調理実習

  • 2021年03月01日

中学・高校の調理実習がコロナの影響で、すっかり様変わりしているそうです。
私語は禁止。
皆で分担していくつかのメニューを作るのではなく、生徒一人ひとりが、1つのメニューに挑戦するスタイルになっているんだとか。
複数で使い回さないようにするために、調理器具は生徒ごとに用意されているらしい。
この話を聞いて、なんだか可哀想だと思いました。

「なにそれー」「洗い物はジャンケンだよ」「油、跳ねるの怖いしー」「ねぇ、切るの、遅くない?」・・・などとわいわい騒ぎながらするのが、調理実習の楽しいところだったのに。
そうしたことが許されず、黙々と一人で決められた料理を作るなんて。
楽しいどころか、寂しい感じさえしてしまいます。

あれは確か高校生の頃。
調理実習をするため調理室に移動しました。
教壇に立った家庭科の先生が話し始めます。
「今日はビーフシチューを作る予定でしたが、値段が上がっていて、予算をオーバーしてしまうため豚肉を使います」
そう先生が言った途端、教室の空気が変わりました。
ざわめきが起こり、それはどんどん大きくなっていきます。
「それって詐欺じゃん」「先週の授業で言っておくべきじゃない?」「酷いよね」
なんて言葉が生徒たちから発せられます。

それまで自分が通う学校を、のどかな女子高だと思っていたのですが、その時は明らかに様子が違っていました。
暴動が起こるんじゃないのか?
本気でそんなことを考えるほど、生徒たちの怒りが熱をもっていく。

こうした異様な空気を察したベテラン教師は「皆さんがそんなにビーフシチューを楽しみにしていたとは思わなかったわ」と呟いた後で、「ごめんなさいね」と謝っていました。

私もそこまで皆が牛肉にこだわるのが意外でした。
我が家では安い牛肉しか食べていなかったせいか、豚肉の方が柔らかくて、美味しいぐらいに思っていたので、暴動が起こりそうになるほどの、重大な変更事だとは受け止めていませんでした。

結局暴動は起こらず、生徒たちはポークシチューを皆で作って食べました。
それからは調理実習の前に配られるプリントの材料欄に「予定」という文字が、加わるようになっていましたっけ。
先生も暴動は起こさせたくはなかったのでしょう。

この一件は例外ですが、調理実習は概ね楽しい授業でした。
従来の皆でワイワイ言いながらの調理実習が再開できる日が、一刻も早くきますように。

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