ため息
- 2016年07月28日
先日タクシーに乗りました。
私が住所を告げると、運転手がカーナビにそれを入力。
タクシーは動き出します。
と、運転手がため息。
私はなにかメンドーなことをあなたに頼みましたか? と聞いてみたくなる。
1分も経たないうちに、運転手は再びため息。
で、またすぐにため息。
どうやらこの運転手の癖のようなものみたい。
だからというか、しかもというか、運転手は自分がため息を吐いていることに無自覚。
なので、狭い車内でため息を頻繁に聞かされるこっちの気持ちに気付かない。
以前病院の待合室で、母と娘らしき二人連れを見掛けました。
母親が「はぁ」と立派なため息を吐く。
立派なため息というのは、息の音だけじゃなく、声も一緒に出ているものです。
あまりにはっきりと強いため息を聞き、私は読んでいた雑誌から顔を上げました。
母親の隣に座っている娘はシカト。
「お母さん、いったいどうしたっていうの?」なんて言ったりしない。
そしておよそ3分後、母親が再び「はぁ」という立派なため息を。
ここでも娘はシカト。
恐らくこんな風に母親がため息を吐くのは日常的なんでしょうね。
だから娘は驚いたり恥ずかしがったりせず、聞き流す。
幼い頃、祖母から「ため息を吐くと、幸せが逃げていってしまうんだよ」と教わりました。
当時の私は幼稚園児。
その前後を覚えていないのですが、突然そんな格言を幼稚園児に言うようなエキセントリックな祖母ではなかったので、想像するに私がため息を吐いたのでしょう。
幼稚園児がどんな不満や遣る瀬無さを抱えていたのか不明ですが、恐らくため息を吐いた私に、祖母が止めなさいと注意してくれたのだと思います。
祖母の言葉を胸に、ため息はなるべく吐かないようにしています。
それでも時々吐きたくなる状況に。
そんな時でもぐっと堪えて心の中でにして、実際に息を吐いたり、声を出したりしないようにしています。
更に言うなら、ため息は一人の時に吐くものです。
ため息は周囲にも残念な気分をまき散らしてしまうから。
灯りを消した部屋で、ベッドで、会社のトイレの個室でこっそりが、正しいため息の吐き方。
車内や病院の待合室では控えた方がいいように思うのですが。