病院の待合室で

  • 2023年05月15日

先日のこと。
病院の待合室で診察の番が来るのを待っていました。
待合室には5、6人の患者が。
その中にベビーカーに乗った2歳ぐらいの女の子と、その母親らしき人がいました。

女の子はベビーカーから降りたいようで、セーフティベルトを外そうと試み出します。
が、子どもが簡単に外せるわけもない。
外したいのに、外せないため、女の子は苛つき「あー」と大きな声を上げ始めます。

子どもの声は大きい。
どうしてあんなに小さな身体から、そんなに大きな声を出せるのだろうと不思議になりますが、親に危険を訴えたりしなくちゃいけないので、動物の子どもは大抵、大きな声を上げられるようになっていると考えると腑に落ちます。

で、その女の子の声もとても大きい。
私が住むマンションの近くには保育園があり、子どもたちの大声に免疫が出来ているので平気ですが、一般の方にとっては、狭い待合室で響き渡るその声を煩いと感じるかも。

すると母親はバッグからスマホを取り出し、女の子に渡しました。
女の子は声を上げるのをピタッと止めて、スマホでゲームを開始。
おお。
今はそういう時代なんですか?
子どもを大人しくさせるために、スマホでゲームをさせるのが、スタンダードな対処方法なのでしょうか。
まだ2歳ぐらいなのに。

女の子は慣れた様子でゲームをします。
そして待合室には静寂が訪れます。

しばらくするとまた女の子が、大きな声を上げ始めました。
「あー」とか「うー」とかなので私には理解不能なのですが、母親は理解したようで、ゲームのコツを教え出します。
「こうやって、こうやったらいいのよ」と母親がアドバイスをすると、女の子は理解したようでゲームを再開。
再び訪れる静寂。

結局、母親が受診して会計を終えて病院を出るまで、女の子はゲームをし続け、大人しくしていました。

数年前、別の病院の待合室で見掛けたのは5、6歳の男の子と、その母親らしき人。
男の子は自ら本棚に進むと、病院が用意していた絵本の中から1冊を抜き取り母親の元へ。
そして母親の隣に着席。
母親が絵本を読み始めると、男の子はすぐに絵本の世界に没入。
熱心な様子で絵本を覗き込んでいました。

しばらくして看護師が男の子を呼びに来ました。
でも絵本はまだ途中。
母親は「診察が終わったら、この続きを読んであげる」と言ったのですが、男の子はとても哀しそうな顔をしました。
その哀しそうな顔を見た看護師が提案しました。
「次の患者さんを先にしようか。そうしたら最後まで読んで貰えるでしょ」と。
男の子はぱっと顔を輝かせて「うん」と言いました。

このやり取りをみていた私は、その絵本の力と、本を最後まで読んで貰いたい男の子の気持ちを理解した、看護師さんの機転に感動。
子どもを飽きさせず夢中にさせるものが、絵本であったことを喜ばしいと感じた私は、古い人間なんでしょうかね。

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