テーマ音楽

  • 2022年12月01日

このブログでも何度か書いていますが、小説を書く前にはまずテーマ音楽を決めます。
アルバムの場合が多いです。
その1つのアルバムを毎日、執筆の間中リピートして聞き続けます。
半年もの間、毎日ずっと同じアルバムを聞き続けるのは、誰もが出来ることではないように思うのですが、いかがでしょう。
私にとっては、この同じアルバムを聞き続けることが大事。
なにか心配事を抱えていたり、前日の自分の発言を後悔してイジイジしていたり・・・日によって、自分の気持ちは色々。
そんな色々な気持ちを引き摺って作品を書いたら、登場人物たちの性格も不安定になってしまう。
それは避けたい。
そのために音楽の力を借りています。

毎日同じアルバムを聞いているうちに、音楽と作品世界が渾然一体となっていきます。
やがてその音楽を聞けば、すっと小説の世界に入っていけるようになります。

新作「息をつめて」にも、テーマ音楽がありました。
JUJUさんの「俺のリクエスト」です。
「奏」「LA・LA・LA LOVE SONG」「even if」など、男性歌手が歌ってきた不朽の名曲を、JUJUさんがカバーしているアルバムです。

このアルバムを毎日聞いていて思ったのは、名曲は古びないということ。
そして心に刺さる。
小説も同じですね。
100年前に書かれた小説が、心に刺さることがありますから。
書かれた当時とは時代も、文化も、価値観も、境遇も、いろんなものが違っているはずなのに、今読んでもちゃんと心を揺さぶられる。
それが名作なのでしょう。
新作「息をつめて」が、そんな息の長い小説であったらいいのですが。

音楽といえば、友人A子は大のカラオケ好き。
コロナになってから行けなくなり、それがとても寂しいと言っています。
私はカラオケがどうも苦手です。
誘われても断るようにしているのですが、A子の誕生会が当人のたっての希望で、カラオケで開かれたことがありました。
コロナ前のことです。
渋々参加しましたが、私にとっては苦行以外の何物でもない。
延々と下手な歌を聞かされて、しかもじっとしていることは許されず、手拍子やタンバリンを叩くことを強要される。
下手な歌をニコニコして聞き流せるほど、人間が出来ていない私には耐え難い。
そのうち頭痛がしてきました。
トイレと称して部屋を出ました。
新鮮な空気を吸おうと店の外に出ると、20代ぐらいの男性が一人ぼんやりしていました。
目が合うと会釈をしてくれます。
私もお辞儀を返して、ぼんやり前の通りを歩く人たちを眺めます。
彼もカラオケが苦手で、息抜きをするために外に出たのでしょうか。
隣にいる人が同類かもしれないとの思いのせいか、そこが居心地のいい場所になっていました。
スマホを弄るでもなく、ただぼんやりと前を行く人たちを眺める彼と私。
シュールな一場面となりました。

書店

  • 2022年11月28日

小説「息をつめて」の入手はお済みでしょうか?
もしお近くの書店で見つけられなければ、書店員さんに尋ねてみてくださいね。
取り寄せなどの対応をしてくれる可能性がありますから。

子どもの頃に住んでいた街には、駅前に書店がありました。
小さな書店で、取り寄せが前提の商売スタイルでした。

書店には入り口と、奥の2ヵ所にレジカウンターがありました。
皆、店にある本を買う時は、入り口近くのレジカウンターに出し、取り寄せたい時には奥のレジカウンターにいるスタッフに言うという、暗黙のルールがありました。

欲しい本があると、小さな紙にタイトルと著書名を書いて書店に。
すすすっと奥へ進み、レジカウンターにいるスタッフに「これ、お願いします」と言って紙を渡します。
台帳のようなところに電話番号を書きます。
本が店に届くと電話をくれます。
ワクワクしながら再び書店に。
真っ直ぐ奥のレジカウンターに行き、名乗ります。
するとスタッフがカウンターの後ろの戸を開きます。
そこは畳敷きの部屋で、大量の本が積み重なっていました。
それだけたくさんの人が本を取り寄せていたのでしょう。
お金を出そうと財布を開けると、書店員さんが言います。
時間が掛かっちゃってごめんねと。
子どもの私は「うん」と答えます。
「それ、面白かったら、同じ作者ので別のシリーズがあるから、そっちも読んでみるといいよ。ここには置いてないから、また取り寄せだけど」などと書店員さんから言われます。
今になると、しっかり営業されてたなぁなどとも思いますが、地元密着の有り難い書店でした。

皆さんのお住まいの近くには、どんなタイプの書店があるのでしょうか。
大型書店? 地元密着型?
それとも書店がないエリアでしょうか。
ネットで本を取り寄せる、或いは電子書籍で読むなどという人も増えているようです。
どんな方法でも構わないので、本との接点を持ち続けて欲しいと願っています。
小説を読むというのは、様々な価値観をもつ登場人物たちの生き様に心を添わせること。
これを繰り返すうちに、物事を深く見るようになったり、相手の気持ちを想像する力がついたりする。
それは結局、自分自身の人生を豊かにすることに繋がっている。
そんな気がしています。

サッカー観戦で忙しい時期ではありましょうが、小説もぜひ。

「息をつめて」本日発売開始です

  • 2022年11月24日

本日から「息をつめて」が発売になります。
こちらが装幀です。

柔らかさがあるのに不穏さもあり、意味深な感じ。
素敵な装幀を作って頂きました。

新刊の発売日はどんな風に過ごすのか? と聞かれることがあります。
こういう人は大抵、発売を祝って、ワインでも飲みながら関係者と豪華な食事・・・なんて妄想をしている。
映画やドラマで見たのか、どこかで読んだりしたのでしょうか。
発売日をこのように過ごす作家もいるのかもしれませんが、私は違う。

まずコロナ過なので、関係者と食事ということにはならない。
第8波が落ち着いたらにしましょうという話になっています。
それじゃなにをしているのかというと・・・ここ最近はWEBがらみで慌てている間に、1日が終わるという状態に。

発売日に合わせてHPの更新などのWEB関連作業を、業者さんに依頼しています。
これが「はい、オッケー」とすんなりいかない。
様々な予想外のことが起こり、パニック状態に陥った私は、作業担当者に質問のメールをしまくる。
前作「残された人が編む物語」の時には、発売日に作業担当者に、7回もの質問メールを送るという新記録を樹立。
間違いなく、作業担当者から私は嫌われていることでしょう。
このように発売日は、WEBがらみでオタオタして過ごす1日となっています。

これは私にWEBの知識がないから。
発売日をバタバタで過ごす度に、勉強しなきゃと反省。
そしてオンライン講義の受講を始めたりする。
が、なかなかこの勉強の時間を確保するのが難しくて、学ぶ速度はかなり遅い。
ノロノロと進む。
IT界の進化のスピードは音速レベル。
追いつきゃしない。
だから毎度、発売日は慌てる日となるのです。

そうはいってもやはり発売日は嬉しい。
小説を発表出来る機会を頂けたことに、感謝の気持ちでいっぱいです。
同時に怖い気持ちも。
今回は特にチャレンジした小説なので、読者がどんな風に感じるのだろうかと、ドキドキしています。
どうぞお買い求めください。

新刊発売まで3日

  • 2022年11月21日

小説の新刊発売まであと3日となりました。
タイトルは「息をつめて」です。
発売日は11月24日ですが、地域によって入手出来る日は前後します。
いつ入手出来るかはっきりと知りたいという方は、お近くの書店の店員さんに確認してみてください。
6月に発売された「残された人が編む物語」を未読の方は、併せてのお買い求めもご検討くださいね。

ネタバレに注意をしながら、内容についてちらっとお話をすると・・・主人公の麻里は仕事を転々とします。
これには訳がありますが、ここでは言えない。
街で求人募集の張り紙を見つけると、出鱈目の履歴書を書いて応募します。
採用されると麻里は真面目に仕事をします。
だからどこの職場でも、彼女の仕事ぶりは評価されます。
同僚がサボっていても、麻里は自分の仕事を黙々とこなし、目立たないように注意して生きています。
真面目に仕事をして評価もされる彼女が、仕事を転々とするには理由があるのですが、それはここでは書けないので、是非本を読んでください。

と、細心の注意を払って、どこまで語り、どこからは語らないといった線引きをしていても、どこかの誰かが粗筋を書いて、ネットやSNSなどにアップしてしまうのでしょう。
「書かないで」と言うことは出来ないので、「せめて書く時はネタバレしないようにして」とお願いしたい。
読み進める中で驚いたり、登場人物に心を添わせたりしていくのが、読書の楽しみなので、それを未読の人から奪わないでください・・・と思っています。

仕事を転々といえば、友人A子はこれまでいくつもの仕事をしてきました。
本人もその数を覚えてないほど、たくさんの仕事を経験してきた。
そんなA子が、また応募しようと履歴書を買ったという。
が、職歴の欄が小さ過ぎて、どう端折ったらいいか途方に暮れたそうです。
職歴だけ別紙参照として、リストを付けるべきか。
でもそんな人は雇って貰えないような気がするので、既製品の履歴書になんとか収めたいが、到底収まらない。
散々迷った挙句、(中略)として、初めての仕事と、最近の仕事だけを書いたとか。
その(中略)の中にこそ、A子の人生が詰まっているように感じるので、私が面接官なら、あれこれ聞きたくなるところですが、実際の面接官は70代ぐらいの男性だったそうで、「色々ありますよねぇ」のひと言でスルーしてくれたそうです。
お・と・な。

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