仕事上様々な種類の雑誌を買います。
小学生向けのものから、オーバー60歳の男性向けの雑誌まで。
時にはボウリングや、バードウオッチングなどといった趣味に特化した雑誌も。
先日買ったのは、結婚式を検討中の女性向けの雑誌。
まぁ、びっくりしました。
なにがって、まずその厚さ。
昔、物の厚みを表現するのに「電話帳ぐらいの厚さ」という言葉がありました。
非常にぶ厚いことを言います。
それぐらい、電話帳は厚かったんですね。
久しぶりにこの表現を使いたくなりました。
片手で持つのはちょっと難しいほどの厚みの雑誌。
そこに結婚式場やウエディングドレスや、引き出物などの情報がびっしりと並んでいます。
大量の情報の中で、溺れそうになる花嫁候補がたくさんいるのではないかと心配するぐらいです。
次に驚いたのは付録。
付録のコンセプトの針が振り切れている。
それは、28点もの手作り弁当のキット。
たとえば、ふりかけシートなるものは、プラスティック製のこれをご飯の上にのせ、ふりかけをふればメッセージを書けるとあります。
この文字は「I LOVE YOU」。
うずらの卵を刺すと思しきピックの頭には、ハートのモチーフとその上に「LOVE」の文字。
オカズとオカズの間に挟むバランには、イラストが描かれていて、そこにはハートの模様がたくさん。
さらに「愛情こめてつくったよ」との手書き風の文字が印刷されています。
この文字の最後にもハートマーク。
さらに凄いのは、5種類のプラスティック製のメッセージカード。
これにはすでにコメントが印刷されている。
説明書きによれば、弁当と一緒に渡し、そのうち1枚を感想として空になった弁当箱と一緒に返してもらうというもの。
つまり、手作り弁当を受け取った彼用のメッセージカードなんですね。
返事まで彼女の方で用意しちゃうってところが、凄い。
5種類のうち1つは文字なしなので「好きな言葉を書きましょう」と、わざわざ説明書きにあるのも、すっげぇなと感心してしまいました。
すでに印刷されている言葉は「毎日がんばれるのは愛たっぷりお弁当のおかげ」や「星3つです!」など。
彼女の方が用意するカードなわけですから「今ひとつだったかな」なんてコメントは、当然用意されていないわけです。
ま、自由に書けるはずの無地のカードであっても、そうした気骨のあるコメントを記せる男はいないとは思いますが。
興味があるのは、こうした愛溢れる弁当が、フツーの弁当に変わるタイミング。
恐らく、こうしたラブリーな弁当も何年も続くわけじゃないでしょう。
ハートマークやLOVEの文字が少しずつ消えていき、やがて質実剛健といった弁当になるのでしょうか。
あるいは徐々にではなく、突然その日はやってくるのでしょうか。
そうした気持ちの変化を書いてみたいなぁなんて思います。
ついに加湿機能付き空気清浄器を買いました。
悩んで迷った結果ラビリンスに入り、どうでもよくなってしまい、購買意欲が激減し「いいや、今度で」と先延ばしにしていたのですが、そんな私もようやく決断するに至りました。
ここはシンプルに考えよう。
そう決めました。
人生もあれこれ悩まず、シンプルにできたらきっと幸せ。
で、値段とサイズ、この2点に絞ることに。
ニューモデルが出て、安くなった1つ前のモデル――これが狙い目だろうと考えました。
そうした物の中で、サイズが小さい順に5つほど並べてみました。
もうほかに目移りをせず、この中で決めるぞと心に決めて、それぞれの特徴についての記述を読んでいくと・・・フィルター交換が10年に1度と書いてあるのを発見。
それまで使っていたのは、フィルター交換が6年に1度と取説に書いてあったにもかかわらず、毎年のように交換時期を知らせるランプが点灯したので、なんでよとつっこんでいました。
それが10年だというのであれば、手間を省けます。
あくまでも取説を信じればという仮定条件付きですが。
また、水タンクの口が広いので、中まで洗い易いとの記述が。
よし、これにしよう。
迷うな、私。
どうせ失敗する時には、失敗するのだ。
今更失敗を恐れるな。
ということで、購入。
それまでのより一回り小ぶりで、よしよしと満足の笑みを浮かべていると・・・水タンクがやけに小さい。
取説を読んでみると、連続使用は約4.6時間となっています。
基本的にずっと家にいるので、24時間使うと考えると、5回以上タンクに水を入れなきゃいけない。
それまでのは1日2回、タンクに水を入れればよかった・・・。
ここで気が付きました。
加湿機能付き空気清浄器本体サイズが小さいということは、当然その中の水タンクも小さいということに。
水タンクが小さければ、水を入れる作業は増えるのだということにも。
まだ加湿機能は使用していないので、実際これがどういうことになるかはわかりません。
来春になった時「そうねぇ、この冬は水を入れてばかりいたわかねぇ」などと振り返ることになるような気がしてしょうがありませんが。
さて、どうなることやら。
小説を執筆中、いつも同じ音楽を聴くようにしています。
音楽に反応して、すぐに物語の世界に入れるようにするためです。
これをパブロフの犬作戦と呼んでいます。
まず、ざっくりとした小説の構想があります。
これにフィットする音楽を探します。
テーマ音楽が決まったら、それを聴きながらプロットを立てます。
そして執筆中ずっと同じ音楽をエンドレス設定にして聞き続けます。
毎日何時間も。
これが半年以上に亘ります。
新刊「ワクチンX 性格変更、承ります。」のテーマ音楽は「ショパンの人気曲ランキングTOP50」というアルバムでした。
これには「ノクターン」や「別れの曲」などの名曲が50曲詰まっています。
しっとりとしていて、柔らかさと強さが同居しているような音楽の力を借りて、小説を書き上げることができました。
ここはひとつ、ショパンに感謝です。
時に、書いているうちに、小説の雰囲気と音楽が合わなくなることがあります。
違和感を覚えながらもしばらくは書き続けるのですが、段々苦しさに耐えられなくなっていきます。
そこで新たに音楽を探し、テーマ音楽を変更することも。
これ、結構勇気がいることなんです。
稀に先に音楽が決まる時もあります。
平井堅さんのアルバムを購入し、初めて聞いた時のことです。
「あぁ、こういう雰囲気の小説を書きたい」と思いました。
温かいのだけれど、奥の方で泣いているような感じ。
音楽が横にあって、力を借りるというのではなく、音楽が先にあって、そこに小説で近づいていくといったやり方です。
これで生まれたのが「ボーイズ・ビー」という作品です。
半年近く毎日何時間も聴き続けたので、マネージャーさんよりも私の方が聴いているんじゃないかと思っているんですが、どうでしょう。
電車のつり革に摑まっていると・・・前に座っている女性が、手編みっぽいセーターを着ていました。
その編み方の複雑なこと。
思わず釘付けです。
六十代らしき女性のそのセーターは、白い毛糸を複雑に編み上げて、独創的な世界観を表していました。
高校生の頃「手編み」が流行った時期がありました。
きっかけは、家庭科の授業だったように思います。
マフラーを仕上げる課題が終了し、授業はブラウス作りへと移っても、休憩時間にセーターを編み出すクラスメートが出現しました。
これに対抗するグループは手袋に挑戦をし始めます。
が、このグループはすぐに気付くことになります。
セーターよりも手袋を編む方が何倍も大変だということを。
ミトンタイプであれば、まだそれほどでもないのですが、5本指の手袋にしようと企んでしまった者は、その浅はかな考えを後悔することに。
両手で10本分の円柱形を編むことの大変さを思い知るのです。
私はどうだったかというと・・・自分のセーターを編もうと本を買い、毛糸を買いに行く。
ここまではイベント気分で楽しかった。
いざ始めようと本を開くと「まずゲージをとる」と書いてあり、ここでもう躓く。
ゲージとは編み目の大きさのことで、どんな太さの毛糸や編み棒を使うか、また自分の編み方の癖などで、編み目1つの大きさが違います。
本に書いてある完成サイズにするには、そこで基準としている編み目1つの大きさと、自分の編み目の大きさの差を計算する必要があります。
そして本に書いてある目の数から、自分が編むべき目の数を算出する・・・。
この私が、こんなことができるわけがないと、本を買う前に気付いておくべきなんですね。
が、毛糸まで買っちゃったので、ここで放り出すのは勿体ないと思い、ゲージをとらずに編み出してしまう。
本に書いてある通りの目数で編んでいく。
やがて、これはどう見ても小さいんじゃないかと思うものの、今更解いてやり直すなんて選択はしたくないので、そのまま突き進む。
で、なんとか完成したセーターは、やっぱり小っちゃい。
もっていたパンダのぬいぐるみにちょうどいいサイズ。
が、ボディサイーズはぴったりでも、パンダの頭が大きくて襟口を通過できず。
せっかく何日も編み棒を動かしたというのに、達成感ゼロの結末。
ここで学ぶべきなのは、やはり本に書いてあった通りまずゲージをとるべきで、最初の準備にしっかりと時間を掛けなくては失敗するのだという点でしょうか。
当時のドラマなどでは、女性の手編みのモノがモチーフとしてしばしば使われていました。
手編みのセーターを貰うと、彼女から拘束されているようで息苦しいだとか、手編みのセーターを貰うと気持ちが重いだとか。
今はどうなんでしょう。
ギャグ的な扱いに甘んじているような気がするのですが。