「いつ本を読むのか?」とよく聞かれます。
私はほぼ毎日半身浴をするのですが、その際本を読んでいますと答えます。
すると大抵「本がべこべこにならないか?」との質問が。
「なったことはありません」と回答します。
浴槽には二枚の蓋がありまして、その一枚だけを取り除きます。
一枚で覆えるのは浴槽の半分。
これが丁度良いデスク代わりになりまして、この蓋の上に本を置いて読んでいます。
以前住んでいた部屋にあったのはユニットバスで、蓋がなかった。
それでも半身浴と読書がしたかった私は、浴槽の縁に肘をのせ、本を持った腕をその縁で支えて貰って読んでいました。
これ、文庫だと楽勝なのですが、分厚い単行本だと腕がぷるぷるする。
腕を鍛えていると考えるようにして、毎日の読書タイムを過ごしていました。
これだと蓋がないため、本の真下が湯になり、その蒸気が思いっきりあたることになります。
それでも本がべこべこになることはありませんでした。
だからといって、この読書スタイルがオススメできるというわけではありません。
今から何年前のことでしょうか。
端末で本が読めると小耳に挟みました。
まず頭に浮かんだのは、それの防水対応はどうなっているのかということでした。
風呂場に持ち込むこと前提だからです。
やがてそういうものを自分の生活に取り入れた編集者が現れ出し、そうした話になる度、私は尋ねました。
「それ、防水対応はどうなっているの?」と。
すると「フツーぐらいじゃないですか」と、なんともいい加減な返事が。
「風呂場に持ち込んでも大丈夫かな?」と私が言うと、「それは無理じゃないですかね」と答えます。
フツーの中に風呂場は入っていない模様。
どうやら私の読書スタイルと、端末は相いれないと思っていたのですが・・・シートだか袋だかで端末を覆えるものが発売されたようです。
私のような人はそこそこいるのかもしれません。
独りじゃないとわかり、ちょっと嬉しかったです。
そのうち端末の種類が増え、また端末でできることが増えていきました。
そうなると私とは違う理由で風呂場に持ち込もうとする人が出始め、端末をラップで包んだり、チャック付きのポリ袋に入れたりと、それぞれが工夫をし始めたようです。
私はといえば、結局それまで通り、紙の本を風呂場に持ち込んでいます。
読書のスタイルの種類は増えました。
自分に合ったものを選択していただき、皆さんの読書タイムが増えたらいいなと思います。
「手の中の天秤」の電子書籍版が配信開始になりました。
ご自分のスタイルに合わせて文庫にするか、電子書籍にするかを選んでいただき、楽しんでいただけたらと思います。
今夏泳ぎましたか?
水泳は夏の専売特許ではなくなり、今ではジムで一年中泳いでいるという人も多いかもしれませんね。
私は最後に泳いだのがいつのことだか思い出せません。
プールで使用されている消毒液が、私はダメなようなんです。
10分もすると全身に腫れが。
その腫れはどんどん広がり高さをもち、まるで立体地図のように盛り上がり、私を見た人が悲鳴を上げるほど、おどろおどろしい身体になってしまうのです。
が、当の私は痛みも痒みもなく、友人が「きゅ、救急車呼んだ方がいいよね」と慌てているのを、きょとんとして見ているといった状態。
で、シャワーを浴び30分ぐらいすると、元の状態に。
診察をして貰ったことはないので、あくまでも自己診断ですが、消毒液が原因ではないかと思うのです。
小学生の頃は夏になると体育の授業でプールに入りましたが、こうした立体地図になることはありませんでした。
十分に消毒されていなかったんでしょうか。
それとも、まだ私の肌が強かったのか。
中学校、高校、大学と、学校にプールはありませんでした。
夏休みに友人らと有料のプール施設へ行きましたが、そこでも悲鳴を上げさせたことはないので、立体地図は二十代の中ば頃から始まったと思われます。
水泳は全身運動でとてもいいと聞く度に、いいなぁ、立体地図にならない人は・・・と長年羨ましく思っていました。
すると「知人が行っているジムのプールは、確かイオン洗浄方式だとかで、フツーの消毒液は使っていないと言っていた」と、友人が教えてくれました。
そこで、ネットで検索してみると・・・確かにプールの水質を、消毒液ではなくイオンの力で保っているところもあるようです。
自宅の近くにそういうプールはあるだろうかと更に調べてみると・・・徒歩で15分ほどの距離にあるジム内のプールが、そういうタイプだとわかりました。
この徒歩15分が、微妙。
10分だったら、楽勝。
でも15分となると、私からすると「結構歩く」という距離になる。
通わなくなる理由が、始める前からわかっているという状態に、すでに腰が引ける。
が、もしかすると私の性格が変わって「泳ぐために生まれてきたの、私。どんなに遠くても毎日通うわ」となるかもしれない。
ひとまず、ジムの営業時間や料金を調べてみようとそこのHP内をうろついてみると・・・「はぁ?」と大声を上げるほどの高い入会金。
さらに一ヵ月の会費が、今住んでいる部屋の家賃より高い。
どこのどいつが、ジムの会費にそんだけの金を払うんでしょうか。
もしかしてと思い、イオン洗浄方式のプールを擁するジムの会費を調べてみると・・・高い。
洗浄方式についてまったく記述がないジムと比べると、明らかに高い傾向がある。
勝手な推測ですが、イオン洗浄方式の方がコストがかかるんでしょうかね。
だから会費の安さをウリにしているジムでは採用していない。
採用しても採算が取れると判断するのは、高い会費を取っているところ。
このような事情がありそうです。
ということで、プールで泳ぐという計画は早々に消えました。
小説は作家の妄想から生まれます。
とはいうものの現実に出会った人や、こと、場所を小説の中に入れる作家もいらっしゃいます。
私の場合は必死で想像力を膨らませ、実際に存在する人や場所は書かないように努めています。
そうはいっても、自分の経験や出会った人をモチーフとすることはあります。
小説「嫌な女」には主人公の徹子が子どもの頃、近所の文房具屋に行っていたエピソードがあります。
これは私が子どもの頃に住んでいた家の近くにあった文房具屋をモチーフとして、イメージを広げて書きました。
「手の中の天秤」では主人公の先輩男性が、書店の二階にあるピアノ教室に通うというエピソードが出てきます。
これも、私が子どもの頃通っていたピアノ教室がモチーフになっています。
その書店は駅前にあり、長いこと通い続けた店でした。
物凄い急角度の階段を上がると、手前にエレクトーン教室の部屋があり、奥にピアノの教室がありました。
教室といっても四畳ぐらいの広さしかなかったので、アップライトピアノと生徒と先生でぎゅうぎゅう詰め状態でした。
部屋にちゃんとした防音装置はなく、隣のエレクトーン教室からの音が聞こえていたので、あまりいい環境ではなかったように思います。
元々やりたくて始めたピアノではなかったため、私は嫌で嫌でしょうがありませんでした。
親の手前家を出なくてはならず、レッスン開始時間前に書店に行くのですが、なかなか二階に上がらない。
で、本の立ち読みをする。
店内にある時計をちらちら見ながら立ち読みを続け、私のレッスン時間が終わる五分前ぐらいになって、やおら二階に上がる。
次のレッスンの生徒がすでにスタンバっているため、私は五分だけさっと課題曲を弾く。
まったく練習をしていなかったため、当然先生からOKは貰えない。
「来週のレッスンの時までに練習しておいてね」と先生は言い、「はい」と私は答える。
この不毛なレッスンを毎週のように続けていました。
「手の中の天秤」の中に出てくるピアノ教室にあるのはグランドピアノで部屋は広く、私が通っていた教室とは全然違います。
ピアノの先生のキャラも、生徒の熱心さも、私が経験したものとはまったく違っています。
小説の中でこのピアノ教室は、先輩男性の仕事では見せない一面を覗かせます。
生まれて初めて通信販売を利用したのはいくつの時だったのか――。
はっきりと覚えてはいませんが、かれこれ30年ぐらいは利用していると思います。
当然ながら、それは失敗の歴史でもあります。
最近はさすがに学習して、矯めつ眇めつ画像を眺めるようにしています。
そして即決せず、日を改めて今一度画像を確認するようにもしています。
ネットショップの方も、最近では様々な角度で撮影した商品写真を掲載してくれています。
服の場合だと正面や後ろ姿は勿論、横向きや細部、生地のアップといった画像もあります。
これで失敗は激減するはずなのですが、そうはいかない。
先日膝丈のワンピースを見つけました。
何度か買っているサイトで、モノがしっかりしているとの信頼がすでにあり、即決しかかりましたが、いかんいかんと己を戒め、購入は翌日にすることに。
で、翌日改めて画像をチェックし、購入を決めました。
届いた品を早速着てみると・・・丈が長い。
昨今ではミモレ丈と呼ばれている中途半端丈。
サイズを間違えたのではなかろうかとタグを見ると・・・合っている。
手足が極端に短いとの自覚はあるのですが、それにしたってとの思いが。
そこで今一度サイトにアクセスして、件のワンピースのページを見てみると・・・モデルさんが同じワンピースを笑顔で着こなしている。
で、どう見ても膝丈。
悪いのは私の脚の短さというオチになるのだろうかと考えながら、画面をスクロールしてみると・・・実測サイズ表に目が留まりました。
着丈を見てみると・・・私がいつも購入している膝丈ワンピースの長さより10センチ以上長い。
急いで画面を戻して、今一度モデルさんが着用しているワンピースを眺めます。
やっぱり膝丈。
ミモレ丈ではない。
が、実測サイズ表にはしっかりと数値が書いてあるのだから、それを確認しなかった私が悪い・・・ということですかね。
それにしても、モデルさんと私の脚の長さとバランスの違いはべらぼうですね。
今後は画像だけでなく、実測サイズ表もしっかり確認しなくてはと胸に刻み、ミモレ丈のワンピースをどうするかという難題に。
遊びに来た友人に見せたところ「今のままで問題ない」とのコメントが。
「本当に?」「だって脚が短く見えない?」「重すぎて、太って見えない?」などと質問をいくつも放ちましたが、友人は「問題ない」の一点張り。
なおもしつこく尋ねる私に向かって、「誰も真剣にあんたのワンピース丈なんか見やしない」と断言。
そっか。
と納得して返品はせず、誰も見ないワンピースを着て出掛けています。
情け知らずの友人の言葉が、なにかを決断させてくれることもありますね。