アイデア
- 2025年04月10日
どういったところからアイデアが生まれるのか。
と、よく聞かれます。
何回聞かれたか覚えていないほど、しょっちゅう聞かれます。
その度に答えを必死で探しますが、なにも浮かばない。
だから「さぁ」と首を捻って終わりにしようとします。
これで許してくれる相手ならいいのですが、それでもなお回答を迫ってくるインタビュアーだったりした場合は、仕方がないので「捻り出す?」と語尾を上げて答えます。
語尾が上がるのは、それが正解かどうか自分でもよく分かっていないから。
更に「捻り出てくるものですか?」と聞かれた時には、「出るまで考え続けるんです」と言うようにしています。
常にアイデアがたくさんあって、すぐに取り出せる・・・といった天才も世の中にはいらっしゃるでしょうが、私はそうじゃない。
だから考えて、考えて、考え続けます。
「フツーの人は考え続けてもなにも浮かばないんですけど」と反論されることもあります。
そうした時には「浮かぶまで粘る」と答えます。
私は浮かぶ前に諦めないようにしています。
考えて、考えてもなにも浮かばなくても、明日浮かぶかもしれないので、明日の自分に期待して就寝。
そして翌日、また考えて考え続ける。
なにも浮かばなくても、明日浮かぶかもしれないから全然落ち込まない。
作家デビューして22年。
この間、ずっと粘り続けています。
新刊小説「腕が鳴る」には、アイデアが浮かばず苦悩する脚本家が登場します。
浅田千栄は劇団を主宰し、脚本を担当しています。
公演日から逆算すると、もう脚本は完成していないとマズいのに一向に筆が進まない。
アイデアが浮かばないのです。
千栄は部屋を片付けて貰った整理収納アドバイザーの真穂に、アイデアが浮かばないことを愚痴ります。
すると真穂から宝塚観劇に誘われたり、アイデアを披露されたりするように。
真穂のアドバイスに納得いかない千栄は、彼女の話を真剣には取り合いません。
そんな千栄がふとしたきっかけから、徐々に変化していきます。
千栄がなにに気付き、どう変わっていくのか・・・その姿を本書でお楽しみください。