どんな職場にも

  • 2024年10月31日

どんな職場にも嫌なヤツはいる。
そう確信しました。

新刊「地獄の底で見たものは」を読んだ知り合いらが、感想をメールで送ってくれます。
感想は人それぞれ。
当たり前です。
なにを感じるのかは人それぞれですからね。

とはいうものの、感想の中に共通するコメントがあることも。
この「地獄の底で見たものは」を読んだ知り合いらのメールには、結構な頻度で「うちの職場にも内田がいる」というコメントが書いてありました。

内田というのは、登場人物の一人、足立英子の上司となる人物。
こいつは社長に対してのみ誠実であろうとするタイプ。
ゴマすりだけで出世してきた男。
どうやら、こういう人は多数の職場に生息しているようです。

私が会社員になったばかりの頃は、こういう人物を見ると物珍しさに興味を惹かれました。
フリーランスのライターになって、こうした人の生態を見る機会もなくなるだろうと思っていたのですが、そうはいかないと知りました。

取材現場にはライターとカメラマンの2人で行きます。
互いにフリーランス同士。
カメラマンの車で、一日に何件も取材先を回ります。
この移動中の車内で、編集者の悪口を並べ立てるカメラマンが多かった。

「編集者の仕事の段取りが悪いのは、頭が悪いからだ」「こっちのギャラは信じられないほど安いのに、エアコンの効いたオフィスで、のんべんだらりとしているあっちの年収は〇円って、世の中おかしい」などなど。

ところが、たまーに編集者が現場にやって来ることが。
そんな時にカメラマンは「お疲れ様です」と挨拶をし、「〇さんに現場に来て貰えると、仕事がスムーズに進んで助かります。さすがですね」などと、しれっと言う。

お前は多重人格者か、と言いたくなるほどの態度の急変。
普段は面倒臭そうに写真を撮って、さっさと終わりにする癖に、そういう時は「チェックお願いします」などと編集者に言い、意見を出されると「なるほど」などと真剣な表情を浮かべて、仕事熱心なキャラを演じる。

絶対に友達になれない嫌なヤツではありますが、こういう人が仕事を貰えて、生存競争が激しいフリーランス界で、生き残っていけるんだろうなと思ったものでした。

スポーツ選手のセカンドステージ

  • 2024年10月28日

全国でスーパーを経営する企業が、引退したスポーツ選手を採用するという。
元プロだけでなく、アマチュア選手だった人もOKらしい。
営業職での採用を考えているそうで、スポーツの体験会やイベントの企画なども、担当して貰うとのこと。

素晴らしい。
スポーツ選手がセカンドステージを見つけるのは、なかなか難しいと聞いています。
子どもの頃から1つのスポーツに、全力で取り組んできたであろう選手たち。
引退後にすぐに次の目標をもてる人は少ないはず。
そんな彼らに活躍できる場所を提供する企業が登場したのは、とてもいいことですね。

新刊「地獄の底で見たものは」には、元競泳選手が登場します。
大野邦子はかつて、オリンピックに出場したことがあります。
残念ながらメダルには手が届かず4位でした。
もしメダルを取っていたら・・・その後の人生の選択肢は多く、また華やかなものだったかも。
でも4位だった。
邦子のセカンドステージに選択肢はなかった。
長年練習していたスイミングスクールのコーチになります。
厳しく指導していたけれど、生徒たちからは慕われていたので、我流のコーチングに疑問をもつことなく過ごしてきました。

そんなある日、自分の教え方に疑問をもつように。
果たして邦子はどうするのか。
邦子の奮闘は、本書をお買い求めの上でお楽しみください。

私が小学生の頃。
親が私を無理矢理卓球教室に放り込みました。
私は渋々行っているので、熱心な生徒じゃありませんでした。

そんな私にコーチは不満だったのでしょう。
よく怒られました。
そしてしばしば罰として、階段を一往復してこいと命じられました。

そこは6階。
6階分の階段を下りて、上れなんて・・・。
当時の私は超肥満児。
数段上っただけで息が荒くなるぐらいなのに、無理。

で、私はどうしたかというと、練習部屋を出て階段をひとまず下りる。
で、踊り場で一休み。
コーチのいる場所からは見えないので。
そして大体これぐらいかなといったところで、階段を何段か上る。
で、まるで1階まで下りて、上ってきましたといった体で部屋に戻る。
荒い息をしているので、コーチにはバレなかった。

そんな態度で半年が過ぎた頃、大会に出場することに。
教室の生徒全員が、コーチによって勝手にエントリーされていたのです。
で、一回戦、二回戦と、私は何故か勝ち進んでいきます。
明らかに私より上手な相手が、自滅していったからなのですが。
三回戦、四回戦と勝ち、教室仲間たちがいる観客席に戻ると、コーチから「どうだった?」と聞かれました。
「勝ちました」と告げると・・・コーチは複雑な顔をしました。
才能もなく、また努力もしない超肥満児の小学生が、運だけで勝ち進んでいることに、どう対応していいのか困っているといった顔でした。

教室仲間たちからは「凄いじゃん」「次も頑張れよ」などと声を掛けられましたが、コーチからは一言もなかったことを覚えています。
今なら分かります。
掛ける言葉が見つからなかったんですよね。
コーチ稼業も大変です。

オペレーターに

  • 2024年10月24日

分からないことがあった時、あなたはどうしますか?
私は電話をして、オペレーターに尋ねることが多いです。

家電品の場合は一応取扱説明書を読んではみますが、それで問題が解決するのは稀。
なので、カスタマーセンターに電話をすることに。

最近は日本語が母国語ではない人が、応対するところが増えています。
こんな時には、私は必至で困っていることや疑問点を伝えようと言葉を尽くします。
なるべく平易な単語を使うようにしてみたり、ゆっくり目で喋ってみたり。
オペレーターも必死な感じで、それがこちらに伝わってきます。

「アナタのお困りごとを、ワタシは理解したと思いマス。今、担当ドライバーに連絡をするから、チョット待ってください。大丈夫?」などと言う。
君も大丈夫か? と心配になってくる。

で、問題が解決するとお互いにとても喜ぶ。
「良かった。有り難う」と私が言うと、オペレーターも「アナタのお役に立てて、ワタシも良かったと思いマス」と返してくる。
2人で難局を切り抜けたような感じに。
そばにいたらハイタッチをしているはず。

新刊「地獄の底で見たものは」の中に、コールセンターで働き始める人物が登場します。
53歳の伊藤由美です。
働くことにも、お客さんとの会話にも、キーボード入力にも四苦八苦。
出るのは愚痴ばかり。
そんな状況下でも励ましてくれる人、手伝ってくれる人がいて、由美は変わっていきます。
由美の気付きと変化を味わって頂きたい小説です。

先日、パソコンのディスプレイを購入。
海外メーカーの品でした。
取扱説明書は同封されていなかったので、公式サイトからダウンロード。
目次のページを開いたら・・・「セットアップ」「仕様」といった項目の中に「だいたい」という文字が。
思わず「だいたいってなに?」と大きな声でツッコミ。
恐らく機械翻訳しただけで、日本語が分かる人のチェックを受けていないのでしょう。
様々なところで、想像力を試される時代になりましたね。

嫌いな言葉

  • 2024年10月21日

嫌いな言葉があります。
その言葉を聞いた時には、舌打ちしたくなります。
その言葉が目に飛び込んでくると、「けっ」と声にならない音を吐き出したくなります。

その言葉とは・・・「ボーナス」。

フリーランスになっておよそ30年。
そんな私にとって「ボーナス」は忌む言葉なのです。

ボーナスが出る時期になると、この言葉が巷に溢れます。
この言葉に接する度に羨ましくなり、その反動でちょっとムカつきます。
自分でこの道を選んだ癖に。
勝手なもんです。

ボーナスは景気のいい企業で働く正社員が貰えるもの。
フリーランスにはそういうものは頂けません。
そして不安定。

フリーライター時代のこと。
原稿を書き上げて納品し、あとは入金を待つだけ。
そんな時に編集者から連絡が。
「本の発売が延期になったので、ギャラの振込も延期になる」と、しれっと言う。
「いつになりますか?」と聞くと、「半年後」との回答。
膝からくずおれそうになりました。

私はなにも悪くない。
決められた期日通りに原稿を渡したのだから。
それなのに、あずかり知らぬところで決まったことによって、支払いを半年も後にされてしまう。
フリーランスとは、なんて不安定な立場なのでしょう。

新刊「地獄の底で見たものは」には、フリーランスとして頑張る女性が登場します。
田尻綾子は52歳。
ラジオのパーソナリティをしています。
長年帯番組を担当していたため、フリーランスでありながらも生活は安定していました。

が、ある日突然、番組からの卒業を言い渡されてしまいます。
人生の一部となっていた番組を失い、また収入も断たれてしまいます。
フリーランス故の悲劇が綾子を襲います。

舞台の脚本を書く仕事をしている夫もフリーランスのため、収入が安定していない。
留学中の2人の子どもたちの費用を、払い続けられるのかが分からなくなります。
こんなどん底から綾子はどう這い上がっていくのか・・・。
ぜひ本書で確認してみてください。

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