文庫「僕とおじさんの朝ごはん」が発売になります。
20日から書店に並ぶ予定です。
小説の中に水島健一という44歳の人物が登場します。
ケータリングの仕事をしている腰痛持ちです。
彼がリハビリをするシーンがあります。
このシーンを書いている時、ふと思い出したのは数年前のこと。
足の小指が一日中痺れるようになりました。
人間ドックでヘルニアだと診断されたばかりでしたので、足の小指の痺れをこのまま放っておいていいものかどうか、悩みました。
ネットで探すと、医者が経営しているリハビリトレーニングジムが近くにあるとわかり、予約をしました。
人間ドックを受けた際に貰ったデータの入ったCD-ROMを持参して、症状を訴えました。
データを見てくると言って、医者は診察室を出て行きました。
どうして診察室では見られないのだろうと思いながら、待つこと10分。
戻って来た医者は「靴のせいじゃないですかね」とコメント。
自宅で仕事をし、ほとんどのものをネットで購入している私は、靴を履いている時間は世間の皆さんと比べて、かなり少ないということを言うべきか迷いました。
取り敢えず「靴のせいで片方の小指だけ一日中痺れますか?」と問うてみる。
すると医者は「足の大きさは左右違いますから」と返球してきました。
この診断結果を信じていいのか、眉間に皺を寄せて考えていると、「運動していったらどうでしょう」と言われました。
私はなにか大事な話をすっぽり聞き逃したのでしょうか?
話が飛躍し過ぎてついていけない。
一日中小指が痺れると訴えている私に対して、靴のせいだと診断したのですから、靴屋を紹介してくるならわかりますが、どうして運動をしていったらどうかという話になるのか。
初回なので用意してある服のレンタル料は無料だと医者が言う。
初回という言葉に引っ掛かる私。
二回目、三回目があるということなのか?
しかもそれは有料らしい。
ぼったくりバーに入ってしまったと気付いた時の客の気持ちが、痛いほどわかる。
拒絶できずにいるうちに気が付けば、担当をします〇〇ですと、スタッフに挨拶されている。
右に捻ろ、腰を上げろ、その状態で我慢しろ・・・Sさ満開の指示が続く。
そうして一時間。
衝撃の痛みの連続に、瞼の裏に星を見た。確かに見た。
帰宅後疲労で全身が重い。
その上あっちこっちが痛い。
そのせいで小指の痺れが気にならない。
こういう解決の仕方は望んでいなかった。
この時の辛い記憶が影響したのでしょうか。
小説の中で水島はリハビリに対して疑心暗鬼。
トレーナーの言うことを素直に聞かない。
悪化させて金を取り続けようとしているのではと疑っています。
水島はそんななか出会った少年、英樹と嫌々ながらリハビリをします。
やがて二人が直面する問題にどんな答えを出すのか・・・。
水島と英樹の物語をどうぞ味わってみてください。
友人がメイクするのを見学していたことがあります。
旅館に泊まった翌朝、寝不足気味でちょっとぼんやり。
部屋のテレビからは出演者たちの元気な声が聞こえている。
朝食を食べるには階下の食堂に行かなくてはいけなくて、身支度を整える私たち。
私のメイクは年々簡素化されていて、色付きの日焼け止めクリームを塗ったら終わり。
が、友人はそうではない。
私は彼女のメイクを一部始終見学することに。
目の下になにかを塗った。
なんだ? コンシーラー的なものか?
それからファンデーションを塗る。
アイシャドー、アイライン、ビューラー、マスカラ、眉、ハイライト、チーク、唇・・・もう順番を覚えていない。
ただ友人の顔がどんどん立体的になっていくのを、建設現場を見学しているような気分で眺める。
どんどん完成していくのです。
このメイク中友人はフツーに私とお喋りをしているし、時々はテレビにツッコミを入れたりするぐらいの余裕まである。
全身全霊でメイクをしている訳じゃないのです。
技を極めていて、集中してなくてもメイクに影響は出ない様子。
匠です。
メイク道具を片付け始めた友人の顔は見慣れたものに。
「終わり?」と私が尋ねると、「うん。なんか、いつもと違うでしょ。今日は簡略版だから」と答えました。
「いつもと同じに見えるよ」と私は言いましたが、友人はそんなことはないと聞く耳を持ちません。
記憶を辿ってみると・・・昔はここまでの時間と手間を掛けていなかったような。
「昔よりメイク時間は長くなってる?」と聞くと、そうだと答えました。
「これから先どうする?」と更に質問すると、「一日がかりになるかも」と言って笑っていました。
先日年上の先輩女性に会った際、メイク時間のことを尋ねてみました。
すると・・・私にもそんな時があったわと懐かしそうな顔をしました。
でもある日、もういいと思ったのだそうです。
シワシワでもシミがあっても、これが今の私なんだから。
そう思う日が突然やって来たそうです。
そして化粧水だけを残して、後はすべて捨ててしまったのだとか。
「今は顔を洗ったら化粧水をつけて終わり」と言って微笑む先輩は、とても美しく輝いていました。
まだそこまでの境地には達していない私も友人も、やがてそう思う日が来るのでしょうか。
その時感じるのは自由な気分でしょうか。
その日が来るのが待ち遠しいような、怖いような・・・。
友人の家での食事会に参加しました。
なにか料理を一品持参するのがルール。
手作りの品を持って行くこともあるのですが、苦労をする割に評判がいい訳でもないので、手まり寿司を買いました。
こういった集まりでは持ち寄る料理がぶつからないよう、事前にすり合わせをするケースが多いのでは。
あなたはお肉系のものを、あなたはデザートを・・・なんて具合に。
が、私たちはそうした段取りに重きをおかない性格の者たちの集まり。
だから事前にそうしたすり合わせはせず、思い付いたものを持ち寄る。
これまでそれで大変なことにはならなかったから。
ところが。
その日は主食系ばかりになってしまいました。
私の手まり寿司の他に、稲荷寿司と太巻きが集合してしまいました。
そして主催者が用意してくれていたのも、デパートで買ったというちらし寿司。
一人だけ大福を持参した友人がいて、こうなると、全員が主食系だった方が面白かったねーなどと笑うしかない。
そして今日は炭水化物祭りだと、急遽食事会にタイトルが付く。
「冷蔵庫になにかないの?」と誰かが言い出して、皆でキッチンへ移動。
が、大したものはない。
「いつもはあるのよ、いつもはあるの」と必死で訴える友人をシカトし、冷凍庫にずらっと並ぶ冷凍食品を皆で眺める。
夫のお弁当用にと冷凍食品を買い溜めていた模様。
そこでその冷凍食品を使って、いつくかのオカズを作ることに。
作るといっても冷凍食品なので、パッケージの裏に書かれている時間、レンジに入れるだけなのですが。
ブロッコリーのサラダと、ハンバーグ、春巻き、ブリの照り焼きが10分もしないで出来上がりました。
冷凍食品って便利。
それから喋って、食べて、飲んで・・・楽しい時間を過ごしました。
「こんなに食べ切れる?」なんて心配していた友人もいましたが、見事に食べ切りました。
今回の教訓。
冷凍食品はたっぷり買い置きしておこう。
サッカー観戦が好きです。
中継放送をしているダ・ゾーンと契約し、パソコンで見ています。
J1~J3の試合をはじめ海外の試合中継もあるので、観戦スケジュールをしっかり立てないといけないぐらいのサッカー三昧になります。
ある土曜日。
午後3時からJ3の試合を観戦。
客席が少ないわ、応援しているお客さんも少ないわの競技場での試合を観ます。
そうした競技場のせいでしょうか、運動会の応援をしているような気分が混じる。
そしてJ3の試合の楽しみといえば、伸びしろを感じさせる芽を見つけること。
「この選手、結構いいんじゃないの?」と思ったら名前を覚えておいて、試合の度に彼の成長具合を確かめます。
「うん。このまま経験を積んでいけば、いい選手になるな」などと勝手にコーチ目線で応援します。
J3は大抵アナウンサーが1人で中継。
このアナウンサーが合間合間に色々な情報を教えてくれます。
〇〇選手は10代の頃には日本代表に選ばれるだろうと言われていましたが、大きな怪我をして・・・などといった物語を語る。
聞いた途端、30代となったその選手を応援しちゃいます。
夕方からはJ2の試合を。
名門と呼ばれたチームがJ2にいることに驚き、栄枯盛衰を味わいながらの応援。
そして午後7時からはJ1の試合観戦。
私はFC東京を応援しております。
才能がある選手がこれだけいるのに、どうしてこの順位なのだ? と歯ぎしりをしながらの観戦。
ギャーギャーと騒いだり、怒ったりしながらの応援です。
試合観戦はこれで終わらない。
午後10時からは海外のサッカー中継が始まる。
海外で活躍する日本人選手が増えたため、どの試合中継を観るかとても悩む。
なんとか決めて試合観戦。
カメラのアングルが違うためか、それとも選手の技量の違いなのか、ピッチサイズが日本のより狭く思える。
そして「ねぇ、ボールとシューズに磁石入ってるよね?」と聞きたくなるほどのボールコントロールを堪能。
仰天技の連続にヒーと悲鳴を上げながらの観戦。
こうしてサッカー漬けの一日が終わります。
えっ? 仕事はいつしてるのか?
聞かないで。