「男尊女卑」を辞書で引くと、「男性を尊び、女性を卑しいとする態度・思想」とあります。
この考え方では誰も得をしないと私は思っています。
すべての患者は優秀な医者を望んでいます。
優秀であれば、医者は男性でも女性でもどっちでも良いと思っている人が、ほとんどなのではないでしょうか。
しかしながらどこかの誰かは、男性の医者の方がいいと考えたようで、大学入試試験で得点操作をしたらしい。
誰のためなのでしょう。
そんなこと患者は望んでいないのに。
子どもの頃住んでいた街に、いつも混んでいる皮膚科がありました。
女医さんでした。
腕がいいと評判で、近所の人たちはなにかあるとそこに行く。
ところが診察時間は午後5時から午後7時の2時間のみ。
いいのか、それで? と子ども心にも思いました。
予約はできないので、その2時間の間に行くしかない。
待つのは覚悟のうえ。
それでもそこに行く。
腕がいいから。
僅か2時間の診察時間でしたが繁盛しているようでした。
その向かいに内科クリニックがありました。
こちら、皮膚科の女医さんの夫が開いているクリニック。
残念ながら藪医者と思われていました。
診察時間は朝から夜まで。
長く開けているのに、閑古鳥が巣を作っていました。
「なに、具合が悪い? 病院に行けよ」「どこか知ってる?」「八百屋の向かいの〇先生のところか、国道沿いの△先生か、どっちかだろうな」「確か駅前に病院あったよね?」「あそこは止めとけ。悪いことは言わないから。ヤブなんだ。奥さんの方は皮膚科で腕がいいんだがね」
なんて会話があったのかなかったのかはわかりませんが、そこの内科の腕が悪いことは広く知れ渡っていました。
このように患者たちは口コミを頼りにすることがあります。
その時医者が男か女かといった点については、問題にされない。
腕がいいか、説明が丁寧か、親身かといった点が、病院を選ぶ際のポイントになっていることが多いのではないでしょうか。
2018年になってもまだ「性」によって不利益を被る人がいることが、とても悲しいです。
ヘアブラシの歯の根元に埃が溜まる。
何故か溜まる。
他の人はどうだか知りませんが私は溜まる。
これを取るには根気がいる。
水洗いしたって落ちないから。
爪楊枝を歯の根元にあて引っかけ上げるようにして、一本ずつ埃を取っていく。
ある日もう嫌だと思う。
でもなんていう単語で検索したら、埃が堪らないヘアブラシと出合えるのかわからない。
どうしたものかと思いながら数日が過ぎる。
別の買い物をしていた際、ページの下部に出て来た「あなたにお勧めの品」という画像に目が留まる。
それは櫛の画像。
画像の下には静電気を防止する櫛だとの文字が。
思わずその画像をクリックしてみると・・・表面の塗装加工によって静電気が起きにくいと書いてある。
そもそもヘアブラシの歯の根元に埃が溜まるのは、静電気のせいだったのでは? と気付く。
更に説明書きを読んでいくと「表面がすべすべ」→「摩擦を生みにくい」→「髪を傷めない」といったロジックのようです。
歯の根元に溜まる埃に関しては全く触れていないのが、少し心配ではありますが、静電気が起きにくいのであれば、埃も溜まり難いはずなので、トライしてみる価値はあると判断。
購入したのがこちらです。
薄くてピカピカと光っているせいなのか、高級感はなく「場末にある、マダムが趣味でやっている店に何年も置かれている品」といった印象を受ける。
ところがところが。
埃が全然歯の根元に溜まらない。
これは私が望んでいた品だったと確信する。
埃が堪らないということは、静電気が抑えられているということ。
だから多分髪を傷めていないのでしょう。
もう私は爪楊枝で埃を掻き出す作業から解放されたのです。
有り難う、櫛。
人生の中でヘアブラシの歯の根元の埃を掻き出す時間ほど、無駄な時間はないと思っていたので、すっきりした気分でございます。
大学生の頃の話。
担任の先生からハガキが届きました。
ところが読めない。
草書の上達筆過ぎて、なんて書いてあるのかわからない。
取り敢えず、なんらかの返事を必要としているのかを知りたい。
親に見せれば一発で解決するかもしれないのですが、よくない内容だった場合、困った事態になる可能性も。
そこでバイト先で一番年上だと思われる人に見て貰うことに。
眼鏡を掛けて長い時間ハガキを見ているから、どんだけ小難しい内容が書かれているのかと思いながら待っていると・・・一つの文字を指差し「これは『の』じゃないかな」と言いました。
くるんと円を描くそれは、私も「の」じゃないかと思ってましたから。
結局その人は「の」を指摘しただけ。
他にそうした文字を読めそうな大人を探そうにも、思い当たらない。
私とどっこいどっこいの学力と思われる、大学の友人らに見せてみましたが、予想通り皆読めない。
困ったなと思っていた時友人の1人が言いました。
「あそこら辺の人たちなら読めそうじゃない?」と。
彼女が指差したのは、授業の時いつも最前列に座っている真面目な学生たち。
その真摯に勉学に励む姿は神々しいぐらいで、私なんぞは、近くを通る時には息を止めてしまうぐらい。
確かにあの人たちなら読めるかもしれない。
そう思った私は意を決して話し掛け、依頼してみました。
するとその中の一人がさらっと読んでくれます。
すっげぇ。
それは先生からのお礼の言葉が書かれたハガキだったと判明。
私はすっかり忘れていたのですが、その先生とたまたま帰りの電車で一緒になり、少し話をしました。
その時に先生から質問が出たのですが、私には情報がなく答えられませんでした。
しかしスルーはマズいだろうと思い、後日調べた結果を先生に伝えたという一件があったのでした。
それについて先生が、わざわざ調べてくれて有り難うとハガキを送ってきたという顛末。
なーんだ、そんなことか。
とほっとして、読んでくれたクラスメイトにお礼を言うと、物凄く不思議そうな顔で「先生と友達なの?」と聞いてきました。
「そんなわけないじゃん。たまたま電車で一緒になって、少し話をしただけだよ」と説明するも、「なんか凄いね」と言われました。
なにが凄いのか全然わかりませんでしたが、それがきっかけで、それまで全く接点のなかった勉学に勤しむ彼女たちと、挨拶を交わす仲に。
そうした真面目な学生たちと挨拶を交わすようになった私は、たったそれだけで、不真面目な友人たちから高評価を受けるようになりました。
学生の頃の友人関係を今になって振り返ると、少し滑稽さがあったなと思う一方で、とても懐かしい気持ちになります。
小説を書く時、登場人物たちの友人関係を描くシーンはとても重要です。
どんな友人がいるのか、その人とどういう関係性なのかを描くことによって、その人物の人間性がはっきりしますし、リアルさが増すと思っています。
新刊「僕は金(きん)になる」の中でも主人公、守の友人関係を描くシーンがあります。
嘘を吐くのが上手な友人に憧れを覚える守。
それは守自身が嘘を吐くのがとても下手だということでもあります。
守を描くのにとても重要なシーンだったと思っています。
ネットショップで歯ブラシを買おうと思ったら、いつも使用していたのが販売終了になっていました。
検索すると山のように歯ブラシが出てくる。
とても決められないので、使用している歯磨き粉と同じブランドの歯ブラシにすることに。
で、この時にいつものようによく考えずに購入。
届いた歯ブラシに歯磨き粉を付けて口に。
パッケージに超コンパクトと謳っていただけあって、とても小さくて薄くて、奥までするっと届く。
しかし。
あたりが硬い。
そういえばサイトには同じ歯ブラシで「普通」と「柔らかめ」という2種類があったことを思い出す。
なにも考えず「普通」でいいだろうと、こちらを選択してしまいました。
「普通」がこんなに硬いとは思わなかった。
これまで使っていたのは「柔らかめ」だったんですね、気付いていませんでしたが。
更に問題なのは毛先が歯間にまったく入らないこと。
磨き終わっても歯間にまだなにか残っている感が甚だしい。
歯ブラシにもいろんなタイプのものがあるのだと知る2018年秋。
そこで今度は「歯ブラシ」「柔らか」「コンパクト」「先細」で検索。
それでも30個以上出てきてしまいましたが、今度は慎重に商品の横に書いてある文章を読み、1つを選択。
3本セットや6本セットの方がお得なのですが、使ってみたら「これが柔らかいっていうんなら、普通ってのは石かよ」と暴れる自分の姿がちらちら浮かぶので、1本のみ購入。
届いた品はさほど「コンパクト」には見えず、口に入れてみても奥まで届き易いといった感覚なし。
でもあたりは柔らかいし歯間に毛先が入るので、磨き終わった後にはすっきりする。
ま、この辺で手を打っておくかといった品。
多分次に買う時もこれを選ぶと思います。
そして手元に残った6本の硬い歯ブラシをどうするかとの難題が。
お得感に心を惹かれて6本セットで買っていたのです。
がしっと摑んだ歯ブラシの束をゴミ箱の上にまで運んだのですが、勿体ないとの思いが胸に溢れる。
服の場合「今は着られないけれど、そのうち痩せて、着られるようになるから」といった理由で、捨てずに放置というパターンがあります。
が、歯ブラシの場合「今はあたりが硬いけれど、そのうち歯が強くなって、硬いのが好きになるから」といったことにはならない気がする。
そんな時閃きました。
そうだ。掃除する時に使えばいいんだと。
具体的にどこを掃除する時に使うのかといったビジョンは描けないけれど、雑誌の掃除特集でマイスターが歯ブラシを使っていた気がするもの。
と、放置する理由を思い付きにやり。
掃除用品を入れている引き出しに歯ブラシを仕舞いました。
きっといつか、この歯ブラシを使って掃除をする日が来る。
多分来る。