競馬場へ

  • 2015年08月31日

昔、何度か競馬場へ行ったことがあります。
当時の職場では、馬券の購入をするのは大人の嗜みだといった風潮がありました。
半人前の私でしたが、大人になりたくて、たまに同僚に馬券購入を依頼しては小金を失っていました。
keiba
ある日曜日、同僚たちと競馬場へ行くことに。
競馬場デビューです。
当時は窓口に行き、口頭で「2-3を1000円と2-4を100円と・・・」といった具合に注文し、馬券を購入するスタイルでした。
心に決めた番号を記したメモを手に、窓口で順番を待っていると・・・客の声が聞こえてきます。
「3-4を1万と、3-5を5千、3-7を1000円」
ん?
3がくるのか?
このオッサンは、3がくると思っていて3から流している。
手元のメモを確認すると・・・3はない。
慌てて競馬新聞を広げ、3がどんな馬なのかを調べます。
見たところで、なにかがわかるわけじゃないんですが。
競馬新聞にはプロの予想が書いてあります。
そのプロたちの中でたった1人だけ、3に大穴マークを付けている人がいました。
そうなの?
このプロは予想屋の中で、どういう人なの?
信じていい人なのか、ただのバカなのか、どっちなのかがわからない。

と、レースが終わった後で「あー、あの時、3がくるかもって思ったのに、買わなかったー」と後悔している自分の姿が頭に浮かびました。
買っとこう。
そうだな、一応買っとこう。
競馬の神様が、ちょっとヒントをくれたのかもしれないし。
と心に決め、くると予想していた5とからめ、3-5を買うことにします。

しかしながら、私の番はなかなかこない。
待っていると、今度は別の客の声が・・・1-4を1000円と、4-6を2000円。
えっ?
4がくる?
急激に胸に溢れる不安。
4がきたらどうしよう。
やっぱり4もおさえておくべきだろうか。
迷っている間に、私の番に。
気が付けば、予定していたもののほかに、3と4がらみの馬券も購入していました。
まー、どれかはくるだろう。
などと、こんな時に突然楽観主義者になり、鼻歌まじりで同僚たちが待つ席へ。

が、どれもこなかった。
色々買ったのに、その隙間をかすめるように勝利は過ぎ去った。
がっかりして財布を覗くと・・・カラ。
予定外に3と4がらみの馬券を購入したため、すっからかんに。
同僚にカラの財布を見せて「帰りの電車賃を貸していただけないでしょうか?」と尋ねると・・・。
貸してくれました。500円ぐらいだったと思います。
「必ず帰りの電車賃だけは取っておくというのが、正しいギャンブラーの道だから。財布とは別の場所に、電車賃分を置いておきなさい」
との小言と一緒にでしたが。

その後しばらくして競馬場へ行ってみると・・・馬券の購入方法が変わっていました。
マークシート用紙の欲しい番号のところを鉛筆で塗りつぶし、機械に差し込むスタイル。
お金を払うと、馬券が機械から出てきます。
なんて素晴らしい方式でしょう。
これなら、ほかの人が買った馬がわからないので、迷わなくて済む。
お陰でこの時は帰りの電車賃に手を付けずに済みました。

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