友人A子が電車の中で声を掛けられたそうです。
それは見知らぬ男性。
「どうもご無沙汰しております」と挨拶され、A子はきょとん。
全然記憶にない。
これはもしかして、もしかするとナンパか?
だとすればすっごい久しぶりだぜ、などと能天気に考えていると、男性は「〇〇です」と名乗ったそうな。
名前を聞いても思い出せないA子。
こうした場合の選択肢は2つ。
思い出したわの体で、テキトーで無難な話をしてその場をやり過ごすのが1つ。
もう1つは、正直にあなたのことをまったく覚えていませんと告白する。
で、A子は正直に覚えていませんと告げる方を選択。
すると「△△で営業部にいた〇〇です」と言い、さらに「△△で人事部にいた□□さんですよね?」と確認してきた。
これは完全なる人違いとわかったA子は「私の名前は□□ではなく、△△で働いたこともありません」と言うと、男性はとてもびっくりした顔をして「それは大変失礼しました」と謝罪したとか。
そんな出来事も忘れた半年後のこと。
デパ地下で食材を物色していた時「久しぶりー」と声を掛けられたそうです。
今度は女性。
今度もまた見覚えのない人。
女性は「□□さんですよね?」と言ってきた。
その名前は、半年前に男性が口にした名前と一緒。
どうやらA子によく似た人がいるらしい。
□□という名前で××辺りに住み、△△の人事部で働いたことがあり、キルト教室に通っていた――。
と、予想外のルートで個人情報を得たA子は、ふと気が付いた。
すっかり間違える人がいるということは、逆に自分の知り合いが、□□さんに「久しぶりー」と声を掛けているかもしれない可能性について。
A子の名前や、元の職場や趣味といった個人情報が、□□さんにダダ漏れしているかもしれないと考えると、ちょっと怖い気がしたそうです。
その一方で、そこまで似ている人と会ってみたい気もしたとか。
A子からその話を聞いた時、そういえばと思い出したことが。
今から30年ほど前、バイト先の人から私にそっくりな人が歩いていて、もう少しで声を掛けそうになったと言われたことがありました。
その人は顔だけでなく体型も髪型も服の感じも同じで、同一人物でなければおかしいぐらいそっくりだったというのです。
「双子のお姉さんがいるの?」と真面目な顔で質問され、「生き別れた双子の姉さんがいるという話にした方が面白いですか?」と聞き返したら、「なんだそれ」と言われましたっけ。

それから10年後ぐらいでした。
2人の知人からメールが来ました。
そこには「昨日のジャイアンツ戦を見に行ってたでしょ。客席にいるところがテレビに映ってたよ」と書いてありました。
私はジャイアンツ戦を球場に見に行っていません。
ということは・・・10年前にバイト先の人が見たという、私にそっくりな人でしょうか?
(架空の設定の)姉さん、姉さんは野球好きですか? 私はどっちかというとサッカーが好きです。双子でも好きなスポーツは違うんですね。
子どもの頃日記を1週間も続けられませんでした。
それでも日記帳を買うのは好きで、何冊も持っていました。
そのどれもが数ページ使用しただけで放置となっていたのですが。

思春期真っ只中の中学・高校生時代も同じ。
日記帳が増えていくだけ。
クラスメイトの中には、小学1年生の頃から毎日つけているという強者がいましたっけ。
「毎日なにを書くの?」と尋ねると、「その日にあったこと」と当たり前過ぎる回答が。
イラストを描いたり、雑誌の切り抜きを貼ったりと、日記という枠を飛び越えて自由にノートを作っている子もいました。
大学生になると、日記をつけている子がいたのかどうかはわかりません。
日記が話題に上ることがなかったため、わからないのです。
この頃になると私はもはや日記帳を買わなくなりました。
それがOLになって数年後、ノートを付けるようになりました。
それは日記ではなく、読書後にその本の感想を書き記したもの。
どういうきっかけがあったのかもう覚えていないのですが、すごく感動してそれを記しておきたいと思ったのでしょうか。
学生時代に書かされる読書感想文ではないので、自由に、好き勝手に感想を綴りました。
日記では1週間と続けられなかった私が、これはなぜか続けることができました。
一時中断していた時期もありましたが、パソコンを使い出し始めると、手書きではなくそこに書き溜めていくようになりました。
本だけでなく、映画や舞台の感想や美術館で観た絵のことなど範囲は広がりました。
その後作家になりまして、時にエッセイを頼まれることがあります。
「前に観たあれはなんちゅうタイトルだったっけ」といった時、この記録が役に立つ。
検索するとタイトルが出てくるので、これこれと、エッセイの中に入れることができる。
と、これはナイスなケース。
ナイスではないケースというのは、検索しても出てこない。
そもそも感想が溜まっているだけなので、当時恐らく私はこういう感想文を書いたのではなかろうかと推測して、その言葉を検索窓に入力しなければなりません。
十年前に観た映画について書いたコメントを思い出せるかっちゅう話なわけです。
つまり思い出せなくて、めったやたらに単語を検索窓に入力するはめになるのです。
監督の名前や俳優の名前、記憶に残っているシーンやセリフなどを手当たり次第に打ち込む。
で、該当ゼロという画面を睨むことになる。
このナイスではないケースが圧倒的に多い現状は、なにか別の方法で解決できるのかもしれませんね。
検索の仕方とか、なにかソフトを使うとか。
こうした感想文のほかにこのブログも続いています。
週に2回の更新を目標にして6年が経ちました。
これまでのところ休止することもなく、更新できています。
なにが続いて、なにを挫折するのか、わからないもんですね。
エスプレッソマシンでコーヒーを淹れていました。
私の作業はボタンを押すだけ。
豆を挽くのもセットもマシンがやってくれる。
と、説明書きにあり、そりゃあ楽でいいわと思って購入したのです。
が、手入れがメンドーなことは説明書きにはなかった。
毎日洗わなくてはいけない部品が多過ぎる。
そんな時胃の調子が悪くなり、クリニックで検査を。
飲み薬での治療になりました。
ドクターから胃の弱い人はコーヒーは避けた方がいいと言われ、渋々コーヒー断ちをしてみると・・・胃の調子がいい。
薬の治療が終わった後も、胃のためにコーヒーを飲まずにいたところ、いい調子が続く。
こうなってみると、私はコーヒーなしでも生きていけるのだと実感。
それまではコーヒーがなかったら生きていけないと豪語し、旅先では「コーヒー、コーヒー、美味いコーヒーを飲ませろ」と呪文のように唱えながら探し回ったものでした。
そんなことも過去のこと。
コーヒーなくてもOKでした。
となると、手入れのメンドーなエスプレッソマシンは来客時のみ使用することに。
大切なお客様に心を込めて一杯の美味しいコーヒーをお出ししたい。
という気持ちは小さな胸に溢れていますが、できれば簡単な方法でお願いしたい。
作り方も手入れも簡単という視点で選んだ結果、カプセルタイプのコーヒーマシンに。
それがこちら。

写真のピントが甘くてすみません。
カプセルをセットしてボタンを押すだけで作れるし、洗う部品も少ない。
が、水を入れるタンクの形状がちょっと変わっていて、そのせいでタンクの中に手を入れて洗えないというオチがありました。
そこで泡スプレータイプの食器洗剤を、タンクの底目がけて噴射し、1分後に水を入れてシャカシャカと振りすすぐ。
この水を流し捨てて、また新たに綺麗な水を入れてシャカシャカ。
これを繰り返している時、ふと以前のより手入れが楽になったのだろうかとの疑問が浮かんできますが、そんな疑問は頭を振って消しましょう。
振りましょう、水タンクも頭も。
ケセラセラ。
アコーディオンを弾くのが趣味の友人がいます。
仮にA子としておきましょう。
趣味がアコーディオン演奏だと聞いた時、誰しもが思うのではないでしょうか。
たくさんある楽器の中で、何故アコーディオンを選んだのかということ。

たとえば競歩をしていると聞いたら、やはりどうしてたくさんあるスポーツの中で競歩を選んだのかという、それを選ぶまでのストーリーを是非とも知りたいと思うのと一緒ですね。
A子によれば高校の音楽の授業で、たまたま割り当てられたのがアコーディオンだったとのこと。
そこでちょろっと習って弾いた程度だったそうです。
ところが就職試験の時、特技の欄になにも書くことがなく焦ったA子。
アコーディオン演奏と書いてしまった。
これは面接官にインパクトを与えたようで。
無事内定を貰い、入社したところ「A子さんにアコーディオン演奏を披露して貰いたいなぁ」と上司から言われてしまった。
「あれは嘘でーす」とは言えない。
追い詰められたA子はアコーディオンをレンタルして猛練習。
新入社員歓迎会の席でアコーディオンを演奏すると、拍手大喝采を得て、ほっと胸を撫で下ろしたそうです。
翌日には歓迎会に出席していなかった他部署の人から「あなたがアコーディオンの?」と言われまくり。
そして名前とはまったく関係ないのに、ニックネームが「アコ」となったそうです。
こうなったら本当に趣味にしてしまおうとA子は考えました。
猛練習していた時、演奏している時、拍手大喝采を得た時、とても楽しかったことに気付いたのだとか。
そしてアコーディオンを購入し、教室を探して習い始めました。
2年経ち教室は卒業。
その後は休日に好きな曲を弾いて楽しむようになったということです。
A子の結婚式の披露宴で、彼女のアコーディオン演奏がありました。
ドレス姿の新婦がアコーディオンを弾く姿に、口あんぐりでしたが、演奏は見事。
場内は大変盛り上がりました。
スタートは嘘でしたが、本当に趣味となり特技としたA子に脱帽です。