リオオリンピックのトランポリン

  • 2016年08月15日

毎日リオデジャネイロから熱戦の模様が届き、嬉しいやら寝不足やらですね。
すべての選手に声援を送っていますが、なかでも特に応援していたのがトランポリン男子。
以前トランポリン競技に情熱を傾ける男子選手たちが登場する「頼むから、ほっといてくれ」という小説を書きました。
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元々トランポリンは知っていたし、体育の授業でやらされたことはありましたが、それほど興味があったわけではありませんでした。
ところが小説執筆のため取材を始めると、その奥の深さにどんどん惹かれていくように。
頑張る選手たちを目のあたりにして、これは書かなくてはならんと勝手に使命感に燃えました。

オリンピック前からトランポリン選手たちの動向をチェックしていたら・・・直前に伊藤選手が急性腰痛になったという情報が。
車椅子で練習会場を後にする姿を見て、「ドラマは小説の中だけでいい」と叫んでしまいました。
ドラマチックな展開は小説に任せていただき、実際はつつがなく万全な調子でマットの上に立って欲しいのです。

そして結果は・・・棟朝銀河選手が自己最高得点を更新して4位、伊藤正樹選手は6位でした。
演技を終えた伊藤選手の顔には、達成感がありながらもほろ苦さが浮かんでいたように見えたのは私だけでしょうか。

取材中伊藤選手の練習を見学したことがあります。
彼だけ別格の跳びをしていました。
素人の私にもほかの選手との違いがわかるぐらい。
まず音が違う。
高いところからマットに落ちてくるので、着地する時バッタンと大きな音がするのがフツー。
ところが伊藤選手は、真っ直ぐマットの中央に落ちるので、シュンと鋭い風の音がするだけ。
また跳び上がった後の身体が美しい。
無理矢理足を持ち上げましたとか、右に身体を捻りますといった「僕身体動かしてます」といった感じがない。
とても滑らかに身体を回転させるので、技の一つひとつがキレイ。
素晴らしい選手なんです。

つくづく思うのは、コンディションを合わせることの難しさ。
4年に1度の大舞台のたった1日に、ベストの状態で臨める選手はどれだけいるのでしょう。
それがオリンピックだと言われてしまえばその通りなのですが・・・なんとも残酷な世界だとも思ってしまいます。

望んでいた結果ではなかったかもしれませんが、これまで積み重ねてきた努力は決して無駄ではなかったと思います。
そこまで到達しからこそ見えた景色や感慨は、きっとこれからの糧になると信じています。

選手の皆さん、選手を支えてきた皆さん、お疲れ様でした。

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