野菜

  • 2013年07月29日

昔より、野菜の種類はぐんと増えましたね。
私が子どもの頃に食べていた野菜の種類より、3倍はあるんじゃないでしょうか。
大型スーパーに行くと、見慣れない野菜がずらっと並んでいて、大抵そうした品名の札はカタカナで書かれていたりします。
そうした名前は、どこにアクセントをつけ、どこで区切ったらいいのかわからないし、さらに、覚える気もそれほどなくて、一度は手に取るものの、すぐに棚に戻してしまいます。
どう料理すればいいかわらかないような野菜は、買いません。
一瞬珍しがるだけで、結局は食べ慣れている野菜を選んでしまいます。
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先日行ったフレンチレストランでは、30種類の野菜を使った前菜が出てきました。
白い大きめの皿に、小さなサイコロ状にカットされた様々な色の野菜が散らばっています。
おおっ。
摑みはOK。
カラフルな色に圧倒された私と知人は「綺麗」だの「食べるのが勿体ない」だの、「ブログ用に写真を撮らなきゃ」だのと言って、大騒ぎです。
ひとしきり騒いだ後で、いざ、食事の開始。
フォークでいくつかの野菜をぶっさし、皿の周囲に置かれていたソースに擦り付けてから、口に運びます。
が、感じるのは、ちょっと酸味の効いたソースの味のみ。
味の違いはおろか、何を食べたのかさえ、定かではありません。
雑な舌しかもっていなくて、申し訳ない。

食べてしまえば、大雑把な舌が、すべて受け入れてしまうというのに、食わず嫌いの野菜が一つだけありました。
茄子。
野菜のくせに、紫色をしているのが気に食わないと、ずっと茄子を食べずにいましたが、ふとした気まぐれで、口にしたのが、30歳の時。
意外と、あっさりしたヤツだとわかり、以降は普通に食べるようになりました。
そういえば、トマトを食べないと宣言していた人がいましたっけ。
その理由が、誠実そうな顔をしているからだと聞いた時には、笑うべきなのか、納得するべきなのか、迷いました。

それにしても・・・好きになる理由より、嫌いな理由を聞いている方が、面白いのは、なぜでしょうか?
これ、野菜の話だけじゃありませんね。
人を好きになった理由というのは、わりとみな似ていて、聞いてるこっちは、ツマラナイもんですが、嫌いな理由というのは、聞いていて、実に楽しい。
えっ、そこ? というような点だったりすればするほど、その人らしさが感じられて。
あなたの嫌いな野菜はなんですか?
その理由は?

社会人になって

  • 2013年07月25日

社会人になる前と後で、どんな気持ちの変化がありましたか?
私の場合は、配属されたのがお店で、販売員からのスタートでしたから、なんだかバイトの延長のような感じで、社会人になったという自覚は生まれませんでした。
1年ほど経って、ようやく、もう学生じゃないんだと、うっすら感じるといった程度でした。
それに引き替え、友人たちは、入社してすぐに、学生と社会人とのギャップをすぐに感じ取り、なかには1週間でギブアップしそうだと弱気な発言をする人までいました。
学生の皆さん。
あなたたちが思っているより、何倍も、社会人として生きていくことは、大変です。
脅すつもりはないのですが、心して社会人になった方がいいように思います。
それまで信じていた価値観が、吹っ飛ぶような出来事に、たくさんぶつかりますから。

辛い就職活動をなんとか乗り越え、晴れて社会人になったものの、こうした生活がこれからずっと続くのかと思ってしまうと、これが、本当に自分の人生なのだろうかと、不安になる気持ち。
多かれ少なかれ、誰もが経験すること。
こうした心の揺らぎは、単行本の新刊「手の中の天秤」で描いています。
必至で仕事を覚えている頃は、まだいいんです。
緊張していますから、気持ちが張っていて、余計なことを考える暇がありません。
それが、徐々に仕事に慣れていくにつれ、考える暇ができてしまうんですね。
そうすると、これから先、何十年もこれを続けていくのだろうか。
もっと、自分には相応しい仕事があったんじゃないだろうか。
といったことを考えだして、ラビリンス入り。
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こんな時、どうしたらいいのか。
残念ながら、私は答えをもっていません。
ただ、簡単に答えを出す必要はないのかなとも思います。
社会人になったばかりの、この心の揺らぎは、入口に立って、中を覗いている状態。
当人は、すっかり中を見ているつもりでいるかもしれませんが、ずっと奥には扉があって、その先には素晴らしい世界があるかもしれませんし、横道へ通じる扉もあるかも。
ちゃんと自分の足で、中に入って行き、いくつかの扉をこじ開けて、奥の世界をその目で見てから、撤退するのか、さらに進むのかを決めればいいように思うのです。

息子が入社して1ヵ月で、会社を辞めてしまったと嘆く友人の話を聞きながら、そんなことを思いました。

昼間の六本木で

  • 2013年07月22日

六本木を歩いている時でした。
時は、午後2時過ぎ。
ランドセルを背負った子どもが歩いていたり、ベビーカーを押している人がいたりと、昼間の六本木は、夜とは違う表情を見せています。

と、前方から、チワワを連れた女性が歩いてきました。
そのチワワと女性を見るともなく見ていると――。
突然、チワワが足を止めました。
女性は驚いた様子で、リードを強く引っ張り、散歩を続けようとします。
が、チワワは足を踏ん張り、頑として動こうとしません。
女性は「どうしたのよ。行くわよ、ほら」と声を掛けますが、チワワは尻を落とし、徹底抗戦の構えを見せます。
そんなチワワの頑張りも、哀しいかな、体重が軽いせいで、女性がちょいと強くリードを引っ張れば、ずるずると引き摺られてしまいます。
それでも、チワワは踏ん張り続けます。
チワワが意地を見せていることに感心しながら、ふと、視線を上げると、そこには銀行のATM。
チワワが心を惹かれるような場所には、思えません。
ほかの犬の臭いがついていそうな場所でもありませんし、なににそれほど執着しているのか、わかりません。
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お金を下ろしたかったのでしょうか。
飼い主には内緒の出費の予定があり、なんとかお金を工面したかったとか。
それとも、恋仲の犬がATMにいることを、その鼻で嗅ぎつけていて、どうしても愛の言葉を伝えたかったとか。
或いは、生き別れになった兄の臭いを感じ取り、臭いを追い掛けて、兄の居場所を突き止めたかったとか。

妄想を膨らませながら、私はチワワと女性の横を通り過ぎました。
歩き進み、赤信号にぶつかったので振り返りました。
すると、業を煮やした女性が、ちょうどチワワを持ち上げようとしているところでした。
抵抗も空しく、軽々と腕に抱かれてしまったチワワでしたが、その足はピンと踏ん張っている状態で、まだまだ足掻いている様子。
そういば、以前、犬の言葉の翻訳機が発売されたというニュースを聞いたことがあります。
確か、犬の鳴き声から、その意味を人間の言葉に変換してくれる機械だったような。
そのニュースを聞いた時は、どこまでがシャレで、どこからが本気かわからないなぁと思っただけでしたが、今、あの翻訳機があったなら・・・あのチワワの気持ちを理解できるかもしれない。
そう思ったら、強烈に、あの翻訳機を手に入れたいという気持ちになりました。

文房具

  • 2013年07月18日

引き出しを開けたら、こんなものが。
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ポストの形をした消しゴムです。
恐らく、年賀状かかもめーるを郵便局でまとめ買いした時にでも、貰ったものでしょう。

それで、ふと思い出しました。
学生時代に、私がずっと同じ消しゴムを使い続けているのを見た友人が、「これ、何年もの?」と聞いてきたことを。
私は首を傾げながら「思い出せないぐらい、何年も使っている」と答えると、「凄いね」と言われました。
当初、なにが凄いのか、よくわからなかったのですが、どうやら、消しゴムというのは、可愛いのを見つけたら、即、買うという代物であった模様。
時代はバブルでしたしね。
従って、ペンペースの中の消しゴムはしょっちゅう変わっているという女子が多かったようなのです。
私は、消しゴムに一切興味がなく、文字を消せればそれでいいと思っていたので、すでに持っているのに、さらに買うという発想には至っていませんでした。

その反動でしょうか。
「嫌な女」という作品では、徹子という登場人物を、文房具に目がないという設定にしました。
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ただし、可愛いから買い集めるというのではなく、盛り込まれた新機能に感心し、つい買ってしまうという集め方です。
「嫌な女」を発表した後、何人かの方から、弁護士の徹子なら、贅沢三昧できるだろうに、文房具に目がないという設定が庶民的で、好感をもてたといった感想をいただきました。
へぇ、そんなところに? と驚きました。
構想段階から、徹子には文房具収集の趣味があるという設定にしようと決めていたのですが、残念ながら私には知識がありませんでしたので、執筆前に本などを購入し、猛勉強。
日本の文房具の歴史を勉強してみると、そのこだわりや時代背景など、なかなか興味深く、楽しい勉強期間となりました。
そして、執筆を終えた頃には、なんだか徹子から影響を受けたようで、以前より随分、文房具が好きになっていました。
最近では、ショッピングビルなどに行っても、一番時間をかけて見るのは、文房具売り場だったりします。
自分の創りだしたキャラクターから影響を受けるというのも、変な話なのですが。
文庫「嫌な女」は、書店等で発売中です。
多くの皆様方からの愛とサポートを受けている様子。
どうもありがとうございます。

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