・なんちゅう快適さ。
画に集中できるし、全然疲れない。
これだけは譲れないのよなどと言っていた自分の歴史を消し去ることにしました。