歯の治療の後には

  • 2015年12月28日

学生の頃、バイト先の近くのデンタルクリニックに通っていました。
治療の後で行ったのが、二軒隣のうどん店でした。
なるべく柔らかいモノを食べるようにと言われたわけではなかったのですが、なんとなく治療した日は、硬いモノは避けた方がいいのではなかろうかとの素人判断によるものです。

フツーの治療で済んだ日はきつねうどん。
辛い治療だった日はおじやうどんを食べました。
denntaru
フツーと辛いの差はなにかというと、あくまでも私の心象の差。
医者にとっては簡単な治療であったとしても、私が恐ろしさを強く感じてしまえば、その日は辛い治療ということに。

そんな日は哀しみと安堵を引き摺ってうどん店で、おじやうどんをオーダー。
ご存知でしょうか、おじやうどん。
その店では、鍋焼きうどんで使われていると思しき鍋で雑炊が炊かれていまして、そこにうどんを加えて「熱いから気を付けて」との注意の言葉と共に出されていました。
うどんがのびるなんてことは頭から消し、そのまま放置しなくてはいけません。
とんでもなく熱いものですし、私は歯の治療を終えたばかりなのですから。
五分以上自分に「待て」を掛けた後、しつこいほどフーフーと息で冷ましてから食べたもんでした。

この時の記憶が強い印象を残したのでしょうか。
それから二十年ぶりに歯の治療をした日、おじやうどん以外のメニューを思いつきませんでした。
が、二十年前とは違うデンタルクリニックだったため、近くにおじやうどんを食べられる店があるかどうかわかりません。
自宅に戻り、冷凍うどんがあったので、これで良しとするかとレンジに入れました。
さてさて食べようと口に入れると・・・難しい。
うどんを食べるのって、こんなに難しいことだったっけと思うほど。
麻酔を使った治療だったせいか、舌が痺れていて上手く動きません。
こうなってみて初めて、食べるという行為が、繊細で複雑な動きを必要とするものと知りました。
二十年前ここまで食べにくさを感じたことはなかったので、麻酔の量が違ったのでしょうか。
麺を啜る時、舌はそれを邪魔しない位置に留まっています。
そして噛む時には、舌は歯に挟まれないようにしながら麺をあちこち転がして、咀嚼を補佐する動きをします。
これ、普段は無意識にしていますが凄い動きです。
これが舌の動きが思うようにできないと・・・舌を噛んじゃう。
「痛っ」と何度も呟くはめになり、なおかつなかなか呑む込めるサイズにカットできなくて、ずっと口をもぐもぐさせている状態に。
痛いわ、疲れるわで、一杯のうどんを食べ終えた時にはぐったり。
それ以降は、辛い治療だった日にはおじやを食べるようになりました。
こっちの方が正解でしたね。


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