「残された人が編む物語」の文庫版が発売になります
- 2025年06月05日
6月12日に小説「残された人が編む物語」の文庫版が発売になります。
文庫版はお手頃価格になっていますので、この機会に是非お買い求めください。
単行本として発売したのは約3年前。
書評欄などでたくさん取り上げて頂きました。
そうしたものを拝読すると、読み方というのは千差万別なのだと改めて思います。
どう読んだのか、どう感じたのかといったことが、人それぞれで、そうした感想は私にとって驚くことばかり。
小説を完成させるまでに、何十回と推敲を重ねます。
自分で作った世界ですし、何十回と読んでいるのですから、次に誰がなにを言うか、どう行動するのかは分かっている。
なのに、同じ個所で毎回泣いてしまう・・・ということがあります。
「残された人が編む物語」にも、そうした箇所が2つあります。
自分で書いておいてなんで毎度泣くねんと、己にツッコミをするのですが、涙は止まらない。
で、こうした箇所が書評で取り上げられるかといえば、そうではない。
私が泣きながら読んだシーンではなく、えっ? そこ? と思うような箇所について言及されていることがしばしば。
作者の思い入れが強い箇所と、読者が強く感じる箇所は同じではないのです。
でも、それでいいんです。
小説を味わうというのは個人的な行為だから。
好きな時に、好きなスピードで、好きな解釈で、好きな登場人物に感情移入して読めばいいのですから。
発売前に私の手元に届いた見本がこちら。
淡く優しい印象のカバーとなりました。
この本には5つの物語が収められています。
共通点は大切な人を失うこと。
その哀しみと痛みを抱えた登場人物たちが、再び歩み出すまでを描いています。