間取り図
- 2017年11月16日
間取り図を眺めるのが好きです。
私なら・・・と勝手にそこに住むことにして、あれこれ妄想するのが好きなのです。
だから新聞の折り込み広告には結構目を通します。
光沢と厚みのある紙にカラー印刷されているのは、大体新築マンションの広告。
コピー用紙ほどの薄さの紙に1色印刷されている場合は、中古マンションの広告が多い。
私はこちらの中古物件の間取り図の方が好きで、すぐ捨てずに溜めておきます。
新作を執筆する前の準備段階の時、この溜めておいたチラシを引っ張り出します。
そして登場人物たちが住むのに良さそうな物件を探します。
チラシに書いてある間取り図のまま採用することはほとんどなくて、大抵いじります。
リビングの位置はこっちじゃなくて、こっちの方がいいとか、トイレはもっと小さくして・・・なんて具合に。
そうして決めた住まいのそれぞれの部屋のインテリアも考えます。
ベッドをここに置いて、枕はここ。
ここには棚があって、そこには随分前に貰った処方薬の残りが入った袋が置いてある・・・なんて細かいところまで頭の中に描きます。
そうしたことを小説の中で描写するかはさておき、頭の中にその人物がどういう暮らしをしているかというのを作り上げておくのは、結構大事だと思っています。
「僕とおじさんの朝ごはん」の登場人物、水島はケータリング業をしています。
フリーランスで働いている水島が、自宅とは別の場所に厨房だけを借りているというのはちょっと変なので、自宅の1階を仕事場にしている設定にしました。
残念ながら溜めておいたチラシの中には、参考にしたいような物件情報はありませんでした。
それで最初っから妄想することに。
前の住人が自宅で料理教室をしていたため広い厨房があり、使い勝手が良く、玄関のすぐ脇には打ち合わせができる小部屋もあるとしました。
料理教室だったため生徒たちが作るための大きな作業台が4つあり、それぞれにシンクやクッキングヒーターが設置されています。
ケータリング業の水島にとっては、そうした4つの作業台は不用なのですが、賃貸しているため撤去はできずそのままになっています。
作った料理を置いておくテーブルとして使っています。
そして時には、訪ねてきた息子が食事をするダイニングテーブルにもなります。
私の頭の中にある登場人物たちの住まいと、読者の方が頭に描く住まいはきっと違うでしょう。
それが文字だけで表現する小説の面白さですし、楽しい点だと思います。