登場人物
- 2016年09月22日
登場人物の個性をどうやって決めるのか?
と、よく聞かれます。
身近にいる人をモデルにするのか?
とも聞かれます。
現実に存在する人をモデルに、小説の登場人物を書いたことは一度もありません。
すべて空想から生まれたキャラクターたちです。
そもそも小説を書こうとする時、まず登場人物を考えるのか、それともストーリーを先に考えるのか?
という質問もよく耳にします。
どちらのケースもあります。
「手の中の天秤」では、最初に決めたのは設定でした。
物語の世界設定を決めた後、ストーリーを考えました。
大まかなストーリーが頭の中に浮かんだ後で、キャラクターを考え始めました。
主人公の性格はすぐに決まりました。
大学を卒業したばかりで、社会人になったばかり。
これからに期待する一方で、これが望んでいた生活だったのかと迷いも浮かんだり。
真面目でちょっと小心者で、心根は優しい。
これに対して、主人公の職場の先輩となる人物をどういう性格にするのかは、なかなか決まりませんでした。
主人公の側にいるキャラクターはとても重要で、作品を生かすも殺すも、この脇役がどれだけ魅力的かに掛かっています。
そうわかっているからこそ迷いが生まれ、なかなか決断できずにいました。
完璧な先輩?
優しい先輩?
恐い先輩?
頑固な先輩?
気の弱い先輩?
俺の背中を見ておけといった、孤高の先輩?
性格が歪んでる先輩?
・・・あれこれ考えているうちに、ふと浮かんだのは・・・ちゃらんぽらんな先輩でした。
新人がどう接したらいいか困るのは、ちゃらんぽらんな先輩ではないかと思ったのです。
特に真面目な性格の新人君からしたら、いい加減な先輩の言動は理解できないし、腹も立つし、でも言えないしで、ストレスの溜まる毎日になるのではと考えました。
それこそが物語を前に進める力になるのではと、ちゃらんぽらんな先輩を採用することにしました。
「手の中の天秤」をお読みになった方が、この脇役の採用は成功だったと思ってくださったら嬉しいのですが。